謝罪文を提出した者について

 パワハラと苛めによって亡くなられた宝塚歌劇団宙組に所属していた方のご遺族に対して、パワハラを行った宙組上級生3名、宙組プロデューサー2名、演出担当者1名から謝罪文を出したという事が、宝塚歌劇団側、遺族側代理人弁護士の会見で3月28日に明らかになりました。双方の会見を聞き、宝塚歌劇団HPに掲載されている合意書を読むと、会見で名前は明らかにされていませんが、謝罪文を出された方達がどなたであるかがある程度分かります。これまで、3月28日の会見までご遺族が求める謝罪をされてこなかったパワハラ行為者の方達が自身の行為をパワハラだと認めて謝罪文を出したことに驚きました。

 

 いままで、正しいと信じてきた先輩達に教えられ、自分達がやってきた事が悪いある事であり、人の命を奪う恐ろしい事だったと認める事にかなりの心の葛藤と苦しみがあったと想像します(実際には本人ではないので見当違いかもしれません)。その葛藤と苦しみを乗り越えて、自身の言葉で謝罪文を書かれた事は素晴らしいと思います。

 

 犯した罪や過ちを認める事は、とても辛いことです。しかしながら、あの会見以降、一部のYouTube動画やSNS、ブログなどで、謝罪文を出された方、後から提出する予定の方に対して、まだ、謝罪文も出していないのかとイニシャルや一部伏字、あるいはそのまま芸名を出して糾弾されているのを見かけます。というのも、パワハラ行為者として確実に認定されてのが10人で謝罪文を提出されたのが6人、提出予定の方を含めると7人だけで、3人は遺族側弁護士の会見から出すつもりがないと判明されているからです。そして、誰が謝罪文を提出したかを明確にしていない為に、これまでの週刊文春の報道などを参考にして、提出をしていないのはこの3人だと推測される人達が出ているのです。

 

 私個人の意見としては、人を一人死に追いやりながら、謝罪文だけで終わるのかという不満もありますが、ご遺族がそれを受け入れた事もあり、また、先に書いたようにこれまで信じてきた事が否定されて苦しんだ中で謝罪文を書かれたパワハラ行為者の勇気ある判断を尊重して、その勇気を持って謝罪文を書かれた人(書こうとしている人)を書いていない人だと憶測で決めつけて糾弾する事は許されるべきものではないと思います。

 

 謝罪文を書かれた人達を公表することは、いわれなき糾弾を受けている人を救う事に繋がると私は考えます。「守る」を口実にして、闇雲に隠すだけが「守る」事に繋がると私は思いません。

名前は公表されていませんが、双方の会見を聞いていけば、どの人が謝罪文を出された方の推測はつきます。まず、宝塚歌劇団側の会見から村上理事長が謝罪文を出された人数を聞かれて、以下のように回答されています。

 

「具体的な人数については、回答を控えさせて頂きたいと思います。ただ、え、少なくとも、在団している劇団員につきましては、基本的に劇団が謝罪文を預かりまして、本日、ご遺族にお渡しさせて頂きました」

 

以下の引用動画の1:12:37あたりからです。

 

 

 続いて、遺族側弁護士の会見から

 

記者 「10人の方、パワハラ行為者の方の10人の方の現状といいますか、退団とかも含めて、どういうふうになっているのかというのは、把握されておりますでしょうか」

 

遺族側弁護士 「これはですね、退団している人はいますし、退団していない人もいます。ただし、退団した理由が本件のパワハラに関係した事なのか、そうでない事じゃなく、元通り予定がそうなっていたという事なのか、そういう問題については、私共はコメント出来ない」

 

 というやり取りがあります。また、同じ会見の中で、謝罪文を受け取ったのは幹部上級生2名、上級生1名、プロデューサー2名、演出担当者1名からとも答えています。上記の記者と遺族側弁護士とのやり取りは下の引用動画2:07:09あたりからです。

 

 

