颯人は自分で話して、ケリをつけると言った。
颯人のそんな言葉を聞いても、私の気持ちが収まるはずがない。
この数ヶ月、私に嘘を付き続け、証拠を出しても初めはシラを切った。
そんな颯人の言葉を素直に信じるほど、私はそんなに心が広くなかった。
私は決意を固めた。
これで颯人と別れても、後悔はしない。
これ以上、颯人に振り回されて、泣きを見るのはイヤだ!
そして、電話を掛けた。
呼び出し音が鳴る。
決意を固めたはずの私だったけど、2コールで切ってしまった。
心臓はバクバク。。。。
気を取り直して、もう一度掛けよう!
次の瞬間、携帯が鳴った。
浮気相手だ!!
私は意図的に番号通知をして浮気相手に掛けたのだ。
しばらく、出る事をためらった。
でも、ここで決着を付けなくては!!
「もしもし!」
「・・・・・あの。。。今電話が頂いたようなんですが??」
「はい。突然お電話申し訳ありません。失礼ですが、Tさんですよね?」
「はぁ。。。そうですが。。。」
突然、見知らぬ番号からの着信に、Tさんも困惑しているようだった。
「あの、こちから掛けなおしますので、一端切らせて頂いてもよろしいですか?」
「はい。分かりました。」
私は一度電話を切った。
そして気合を入れなおし、すぐに掛けなおした。
Tさんはすぐに電話に出てくれた。
「突然の電話ですいません。。。。私、颯人の婚約者の咲子と申します。」
「えっ?!」
Tさんはとても驚いていた。
私が同じ立場でも、そりゃ驚くって(笑)
「実はですね?
数ヶ月前から、あなたと颯人が電話やメールしたり時々会って遊んだりしていた事は知ってました。」
「ちょっと待ってください!
私の電話番号をなんで知ってるんですか??」
「颯人から聞きました。
数ヶ月前にあなたとの関係に私が気がついて。。。
颯人を問いただしたら、自分で全部Tさんに話すからって言うので、颯人に任せてたんですけど。
でも、口では話したって言う割に、相変わらず携帯だとか通常よりも高くて、おかしいと思って。
今、颯人の生活費は私がほぼ出しているので、請求書とか私が管理してるんですよ。
それで、まだ颯人が話してないって事に気が付きました。」
私が一気に話したので、Tさんは口を挟む隙がなかった。
「それでですね?
先ほども申し上げましたが、現在婚約中で新居も建設中なんです。
ご存知だとは思いますが、先日颯人のお義母さんが亡くなったので、
結婚は喪が明けてからって話になってるんですけど。。。
今までも颯人の浮気には手を焼いて来ました。
ですので、Tさんが本気で颯人とお付き合いする気があるなら、私は颯人と別れるつもりいます。
Tさんはどんなお気持ちなんでしょうか??」
私の話おとなく聞いていたTさんが堰を切ったように話だした。