何年も前まだ私がソープに入ってすぐ、遅番で働いていた頃のお店の出来事。
このお店のボーイさんは他のお店に比べて割と待遇が良くて、寮はそれぞれ個室を与えられ、他のお店よりも少しお給料も良かったらしいです。
ソープのボーイさんのお給料というのはお店によってピンキリで、そのあまりの違いにビックリしたことがあります。
安いところだと月に2日のお休みしかないのに18万円ってところもありますし、高いところではその倍以上のお給料プラス大入り手当てや、出勤日の食事代まで出るところもありました。
これは平のボーイさんのお給料ですから、店長やマネージャークラスになるともっと差が出るのかもしれませんね。
ボーイさんたちは健康保険に加入していない人も多く、嫌なことがあると給料日後に荷物と一緒に居なくなってしまうこともよくありました。
こういうふうに忽然と消えてしまうことを「飛ぶ・飛んだ」と言います。
この日、あがり時間が最後の方だった私は、最後のお客さんを送り出し、個室を片付けると着替えてフロントに行きました。
このお店ではサービス料は自分でお客さんから受け取り、帰り際に雑費などをフロントで精算する仕組みになっていたんです。
フロントに行くとマネージャーがその日の売上金を前になんだか慌てて電話をかけています。
マネージャー「いやそれが…○○万円しかないんですよ!………はい、…はい、わかりました。」
電話を切ると頭を抱えてお金とにらめっこしているマネージャー。
ユキ「…あの、精算は……どうかしました?」
マネ「…うん……やられたよ。高木だな…。」
ユキ「高木?あの若いボーイさん?」
マネ「今日は中番で9時に帰ってるんだよ、さっき電話したら出なかった。」
ここまで聞いたらなんとなく私にもわかりました。
ようするに高木さんはこの日のお店の売り上げを持って、飛んでしまったわけですね(汗)
これは風俗ではよくある話で、まだこのお店は女の子のサービス料を別に取っていたので被害が少ないほうなんです。
それでも被害額は100万円ほどにはなったはずです、フロントでサービス料を一緒に取っていたらこの3倍の金額になっていたでしょうね。
この日はもう時間も時間だったので、気にはなりましたがそのまま帰りました。
そして翌日、出勤してマネージャーに話を聞くと
マネ「昨日はあれから社長が警察に連絡して、結局朝まで………寝る時間もなかったよ。」
ユキ「警察に連絡したんですか…で、結局高木さん?」
マネ「そうだろうな。昨日のうちに荷物をまとめていなくなってるし。」
こういう事件は風俗ではよくあるんですが、警察には連絡しない場合もあるんです。
警察に連絡しても、ボーイさんは名前も本名かどうかわからない場合が多いし、住所不定で出身地さえわからないので、捕まらないことが多いらしいです。
控室に行くとこの話でもちきりでした。
ユキ「おはよ~♪みんなもう知ってるんだね。」
カオル「ユキちゃん、聞いてよ!私の友達が高木さんと付き合っててさ、お金持ってかれちゃったんだって!!」
ユキ「えっ、盗まれたの?友達ってどこの子?」
カオル「○○○の子なんだけど、高木さんに100万貸してて、そのまま音信不通だって!」
ユキ「じゃあ、フロントのお金も高木さんで間違いなさそうだね…。」
結局高木さんは捕まらなかったので、フロントのお金と彼女から借りたお金合わせて200万は高木さんの物になったわけです。
ボーイさんによる窃盗事件はかなり多いはずなんですが、それでも身元を確かめないで雇うのはなぜなんでしょうね?
せめて運転免許証のコピーをとるとか、住民票を提出させるくらいは必要だと思うんですけど…。
この話を書き始めてから気になったので、知り合いのボーイさんに聞いてみたところ、今でもやはり偽名で働くことは可能だそうです。
運転免許の提示はしてもコピーまでは取らないようですし、送迎のないお店だと免許も提示する必要がないそうです。
これでは安心してフロントを任せられないですね…。
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