電話を切ってから、2,3分で颯人を見つけた。
私が車を停めると、颯人が乗り込んできた。
「あのさ?私ら別れたよな?
なんで当たり前のように電話してこれるわけ?!」
イライラしたまま颯人に言った。
「別れたって。。。そりゃそうかもだけど。。。
こんな時に頼れるのって咲ちゃんしか居ないし。。。」
「頼る?はぁ?
それは「都合よく使ってる」の間違いやろ!」
時間は朝の5時。
車もまだ少ない。
颯人を送って行って、自宅に戻ると6時は過ぎそうだ。
私だって今日は寝不足なのに!!
「で?送れって?」
「うん。。。あのさ、今朝電車に乗り遅れそうで
駅前の道の途中でたまたま元嫁の車の後ろを走ってたの。
で、元嫁の車に乗せてもらってひとつ手前の駅から乗ったから
俺の車、路上駐なんだよね。
だからその車移動させないと駄目だから。。。。お願い!」
私は頭にきたが、無言のまま車を出した。
ここで颯人と言い争ってても時間の無駄。
早朝だから結構スピードも出せた。
そして颯人の家の近くで路上駐の車を見つけた。
「ちょっと後ろ付いてきて!」
そう言って颯人は車を降りた。
私は指示通り後を付いて行った。
どこへ行くのかと思えば、自分の家の駐車場。
そして、車を停めると、また乗り込んできた。
「はぁ?!」
「これからどっちにしろ家に戻るんでしょ?
だったら、俺も寝てないから、このまま咲ちゃんの家に連れて行ってよ。
会社まで歩いて行けるし、少しは眠れるから」
時間は6時前。
確かに颯人がこのまま自宅に戻っても、すぐに出勤の時間だ。
そのまま颯人を乗せて、私は車を出した。