2つの会見から導き出される事

 この2つの会見から分かることは、謝罪文を出した上級生は2024年3月28日時点で、宝塚歌劇団に在団している者であるという事、その中で幹部上級生2名と上級生1名は謝罪文提出済みである事、3月28日には間に合わなかったが、謝罪文を出す予定の在団中の者が1名いるという事が分かります。そして、謝罪文を出していないと糾弾されている人の中には、謝罪文を出した人達が含まれているのです(在団中の者であり、幹部上級生と呼ばれる2名)。

 

 それなのに、謝罪文も出さないで、舞台に立つのか!と糾弾されるのはお門違いだと思います。在団中の劇団員については、宝塚歌劇団が責任を持って謝罪文を届け、これからの者も必ず届けると約束しています。また、10人のパワハラ行為者の中には退団者もいて(厳密にいえば10人以上いるが合意書に書かれた行為に関与したとはっきり確認できたのが10人)その退団者の中には幹部上級生が含まれています。合意書の中に幹部上級生が登場してきますが、同じ人物が重複しているが、重複していないという事も会見から分かり、合意書に書かれた月日と幹部上級生がその役職に就任した(していた)時期を照らし合わせてみれば、パワハラ行為者の幹部上級生は全部で4人である事も分かります。

 

 そこで、宝塚歌劇団のHPでもwikiでもいいので確認して欲しいのですが、今も宝塚歌劇団に在団している幹部上級生が誰であるか見て欲しいのです。宝塚歌劇団に関心のある方、ファンの方ならどなたが謝罪文を提出した幹部上級生なのか、また、合意書に書かれた行為をした上級生の中で誰が今も在団中であるかが分かるはずです。この3名とそれからあまりにも有名になりすぎたヘアアイロンの上級生は自分達の行為を認めて、謝罪文を書かれた(書こうとしている)人達なのです。その人達の苦しい中での決断と行為をなかった事にして叩くのは、新たに再生して生きていこうとする人達の足を引っ張ることになってしまいます。私はそれをするべきではないと思います。

 

心の底から悔いてやり直して欲しい

 正直な話、謝罪文で終わってしまう事に対して腹ただしい気持ちが強くあります。私は大事な仲間の死をパワハラ行為者が悲しんでいるのが週刊誌の報道だけですが、1人しかいなかったと知った事がとてもショックでした。大事な仲間を亡くした時に自分の行為が原因だったのではないかと少しでも頭を過らなかったのかなって心を痛めなかったのかなって不思議でした。そんな事が頭に過らないほどに、これまでの故人に対する行為は当たり前の事で自分達のやってきた事が原因だと全く考えなかったからこそ、これまで頑なにパワハラをしていないと否定されてきたんだろうと思います。でも、私の勝手な願望になってしまいますが、パワハラを否定するよりも先に仲間の死を悲しんで欲しかったです。

 

 生きていればやり直すことが出来ます。けれども、それは茨の道になりました。例え、劇団とご遺族の間では謝罪文で終わって、それ以上の処分も処罰も受けなくても、宝塚歌劇団ファンや多くのファンが許して温かく見守ってくれても、それ以外の世間の人達は何も処分も処罰も受けていない、それは責任を取っていないと解釈していて批判していく人達が多く出てきて(出てきている)辛い思いをしていくと思います。私は謝罪文も出さない人達よりは謝罪文を出した在団中の劇団員の人達は素晴らしいと思います。

 

 世間の批判も覚悟して舞台に立つ茨の道を選んだ決断を私は応援しますし、それを否定したり、あなた方が選んだ行動をないことにして批判する人達を軽蔑します。茨の道だと思いますが、どこを探しても、どれだけお金を積んでも二度と生き返られない故人がどれだけ大切な存在だったのかを知る時がきて、心の底から申し訳ないと思い、その死を弔おうと自然に思える日が来ることを心の底より望んでいます。その時に、ようやくパワハラ行為者の方達は許されるのではないか、と、私はそんなふうに思っています。

 

追記・まとめ・謝罪文を出した在団中の劇団員

 謝罪文を提出したのは在団中の劇団員3名と宙組プロデューサー2名、新人公演担当演出家1名。
合意書に登場するパワハラ行為者に該当する在団中の劇団員は以下の3名。(敬称略)
 
  • 宙組組長 松風輝
  • 宙組トップスター 芹香斗亜
  • 宙組上級生 花菱りず(被災者の新人公演の本役)