つまるところ、一言でいうならば、オセロとは盤上のババ抜きである。
なんのこっちゃ??
と思ったそこのあなた!さっさとブラウザを閉じる前にほんのちょっとお待ちあれ!
この言葉には、初心者であるあなたが、今まで勝てなかった相手へ勝利するための魔法が隠されていると言っても過言ではないのである。
オセロの初心者が陥りがちな、終盤における概念をくつがえすこの考え方を自分のものにした時、あなたの前には、新たなる終盤の打ち方と、今までとは比べ物にならないほど多くの勝利が手に入っていることであろう。
いったいババ抜きとはどういうことなのか?
オセロでは、ここに打ったらほぼ敗着、まさに絶望の一手というものが存在する。簡単にいえばこれがババである。
わかりやすい例でいうと、序盤で打ってしまう星打ちである。そんなところに打とうものなら、あっさり隅をとられてしまい、そこからやすり攻めをくらって手も足も出ないまま負けてしまう。
他にも、最終盤になると、ここだけには打ちたくないという手がある。
もちろん、そんな手は打たないにこしたことはないのだが、オセロでは、終盤に向けて盤上の空きマスが減っていく。
つまり、打てる場所がどんどん減っていくということである。
ここがポイントだ!
他に打ちたい場所がなくなった状態で、自分の番が回ってくると、打ちたくない場所でも打たなければならないのだ!
これがいわゆるババを引いてしまった状態である。そこに地雷があるとわかっていても、一歩踏み込まなければならないのである。
最終盤は、この打ちたくない場所(ババ)の押し付けあいと言っても過言ではない。
それがオセロが盤上のババ抜きであるとした意味である。
それは言い換えれば、地雷原を交代で一歩一歩進んでいるようでもある。逃げ場は限られている。(オセロの盤上は8×8=64マス)その逃げ場を、自分の番がきたら一歩踏み込んで潰さなければならないのである。
想像できたでしょうか?
オセロとはまさに命をかけたサバイバルチキンレースなのである。
終盤に向かって、空きますがどんどん減っていくということは既に述べた。
これは、こちらの打てる場所が減ると同時に、相手の打てる場所も減っている状態である。
すなわち、こちらが苦しい時は、相手も同じぐらい苦しい。といえなくもない。(例外は多々ある)
そこで鍵を握るのが、相手に手番を渡すという発想である。
どういうことかというと、悩ましい局面で、自分の番が回ってきた時に、無難な手、ぎりぎり安全な手を打つことで、再び悩ましい局面を相手に渡すことである。
山手線ゲームを考えて欲しい。
空気を入れられ続け今にも爆発しそうな風船を渡しあいながら、両者、だんだん思い浮かぶ言葉が尽きてきた状態で、相手が悩んだすえにひねりだした言葉を言った瞬間、とっておいた一言で、すぐさま風船を相手に渡す。相手はさらに考え込み、ついに風船は爆発する。
そんなイメージである。
自分はぎりぎり安全な手を打ちながら、相手に絶望の手を打たせるのである。
そこで、自分と相手の安全な手が何手あるのかを数える必要が出てくる。安全な手を使い切ってしまった場合、敗戦濃厚な一手を打たなければならないからである。
安全な手を、自分は何手打てるのか、相手は何手打てるのか。
この計算を意識してみよう。
安全な手が自分も相手も一手ずつだとする。
この時、自分が先に打つと、次に相手が打ち、その次に自分の番がまわってきた時には、危険な手を打たなければならない。
同じように、安全な手がお互い一手ずつでも、相手が先に打つと、自分が打ち、次に相手の番にまわった時には相手が絶望の一手を打つはめになる。
これがオセロでは打てる箇所が多い方が有利といわれる理由である。
そこで序盤中盤では、相手の打ちたい場所に打ったり、邪魔したり、打てなくしたり、という攻防が行われる。
RPG風に説明すると、打てる箇所の数というのはHPである。一手打つためには、自分のHPが1減ると考えて欲しい。自らHPを減らしながら一手打つのだが、下手なところに打つと相手のHPが増えてしまう。(相手の打てる箇所が増える)
逆にうまい攻撃というのは、相手のHPが減るような所に打つ一手である。それが先ほども記した、相手の打ちたい場所に打つ(天王山をとる)、相手の打ちたい場所を邪魔する(悪化)、相手の打ちたい場所を打てなくする(消去、種石消し)の手である。
そして、HPが0になったほうが自滅の一手を打たされるというわけである。
これらの詳細はまたいずれ説明しよう。
今回ご紹介するのは、最終盤で使える超必殺技である。
安全な手を使い果たした相手に、手番を渡す必殺技である。
その名も!!
偶数理論(奇数空きは自分から打ち、偶数空きは相手に打たせる)である。
発動の条件はひとつ、相手が安全な手を使い果たした時である。
![囲い厨のブログ](https://stat.ameba.jp/user_images/20110602/11/kakoikakoi/1f/3e/p/t02200220_0300030011265598836.png?caw=800)
図1 白番
上の図を御覧ください。
オセロでは、相手に隅をとらせまいとするため、4隅の回りに空きが残ったまま最終盤に突入するパターンが非常に多いです。
では、この空きますを数えてみましょう。
左上3マス、右上3マス、右下3マス、左下は3マス。
左辺の真中の空きマスは左上か、左下に計上するのですが、ひとまず置いときます。
一見、白はどこに打っても隅をとられてしまいピンチです。
では、この局面で黒の手番だったら、どこに打てるでしょうか?
わかりましたか?
実はこの局面、黒も苦しい状態なのです。
黒もどこに打っても白に隅をとられてしまいます。
すなわち、安全な手を使い果たしている状態といえるでしょう。
では、白はどこが最善でしょうか!
B2と答えたあなた!
これはウイング攻めの手筋ですね。
これを覚えてるだけで素晴らしいです!
ですが、B2を打つと、左辺の中辺が白一色になってしまい、黒にB1、A1を連打されてしまい、ウイング攻めは失敗に終わってしまいます。
実はこの連打こそ、偶数理論の天敵!
偶数理論の肝は、相手に手番を渡すことにあるのですが、連打を許すと、相手が安全な場所に2連打しているうちに、自分は他の場所(おそらく危険な場所)に2回も打たなければいけなくなってしまい、ほぼ絶望です。
偶数理論を使う場合には、相手の連打がないかくれぐれも注意してから打ちましょう。
さて、正解は、G7です。
図4 黒番
ひとつ注目してください。
白はH7にもぐりましたが、ウイング攻めのときのように、逆の隅のH1をとるためにもぐったわけではありません。
事実、H1はとれません。
しかし、ここにもぐったことにより、相手に手番を渡しているのです。
図4は黒番です。
果たして黒はどこに打てるでしょうか?
気づいたでしょうか?
黒はどこに打っても苦しいのです!
図5 白番
黒は泣く泣くB2と打ちました。
隅をとられてしまいますが、他もひどいので、しょうがない一手です。
図7 終局
終わってみればこのとおり、黒26対白38で、白の勝ちです。
偶数理論の威力、理解できたでしょうか?
発動の条件は、相手の安全な手がなくなった時。ついでに相手に連打されないこと。
これを見極めたうえで、実戦でチャレンジしてみましょう。
ここまで何を言っているのかわからなかった方は、困った時は相手に連打されない3マス空きに突っ込め!と覚えておきましょう。
以上、本日はここまで!!