節約することは大事なことですよね。
でも他人に負担をかけてまで節約することには反対です。
昔一緒に働いていた瞳ちゃんは、人のお財布をアテにする子でした。
そのお店では一番若くて人懐っこい性格の瞳ちゃんは、最初の頃は他の嬢にとても可愛がられていたんです。
自由出勤のこのお店でも、瞳ちゃんほど出勤が少ない嬢はいませんでした。
周りが瞳ちゃんのことを忘れたころにヒョッコリ出勤してくるんです。
月に3回ほどしか出勤していなかったんだと思います。
お金がなくなると仕方なく仕事をして、他の日は家でゴロゴロしていたようです。
お店に来るときはお金を持っていませんから、食べ物を買ってくることもなく、出前も当然取れません。
ユキ「いただきま~す♪」
瞳「いいなぁ~、美味しそう!」
ユキ「うん、このお弁当美味しいよ!今度注文してみなよ。」
瞳「でも私お金ないから……いいなぁ~お腹空いたな~。」
ユキ「………少し食べる?」
瞳「えっ!いいのぉ?嬉しい!いっただっきま~す♪」
私のところで出前のお弁当を少し食べた後は、他の子のお弁当に視線を向けます。
瞳「カオルちゃん、それどこのお弁当?美味しそうだね!」
カオル「あっ、うん。ここのエビフライ弁当美味しいよ。」
瞳「いいなぁ~、美味しそう~。」
カオル「………ここのお弁当って量が多いから、少し食べる?」
瞳「ありがとう!いただきま~す!!」
それを黙って見ていたマナミさん、マナミさんは自分でお弁当を作って持ってきています。
この日の帰り、同じ方向に帰る私と瞳ちゃんとマナミさんはあがり時間もほとんど同じだったので、一緒にタクシーに乗って帰ることにしました。
ここでも瞳ちゃんの自己流節約術は続きます。
一番お店から近い瞳ちゃんは、タクシーを降りるときにサラッと言ってのけました。
瞳「ついでだからお金いいですよね?」
ユキ「あっうん、いいよ。またね~。」
マナミ「………(無言)」
そして次に瞳ちゃんが出勤してきたとき、また同じように人のお弁当を貰っている瞳ちゃんにマナミさんが言いました。
マナミ「瞳ちゃん、自分でお弁当作って持ってくるとお金かかんないよ。」
瞳「えぇ~、料理なんて面倒じゃないですか~。」
マナミ「じゃあ、コンビニで何か買ってきて安く済ませるとかしたら?」
瞳「コンビニでオニギリ買うお金もないんですよ~。それに出前のお弁当って量が多くて残るじゃないですか?」
マナミ「お金がないのは自分が働かないからでしょ、他の子のお弁当貰うのだって好意でしてくれてるだけだよ。この前のタクシー代だって、わざわざ回り道して帰ってるんだから少しは払うべきでしょ?」
瞳「そんなに怒らなくッたって…タクシー代だってせいぜい私の分って千円くらいでしょ?それくらいいいじゃないですか…。」
マナミ「それくらいって…瞳ちゃんはそのお金が払えないんでしょ?人に払わせるのは平気で自分は払えないってどうなのよ?」
普段は大人しいマナミさんが瞳ちゃんの行動に我慢がならなくなったんですね…。
今でも付き合いのあるマナミさんですが、あんなに怒った姿は見たことがありません。
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