今回は、オセロの基本を振り返りながら、オセロにとって大変重要な手筋である「中割り」「引っ張り」について解説したいと思います。

 オセロでは打てる箇所の多い方が有利ということは既にのべました。

 では、どうやって有利な状態を作っていくか。
 意識すべき4つの基本原則があります。

①自分の打てる場所を減らさない
②相手の打てる場所を増やさない
③相手の打てる場所を消す、邪魔する
④自分の打てる場所を増やす、打ちやすくする

  この4つの原則を意識して打つことで、自分の有利な状態を作り出すことができます。
 この原則は非常に大切なので、是非覚えてください。

 さて、具体的には、どんな方法で、上の原則を実現すればいいのでしょうか。

 具体的方法その1:少なめにとる

囲い厨のブログ-少なめに
図1 黒番

 黒が少なめに、白はとりすぎで、進行した局面です。
 白が打てる場所は、D8、E8、F7のたった三箇所しかりません。
 それに比べて、黒はあちらこちらに打てる状況(でたらめな手も入れると10箇所、打てる手だけなら8箇所)です。

 ここでは黒D8と相手の打てる場所を潰すように打ってやる白は困ってしまいます。


囲い厨のブログ-少なめに2
図2 白番

 白はやむなくE8です。

囲い厨のブログ-少なめに3
図3 黒番

 黒は自然にB8と取り返すだけで・・・

囲い厨のブログ-少なめに4
図4 白番

 白はB7の一箇所にしか打てなくなりました。
 中盤も早々に積んでしまった状態です。

 少なめにとるということは、基本原則の①自分の打てる場所を減らさない②相手の打てる場所を増やさないという原則を実現しているといえるでしょう。

 具体的方法その2:相手に自分の石を囲ませる

 
囲い厨のブログ-囲ませる
図5 黒番

 上の図、白の打てる箇所は0箇所です。
 黒の打てる箇所は20箇所です。
 黒の圧倒的優勢といえるでしょう。

 ゼブラ先生の判定によると、黒B2とあっさり隅をあげるような手を打っても、黒の勝ちは濃厚のようです。

 このように相手に自分を囲ませるように打つことは、①自分の打てる箇所が増え、②相手の打てる箇所が減るということがいえます。
 
 
少なめにとるのも効果的でしたがそれ以上に効果がありそうです。

 さらに囲ませることで③相手の打てる場所が消えまた相手の石の内側に自分の石を残すことで、④の自分の打てる場所を増やす効果も期待できます。

 このように、相手に自分を囲ませることは、すべての基本原則を尊重した非常に有効な打ち方といえます。

 実現方法その3:壁は作らない

囲い厨のブログ-壁はつくらない3
図6 黒番

 上の図は、黒が白石の内側に入り込み、かつ白より石が少なめで、黒が有利な局面です。
 白は打てる箇所がたった三箇所しかなく、苦しい局面といえるでしょう。

 ここで黒がC8と打ちました。

囲い厨のブログ-壁はつくらない4
図7 白番

 左側に大きく黒壁ができてしまいました。
 これにより、
先ほどまでの優勢が一気に吹き飛びました。

 右側に白壁があるぶん、形勢はまだ五分といえますが、このように石の塊の表面を横切るように壁を作る手は非常に悪手であるといえます。

 基本原則②相手の打てる場所を増やさないに大きく違反して、相手の打てる場所を増やしまくった手といえます。



囲い厨のブログ-壁はつくらない0
図8 黒番

 局面は進み、黒が相手の白壁を割りました。
 この局面は白がやや優勢だといえるでしょう。

 相手の壁を割るということは、相手から打てなかった場所に相手の打てる場所を増やすということなのであまりいい手ではありません。

 おまけに、自分のみしか打てなかった場所に、相手が打つことによって、自分の打てる場所が減るという弱みもあります。

 壁はなるべく作らない、相手の壁はなるべく割らないというのが、基本原則を守る上でも重要だということが理解できたと思います。



囲い厨のブログ-壁は作らない
図9 白番

 図8から、黒はG3と打ちました。
 無謀な一手です。

 これは「中辺の横取り」という手で、一般には悪手といわれています。これにより黒壁ができ、右辺には黒から打てなくなりました。

 自分が相手を囲んでしまわないためにも、表面を大きくひっくり返すような返し方をして壁を作らないように注意しましょう。
 

 
