続き...



K店で閉店近くまでトリガーゾーンを打ち、そこそこの出玉を換金した後、再度あっちゃんに聞いた...


柿ピ...
「これから会う人って、上の人?」


あっちゃん...
「いえ、話を持って来るだけの人です」


柿ピ...
「そっか...」


「そっか」のガッカリした自分の言葉に、僕はこの時何かに期待していたのだろうか...


「あれ以来」、刺激の無い日々を送り、ただ退屈な時間を過ごしている自分は、きっと心のどこかで「何か」に期待していたのだと思う...


あっちゃん...
「今日も何とか勝てましたね。それでは行きましょうか?」


柿ピ...
「あっ、あぁ...。ところで何処で会うの?」


あっちゃん...
「T駅近くの焼肉屋です。ここからそんな遠くないので。では行きましょう。」



国道254号から463号を走り、2台の迷惑な車が夜のT市を駆け抜ける...



20分程で焼肉屋の前に着き、あっちゃんは店の前で誰かに電話を掛け始めた...


これから会う人だとすぐ分かり、愛車を店の専用駐車場に停める...。


あっちゃん...
「あと10分くらいで来るみたいです」


柿ピ...
「そっか...」


素っ気ない返事に、僕の頭の中では色んな事がグルグルと回っていた...


「どんな人が来るのか」、「やるのかやらないのか」...


そんな事を考えていると、10分も経たない程で反対車線の軽トラから大きな声が聞こえた...



男...
「あつし!」


あっちゃん...
「吉澤君」


お互いがお互いを見つけると、「吉澤君」と言う男が軽トラから降り、こっちに向かって来る...


あっちゃん...
「こちら、吉澤君。で、こっちが...」


柿ピ...
「柿◯◯と言います。よ、よろしくお願いします...」


吉澤「君」って...どう見ても、50過ぎのオッさんだった...


しかも、仕事終わりらしく、ハゲ頭に伸びたヒゲ、首元の伸びた白いロングTシャツに汚れた作業ズボン、首に手拭いを巻き、汗臭く、正直小汚いただのオッさん...と、第一印象はこんな感じだった...


吉澤君...
「もう少しでもう1人来るからよ。先に店入ってようか...」


あっちゃん...
「えっ?もう1人って誰?」


どう見ても歳上なのにタメ口で話すあっちゃん...


吉澤君と言うこの男...


特に怒ったりもせず、あっちゃんの問いに答える...


吉澤君...
「あぁ、H店の店長」


あっちゃん...
「あの人ですか。」


この3人がどんな関係なのか...


何も言えない自分に、吉澤君がロンTの袖を捲りながら言った...


吉澤君...
「ほら、店ん中、入るぞ」


先に店へと入る吉澤君の後ろをついて行く柿ピ...


捲った袖から見えた腕には、彩られた「模様」が見えた...


この時僕は、「やっぱり」と思うも、店の中へと入るのだった...






気ままに続く...