『ザ・ワールド・イズ・マイン』(The World Is Mine)
通称、TWIMとかWIM。
連載は97-2001年、今は亡き週間ヤングサンデーにて連載。
この漫画を読むためにヤングサンデーを買い出したのはいい思い出。
読み始めがちょうど青森の爆破事件頃だったかと
コミックもB6番のヤンサンコミックがありましたが、早々に廃盤。
実家には確かそろって置いてるはず。
今は真説版の豪華本がエンターブレインから販売中。
もちろん購入済w
連載当初から色々と話題(問題)となり、毎週ちゃんと雑誌に載ってるのか心配してた覚えが。
アメリカの同時多発テロ前に多発爆破テロの描写(日本国内)があったり
無差別殺人犯を助長するとか話題には事欠かない作品。
作者は反権力、ルサンチマン溜めまくり、素直に人の言うことなんか聞かない天才、新井英樹。
反権力の漫画家(原作者)というと、雁屋哲さんが思い浮かびますが
あちらが古い理想主義的反権力とすると、新井さんはリアルな反権力主義者。
編集者から、
「漫画は電車1駅の間に読み切れるくらい、軽い話がいい」
と言われれば、1駅の間にどれだけ読者を不快にできる漫画が描けるか逆の情熱を燃やす
典型的な社会に染まれないタイプのお方w
他作品でもその思いを十二分に表現してくれますw
深作欣二監督で実写映画化の話もありましたが、企画段階で監督逝去により立ち消えに。
遺作はバトル・ロワイアルII 鎮魂歌だそうですが、うん、そっちの方がいいと思うw
まぁ見事なまでに教科書や学校が教えてくれない反道徳的なお話なんですが、妙に説教がましく名言が多数多いのも特徴。
現代社会における、生と死について否が応でも考えさせてくれます。
例)
・俺にもお前にも 生き物には、 生かすも殺すも好きに出来る力がある。 …使え。 力は…絶対だ。
・人類の究極の罪は 想像力の欠如です。 つまり、 バカは罪だ!!
・世に棲む生きとし生けるものすべてが、 自由に平和に平等に 美しく明るく楽しく暮らせる、 幸福と善意と優しさに満ちた世界の要求。
情けない質問だ。 回答!! そんな… 世界は永久に ない!!
・清濁合わせ呑む それが大人の誠実です!!
・誇り高く、威厳あるものは、それにふさわしい生き方をしてる。そういったもんだべさ!!
・クマが怖いなんてえのは余裕のある人間だよ。俺ぁな 証券屋、銭っこねえのが一番怖えんだ。
背景にしろ、セリフにしろ、普通の漫画じゃ表現しないような細かい書き込みやセリフ、
何気ない日常の人間模様を書くのが得意な作者さん。
主人公の一人、トシこと三隅俊也は大阪の郵便局に務めるおとなしい陰キャ社会人。
普通の家に生まれて、普通に育ったはずなのに、稀代の殺人犯と変貌してしまう。
モンちゃんと呼ばれる謎の人物と出会ったことによって。
そして殺人犯となるきっかけとなる母親の自死。
まぁここまでよく細かくかけるなと感嘆しかありません。
話は謎の天災、ヒグマドンとモンちゃんと呼ばれる謎の人物とトシが、青森から競うように人を殺しながら南下していく話
まぁ1行だけで紹介してもよくわからないw
物語で紹介される日本各地のシーンとか、大阪のビックマン前とかそのまんまで涙が出ますよ。
いつかヒグマドンが暴れた大館市にも遊びに行ってみたい。
綺麗事な社会に、本音と真実を全面からぶつけてくるガチンコ漫画。
思春期の頃に読めば、反体制な学生になること請け合いw
まぁでもユリカンのような清濁併せ持つ大人になりないなと思ったものです。
人間の矮小さ、卑怯さ、未熟さを知ってなお、人は人であろうとすることをヤメない。
そんな極限状態で感じる命の尊さ。
ぜひとも読んで、のちの人生に白でも黒でもいいアクセントを遺してほしい。
この漫画がここを読んでくれたアナタにとって、実りある時間になってくれたら嬉しいなぁ。
ほなまたw