 さて、前置きが長くなりましたが、いよいよ「中割り」「引っ張り」です。
 
 簡単に説明すると、「中割り」は、相手に自分の石を囲ませようとする時に使えます。
 別な言い方だと、相手の石の中に自分の石を潜り込ませたい時に使えます。 

 「引っ張り」は、相手の壁を割りたくない時、または相手に自分の壁を割らせたい時に使える手筋です。


「中割り」は読んで字のごとく、相手の石の中を割って自分の石を相手の内側に潜り込ませる手です。

「引っ張り」は自分ののぞむ方向に相手の手を引っ張ってきてそこに打たせる方法です。多くの場合、自分の壁を割らせる方に引っ張ってきて打たせます。

 具体的に見ていきましょう。


囲い厨のブログ-中割引っ張り
図10 黒番

 上の図から、E3と打つのがきれいな中割です。


囲い厨のブログ-中割1
図11 白番

 E3に打つことで返す石、E4とE5に注目してください。
 この二つの石は、他の石の中に完全に囲まれています。

 このように、一般には他の石の中に完全に囲まれている石を返す手を「中割り」といいます。

 E3は開放度理論的にも、開放度1で、いい中割といえるでしょう。


囲い厨のブログ-引っ張り1
図12 白番

 図10からE8と打った手です。

 もともと自分の石のあるほうへ打つ手、また相手の壁を割らずに自分の壁があるほうへ打たせる手「引っ張り」といいます。

 図10の下辺は黒壁とまではいわないかもしれませんが、ここでも引っ張りは有効です。

 これにより白は下辺に打つしかありません。白が打ってきたら、黒は再び下辺に打って、上左右に広がる白壁を割らないようにすれば、白は困ってしまいます。


囲い厨のブログ-引っ張り1
図13 黒番

 ここでは、うさぎ定石から展開する、フラットローズ定石を見てみましょう。

 熾烈な引っ張り合いが展開されます。
 
 図13では、左と上が白壁っぽく、下が黒壁っぽい感じです。
 黒はG4と打ちます。


囲い厨のブログ-引っ張り2
図14 白番

 黒「下か右に打って、こっちの壁を壊してこいよ」
 白「いやいや、それはちょっと、C6にしときますわ」

 C6は中割りかつ引っ張りにもなっているという手ですね。


囲い厨のブログ-引っ張り3
図15 黒番

 白「黒さんこそ左側に打って、こっちの壁を壊してくださいよ!」
 黒「ハッハッハ、誰がそんなことするかい」

 黒F2と打ちます。

囲い厨のブログ
図16 白番

 黒「右に打ってこい!」
 白「そちらこそ、左側へどうぞ打ってくださいよ」

 白D7。

囲い厨のブログ
図17 黒番

 黒「しつこい野郎だな!とっと右に打ちやがれ!」

 黒E2。
 この手も中割りかつ引っ張りになってますね。
 


囲い厨のブログ-引っ張り6
図18 白番

 白「早く左にどうぞ!」

 白なおも引っ張ってF7と打ちます。

囲い厨のブログ-引っ張り7
図19 黒番

 黒「しつこい野郎だぜ、まったく!」

 ここれで黒はE7と、相手の下の壁を割るような手を打ちます。


囲い厨のブログ-引っ張り8
図20 白番

 白「そんなちまちました割り方じゃなくて、だいたんに左へどーんと割ってくださいな!」
 黒「へへん、やーだよ!」

 白はF7と、相手の壁を少し割りつつ中割りです。

囲い厨のブログ-引っ張り9
図21 黒番

 この後も黒はC1と引っ張り、白はF8と引っ張りと、お互い粘りの展開が続いていきます。

 相手の壁を割る時は、できるだけ小さく割りたいところです。
 そのための手筋としては、一方向返しというのがあります。


囲い厨のブログ
図22 黒番

 図18から、白G3と打った図です。
 この壁の割り方は横と斜めに石を返しているので、いまひとつです。
 種石を作れば、黒はF6の中割りを狙えそうです。


囲い厨のブログ
図 白番

 そこで黒はB4と打ちました。
 これは横一方向の、一方向返しです。
 そのうえ、いつでもF6に打てるような種石を作りました。

 これは基本原則④自分の打てる場所を増やす
手です。

 こんな感じで、基本原則を意識しながら、中割りと引っ張りをうまく活用して中盤を優位に進めていきましょう。

 簡単にまとめると、

 「中割り」を使って相手に自分の石を囲ませろ!


 「引っ張り」を使って、相手に自分の壁を割らせろ!

 ということです。
 長くなったので、本日はここまでです!