前回に引き続き、私がソープをあがると決めてからの話です。



店長と話してから数日の間に、メールで連絡が取れるお客さん達に、来月いっぱいであがることを知らせました。


ほとんどのお客さんが即座に返信してくださり、近いうちに遊びに来ることを約束してくれました。



私がアドレスを教えていたお客さんは、指名のお客さんの中でも特に親しい人や頻繁に遊びに来てくれる人ばかりです。


ある程度通ってくれて、信用しているからこそ教えたアドレスなわけです。




連絡を取ったお客さんの中に、何回か貸切で食事に行った葉山さんというお客さんがいます。


この葉山さんという人は遠方からのお客さんですが、定期的に通ってくれるようになって数年経っていました。


出勤確認や姫予約の他にもメールを送ってくる人でしたが、それほど頻繁でもなかったので、特に迷惑と感じるほどではありませんでした。



連絡してすぐ数日後に葉山さんがお店に来てくれました。


私が連絡したお客さんの中では一番乗りです。




葉山「あがるって、もうソープでは働かないってこと?普通の仕事をするの?」



ユキ「そうなんです、これからは普通の仕事をしていきますよ。」



葉山「でもそれじゃあお金が足りないでしょ?今までの稼ぎの何分の1しか稼げないんだよ?」



ユキ「大丈夫です、なんとかなりますよ(笑)」



葉山「俺が援助してあげるよ!月に2~3回、今までと同じ金額だったら少しは生活も楽だと思うよ。」




こういうお申し出はけっこう多かったです。


生活が大変だろうから、逢えないのは寂しいから、俺は特別だから、なんて理由で援助交際を申し込んでくるわけですね。



この葉山さんは私にとって、とても気持ちの楽なお客さんだったんです。


仕事が楽だとかではなく、一緒に居て気を使わない人、使わせない人でした。



そして葉山さんは私に『ソープ嬢としてではなく、女性として好きだから付き合って欲しい。』と何度も言っていた人だったんです。



だからこそ、この時の葉山さんの言葉がちょっとショックでした。



『結局好きなのはソープ嬢の私なんでしょ』


『お金で身体を売るのを辞めると言っている人間に対して、まだ続けろって言うんだなぁ』



って感じてしまったんです。




このことを余計に強く感じたのは、私の最後のお客さんになる庄司さんが来店したときでした。



庄司「とうとうユキがあがるときが来たね。」



ユキ「今までありがとう!最後の日は予約しておくけど、大丈夫かな?」



庄司「大丈夫だよ、何年も前から約束してたんだから、もし仕事でも休んでここに来るよ。」



ユキ「ありがとう、ラストに予約入れるからね!」



庄司「こんな日がいつか来るのはわかっていたんだけどな…、いつまでも来なければ良いとも思ったし、早く来てほしいとも思ったよ。」



ユキ「うん………ありがとう。」



庄司「卒業したら携帯を変えたほうがいいよ。俺だっていつ衝動的に連絡したくなるかわかんないし、他にもそんなお客はいっぱいいるだろ。」



ユキ「そうだね、でも庄司さんと連絡取れなくなるのは寂しいな…」



庄司「この世界から足を洗うなら客ともきっぱり決別したほうがいい。じゃないと『金払うから』なんて連絡が来るぞ。」



ユキ「そうだね…」



庄司「もうソープ嬢じゃなくなるんだから、そういう話はお前に対して失礼だ。」




とても嬉しい庄司さんからの言葉でした。


『やっぱりこの人が最後のお客さんで良かった!』と思わせてくれる言葉ですよね。


そしてこの言葉を聞いてさらに、葉山さんやその他一部のお客さんの援助交際の話が嫌になったんです。



いくら口では心配してくれても、真の意味での心配ではなかったなぁと…




本当に私のことを考えてくれる人は『この世界からきっぱりあがりなさい』と言ってくれる人なんだと思いました。





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