今回は辺の攻防を中心にお送りする。
辺をとると手数を稼げるが、終盤の負担になる。
辺をとらなければ、終盤は優勢になるが、その前に詰まれてしまう危険性がある。
辺をとってもとらなくても一長一短があるということである。
手数に余裕があれば、相手に辺をとらせる。手数に余裕がなければ、自分が辺をとる。
ひとまずは、こんな感覚でいいだろう。
今回は付け手と切り返しについて解説しよう。
付け手
相手が辺に打った石のすぐ隣にくっつけて打つ手だ。目的は相手に辺をとらせることだ。
内側に付け手する場合と外側に付け手する場合があるぞ。
切り返し
付け手して「辺をとれ」と迫ってきた相手に対し、辺をとらずにすむ反対側に打つことによって、逆に「おまえが辺をとれや」と切り返す手である。
亀田家も真っ青のカウンターパンチである。
付け手するときは、切り返しされないように、必ずチェックしてから打とう。
実際の攻防を見てみよう。
![囲い厨のブログ-付け手1](https://stat.ameba.jp/user_images/20110701/13/kakoikakoi/f9/3d/p/t02200220_0300030011323239520.png?caw=800)
図1 白番
図1は黒がD8と辺に着手した手である。
このD8にくっつけて打つのが付け手である。
図3 黒E8
黒「だが、断る!」
黒は華麗に付け手をしてきた白の反対側に打った。
黒の切り返し炸裂である。
これによって、白はE8と辺をとらされるはめになる。
とらなければ、黒がE8と打ちさらに手損である。
これは切り返しの手があるのを見抜けなかった、失敗の付け手といえる。
![囲い厨のブログ-付け手4](https://stat.ameba.jp/user_images/20110701/13/kakoikakoi/56/b0/p/t02200220_0300030011323239522.png?caw=800)
図4 白E8
今度は白E8と内側に付け手した。
次に黒がとる手はおわかりだろうか?
ここで白の心の声を聞いてもらおう。
白「黒よ、F8ととって辺をとれ!」
相手の意図が見えたあなたはその逆をつけばいいだけだ!
![囲い厨のブログ-付け手5](https://stat.ameba.jp/user_images/20110701/13/kakoikakoi/24/53/p/t02200220_0300030011323239519.png?caw=800)
黒C8。
再び黒の切り返し炸裂である。
これも白はB8ととらないと、手数が減って苦しくなるだろう。
付け手の目的は相手に辺をとらせることにある。つまり、切り返されたら意味がないのだ。
付け手をする時は、切り返しされないように十分注意しよう。
図7 白E8
白は安心して付け手を打った。
ここでの黒の最善は、C8だ。
この手を打たれると白はやや苦しい。
D8に打てないため、放っておくか、G8をとるはめになる。
放っておけば、一手損だが、G8では辺の負担は白にある。
付け手の目的の相手に辺をとらせる、という点から見たらこれも失敗の付け手だった。
原因は、黒C8の時、D7が返らない点だった。
種石がなかったのだ。
D7が返っていれば、自然にD8と潜り込んでおけば問題はなかったろう。
まぁ、その話はおいといて、ここでは黒D8ととった。
![囲い厨のブログ-付け手8](https://stat.ameba.jp/user_images/20110701/13/kakoikakoi/ef/e8/p/t02200220_0300030011323258159.png?caw=800)
図8 黒D8
まんまと黒に辺をとらせることに成功した。
白の目的達成である。
だが、ここでのほほんとして、白G6などと打ってる場合ではない。
オセロでは相手の打ちたい手を邪魔するのがとても大事である。
打ちたい手を打たせない=悪い手を打たせるということにつながってくるからだ。
すなわち、勝ちたければ、嫌がらせの精神を忘れてはならない。
非情なことに、オセロでは相手の邪魔をする人間が勝つようになっている!
フェアプレイも何もあったもんではない。
容赦のない足の引っ張り合い。
勝利という一本の蜘蛛の糸にぶらさがり、いかに相手を蹴落とすかを考える。
それこそオセロの真髄である。
人格的には畜生のような輩こそ、オセロでは勝者となるのだ。
すなわち、しろくろでいうところの覇王というのは、クズという言い方の別称に過ぎない。
残念ながら、これがオセロの冷酷な現実である。
なんとも恐ろしいゲームである。
さて、白の正解はおわかりだろうか?
![囲い厨のブログ-付け手9](https://stat.ameba.jp/user_images/20110701/13/kakoikakoi/77/72/p/t02200220_0300030011323258168.png?caw=800)
正解は白C8である。
なぜなら放っておけば、黒がここに打つからである。
ここに打たないということは、黒に一手を献上する手、白は一手損をする手なのである。
オセラーならば、相手に一手さしあげるという紳士な真似はしてはならない。
どうすれば相手の手を奪えるか、虎視眈々と狙い続けるのが真のオセラーである。
泥棒や強盗のなれの果て、それがオセラーなのだ。
戸惑う方もあろうかと思うが、ここに昔の偉い人の名言を紹介しておこう。
昔の人はこう言った。
「おまえのものはオレのもの、オレのものはオレのもの」と。
そう、何を隠そう、この言葉はオセラーのためにあったのだ。
全国の心優しきのびた君達は、今日から心を入れ替えてジャイアンになろう。無論、オセロをやる時だけでいい。
今日からは、オセロをやる相手を見つけたらこう言ってやればいい。
「おお、心の友よ」
とね。クックック。
一方向返し
壁を割るときにはなるべく一方向に返すのがいいと書いた。
それは辺をとるときも同じである。
図11 黒C8
黒が一方向に返した。
D7が返っていないため、白はC8に打つことができない。
図13 黒D8
放っておくと黒は次も下辺に打ち、3連続で打てそうな気配である。
そうはさせじと、白はB5と打って種石を消してくる。
この辺の攻防については中級辺でお話するとして、一方向返しの狙いはわかっただろうか?
一方向にだけ返すことで、辺で何回も打てるチャンスが生まれるということだ。
辺で手数を稼げるのである。
今回はオセロの世界の闇をかいまみせてしまったが、勝利を得るためには何かを犠牲にしなければならないのである。
優しい心をなくしたり、友達を失ったりもするであろう。
しかし、それが等価交換の原則、人の世の理である。
時として非情な心に徹することも、オセラーには必要とされるのだ。
では、本日はここまで!