マーラー シンフォニー6番 カラヤン指揮音楽に比べれば言語芸術のなんと惨めなことか。言語は社会的な道具であるから、心のなかの感情の波を直に表現することはできない。ただリズムと比喩だけが、ことばの原初的な機能を呼びおこすのであろう。第三楽章、アンダンテ、マーラー独自の弦の高音部の清澄さ。複雑な音の星座。第四楽章、遠く遠く行くにつれて、いつか空間は光の通路に吸収され、満々たる光に満ちたかと思うと、またもや空の星座、いつしかその宇宙に人の呻きが、魂の慟哭が響きわたり、そして最後にその響きを黒い音が蓋をして終わる。