あらしのなかに たつ | Jesus Kiss

Jesus Kiss

イエス・キリストに惚れたある男性の日記のようなもの

お船は周南市の島影に移動して、錨を下ろしました。
こちらで台風に備えたいと思いまする。

本日夜中から明日の午前中が、この辺りの暴風バトルの時間帯となりましょう。

昨日は食料調達がてら、停泊岸壁から上陸いたしまして、思いつきでふと少し足を伸ばし、周南市美術博物館を覗かしてもらいました。

美術のたしなみなんて、ないんですけどね(笑)
美術の良し悪しなんてものぁ さっぱり分からん。
ピカソもうちの姉ちゃんたちの絵も、なんら変わるところがないじゃないか。
むしろ娘たちの絵のほうが素晴らしい!

そんな程度であります。

写真展「世界ねこ歩き2」というのをやってました。
有名なんでしょうけどわたくしの知らない写真家さんが、色んな国へ行って、猫ちゃんを主人公に、その街や一緒に生きている人たち、風景たちの情景が展開しております。

ほぉ…。
こんな人里離れた村に、猫ちゃんと一緒に生きている人たちがいるんだ…。

写真ですから、言葉はありませぬ。
いやぁでもなんか、まるで猫ちゃんの鳴き声や人の声、街の音や優しい風の音が聞こえて来るかのような、そんな感じでしたよ。

プロの写真って、そういうことなんかなぁ…。

時間はたっぷりありましたので、じっくり、じっくり、見させていただきました。

そこは特別展示室なんですけど、お隣に常設展示室がありました。

猫ちゃんを撮影した写真家さんではなく、地元周南市出身の写真家さんに関する展示室でありました。

写真に人生をささげた人がおるんや…。

彼らがどんな仕組みで稼げて、飯が喰えるのか存じ上げませんが、儲けそっちのけで自分のやりたい事に情熱のすべてを、しかも人生を掛けれる人たちって、わたくしは尊敬してますよ。どんな方面でもね。

この方がお亡くなりになった後、周南市と地元文化財団で、彼に続く写真家育成を願って、林忠彦賞と名を冠し、毎年写真コンクールをやってるようですよ。

今年の受賞作品は新田樹さんという写真家の
Sakhalin 
(サハリンと読む  樺太の)
…だったそう。

あそこには、戦争に翻弄されて、国に帰れなくなった日本人、朝鮮人、そして植民されたロシア人が住んでおられる。

帰れなかったのか…、事情に腹をくくって、帰らなかったのか…。

受賞作品に写っておられるのは、日本帰国を諦めて、サハリンのそこで、朝鮮人であられるご主人と一緒になられて、静かに暮らしておられる日本人のご婦人であらせられます。

ずぅ~っと待ち続けても、日本国家が助けに来るわけでもなく、ロシアが手厚くしてくれるわけでもなく、時代に翻弄されて…、国家の争いに翻弄されて…、いくつものことを諦めて…、それでも生きておられる。

凍てつく、日本人のもはや脳裏にも浮かばないようなサハリンの地で
生きて、生きて、生きて、生きて…おられる…。

美術のたしなみのないわたくしの目にも、お母さん、あなたがそこに生きておられるお姿は、しっかりと映りました…。

美術館の玄関を出ると、たちまち熱風がやって来て、青い空と入道雲が広がっておりました…。



聖書 主なる神の言葉
「女が自分の乳飲み子を忘れるであろうか。 母親が自分の産んだ子を憐れまないであろうか。 たとえ、女たちが忘れようとも わたしがあなたを忘れることは決してない。」イザヤ書49:15