月に2~3回は通ってくれていた芳川さん。
お店に来るときはいつも会社(一応)の若い衆を2~3人引き連れて来るので、お店にはお得意さんでした。
私が休みの日にお店に来ることもあり、そういうときはフリーでお店の勧めた嬢に入っていたんです。
芳川さんはどんな手抜き嬢に入ってもお店に文句を言うことはなかったので、店長もお茶を挽きそうな嬢と本当にお勧めの嬢を交互に紹介していたようです。
この芳川さんはそのスジの職業の方ですが、とても温厚な人です。
芳川さんがお店で怒るなんてことは絶対にないと思っていました。
でも『絶対にない』と思っていたことも起こるものなんですね。
芳川さんが顔を見せなくなって1ヶ月、店長に呼び出されました。
店長「芳川さんから連絡ない?」
ユキ「あれっ、そういえばしばらく見ないですね…連絡もないですよ。」
店長「実は昨日久美ちゃんをクビにしたんだけど、芳川さんが前回来たときに久美ちゃんをつけちゃったんだよ。」
ユキ「久美ちゃんって?会ったことないです。」
店長「夜の子でね、1ヶ月くらいいたんだけど評判悪くて…芳川さんが怒って帰っちゃったくらいだから。」
ユキ「えぇ~、芳川さんが怒るって、何をしたら怒るんですか!?」
店長「芳川さんは何も言わなかったけど、他のお客さんに聞いたらサービスは適当でチップをねだるらしいんだよ。」
この話を聞くまで芳川さんが来ていないことに気づかなかったんですが、私のお客さんでもありますしメールしてみることにしました。
久美ちゃんが芳川さんを怒らせたことには触れずに、近況伺いのメールです。
1日たって芳川さんから返信がありました。
芳川『明日の昼に行くからダブルで予約して。明日は一人だから部屋空けなくていいって店長に言っといて。』
まるでメールが来るのを待っていたように、翌日お店に来ることになりました。
ユキ「久しぶりですね!また浮気してたんでしょ~(笑)」
芳川「いや、ソープはしばらくどこも行ってないんだよ。もともとここにしか来ないしね。」
ユキ「ビールにしますか?」
芳川「うん、今日はゆっくりしよう。この前ひどいめに遭ったからな。」
ユキ「どうしたの?」
芳川「前回来たときにさ、とんでもないのに当たったんだよ…あの子は金の話しかしなかったなぁ。」
ユキ「お金の話?それもどうかと思うけど、ひどいめって?」
ここから芳川さんの愚痴は延々と1時間ほど続きます。
温厚な芳川さんにここまで言わせることは、嫌われようと思っても難しそうです(汗)
芳川「人の職業聞いてさ、『じゃぁお金持ってますよね~少し分けてくださいよ~』って言い出したんだよ。」
ユキ「う~ん、冗談でなら言うこともあるだろうけど…?」
芳川「俺だって最初は冗談だと思ったよ、でも本気だったんだよ、ずっとチップくれチップくれって言ってたから。」
ユキ「チップはねだるものじゃないからねぇ…。」
芳川「そうだよな?俺もそう言ったんだよ、あんまりうるさいから。そうしたら人の財布を開けちゃったんだよ、あの子!!」
ユキ「ウソでしょっ!?」
芳川「本当なんだ、『ケチくさいなぁ!』って笑いながら俺の財布開けて、中から2枚抜こうとしたんだよ!!」
ユキ「…………………(絶句)」
皆さんなら同じことをされたときどうします?
芳川さんはそのまま服を着て、すぐに帰ったそうです。
チップをねだる行為もおかしいですよね?
本来チップって、お客さんがサービスを受けて満足した証のようなものです。
お客さんによっては、良いサービスを受けるために最初にチップを渡して「今日はサービスしてね!」なんて言う方もいらっしゃいますが、それはそのお客さんの気持ちなわけです。
久美ちゃんのようにサービスを提供する前に自分からねだるなんて、ありえない行為です。
ましてや人の財布を開けるなんてことは風俗嬢としてだけではなく、人間としてやってはいけない行為ですよね。
これ以降、新人嫌いになった芳川さんは、ある程度お店に慣れてきてそれなりに指名を持っている嬢にしか入らなくなったようです。