今回は辺の攻防を中心にお送りする。

 辺をとると手数を稼げるが、終盤の負担になる。

 辺をとらなければ、終盤は優勢になるが、その前に詰まれてしまう危険性がある。

 辺をとってもとらなくても一長一短があるということである。
 
 手数に余裕があれば、相手に辺をとらせる。手数に余裕がなければ、自分が辺をとる。

 ひとまずは、こんな感覚でいいだろう。

 今回は付け手切り返しについて解説しよう。
 

 付け手

 相手が辺に打った石のすぐ隣にくっつけて打つ手だ。目的は相手に辺をとらせることだ。

 内側に付け手する場合と外側に付け手する場合があるぞ。

 切り返し

 付け手して「辺をとれ」と迫ってきた相手に対し、辺をとらずにすむ反対側に打つことによって、逆に「おまえが辺をとれや」と切り返す手である。
 
 亀田家も真っ青のカウンターパンチである。
 
 付け手するときは、切り返しされないように、必ずチェックしてから打とう。

 実際の攻防を見てみよう。

 
囲い厨のブログ-付け手1
図1 白番 

 図1は黒がD8と辺に着手した手である。
 このD8にくっつけて打つのが付け手である。


囲い厨のブログ-付け手2
図2 白C8

 これは白C8と黒の外側に付け手をした。
 
 白「黒B8ととって辺をとれ」

 と迫る手である。

囲い厨のブログ-付け手3
図3 黒E8

 黒「だが、断る!」

 黒は華麗に付け手をしてきた白の反対側に打った。

 黒の切り返し炸裂である。

 これによって、白はE8と辺をとらされるはめになる。

 とらなければ、黒がE8と打ちさらに手損である。

 これは切り返しの手があるのを見抜けなかった、失敗の付け手といえる。


囲い厨のブログ-付け手4
図4 白E8

 今度は白E8と内側に付け手した。
 
 次に黒がとる手はおわかりだろうか?

 ここで白の心の声を聞いてもらおう。

 白「黒よ、F8ととって辺をとれ!」

 相手の意図が見えたあなたはその逆をつけばいいだけだ!

囲い厨のブログ-付け手5
図5 黒C8

 黒C8。
 再び黒の切り返し炸裂である。

 これも白はB8ととらないと、手数が減って苦しくなるだろう。

 付け手の目的は相手に辺をとらせることにある。つまり、切り返されたら意味がないのだ。

 付け手をする時は、切り返しされないように十分注意しよう。
  
 
囲い厨のブログ-付け手6
図6 黒F8 白番

 次に成功例を見てみよう。
 図6では、白が付け手を打っても、切り返しされる心配はない。

 仮に切り返せたとしても、切り返すと隅をとられてしまう。
 C打ちで切り返すのは無謀である。

囲い厨のブログ-付け手7
図7 白E8

 白は安心して付け手を打った。

 ここでの黒の最善は、C8だ。
 この手を打たれると白はやや苦しい。

 D8に打てないため、放っておくか、G8をとるはめになる。

 放っておけば、一手損だが、G8では辺の負担は白にある。

 付け手の目的の相手に辺をとらせる、という点から見たらこれも失敗の付け手だった。

 原因は、黒C8の時、D7が返らない点だった。
 種石がなかったのだ。

 D7が返っていれば、自然にD8と潜り込んでおけば問題はなかったろう。

 まぁ、その話はおいといて、ここでは黒D8ととった。


囲い厨のブログ-付け手8
図8 黒D8

 まんまと黒に辺をとらせることに成功した。

 白の目的達成である。
 だが、ここでのほほんとして、白G6などと打ってる場合ではない。

 オセロでは相手の打ちたい手を邪魔するのがとても大事である。

 打ちたい手を打たせない=悪い手を打たせるということにつながってくるからだ。

 すなわち、勝ちたければ、嫌がらせの精神を忘れてはならない。

 非情なことに、オセロでは相手の邪魔をする人間が勝つようになっている!

 フェアプレイも何もあったもんではない。
 容赦のない足の引っ張り合い。

 勝利という一本の蜘蛛の糸にぶらさがり、いかに相手を蹴落とすかを考える。

 それこそオセロの真髄である。
 
 人格的には畜生のような輩こそ、オセロでは勝者となるのだ。

 すなわち、しろくろでいうところの覇王というのは、クズという言い方の別称に過ぎない。

 残念ながら、これがオセロの冷酷な現実である。
 
 なんとも恐ろしいゲームである。



 さて、白の正解はおわかりだろうか?

囲い厨のブログ-付け手9
図9 白C8

 正解は白C8である。

 なぜなら放っておけば、黒がここに打つからである。

 ここに打たないということは、黒に一手を献上する手、白は一手損をする手なのである。

 オセラーならば、相手に一手さしあげるという紳士な真似はしてはならない。

 どうすれば相手の手を奪えるか、虎視眈々と狙い続けるのが真のオセラーである。

 泥棒や強盗のなれの果て、それがオセラーなのだ。

 戸惑う方もあろうかと思うが、ここに昔の偉い人の名言を紹介しておこう。

 昔の人はこう言った。

 「おまえのものはオレのもの、オレのものはオレのもの」と。

 そう、何を隠そう、この言葉はオセラーのためにあったのだ。

 全国の心優しきのびた君達は、今日から心を入れ替えてジャイアンになろう。無論、オセロをやる時だけでいい。

 今日からは、オセロをやる相手を見つけたらこう言ってやればいい。

「おお、心の友よ」

 とね。クックック。



 一方向返し

 壁を割るときにはなるべく一方向に返すのがいいと書いた。

 それは辺をとるときも同じである。

 
囲い厨のブログ-一方向1
図10 黒番

囲い厨のブログ-一方向2
図11 黒C8

 黒が一方向に返した。
 D7が返っていないため、白はC8に打つことができない。

囲い厨のブログ-一方向3
図12 白G5

 
 黒は下辺に2連続で打てる。


囲い厨のブログ-一方向4
図13 黒D8

 放っておくと黒は次も下辺に打ち、3連続で打てそうな気配である。

 そうはさせじと、白はB5と打って種石を消してくる。

 この辺の攻防については中級辺でお話するとして、一方向返しの狙いはわかっただろうか?
 
 一方向にだけ返すことで、辺で何回も打てるチャンスが生まれるということだ。

 辺で手数を稼げるのである。


 今回はオセロの世界の闇をかいまみせてしまったが、勝利を得るためには何かを犠牲にしなければならないのである。

 優しい心をなくしたり、友達を失ったりもするであろう。

 しかし、それが等価交換の原則、人の世の理である。

 時として非情な心に徹することも、オセラーには必要とされるのだ。

 では、本日はここまで!