数年前に川崎の町からちょんの間が消えました。



ちょんの間とは最終的にやることはソープと同じですが,お風呂もシャワーもなく小さな部屋で座布団の上でいたすところです。


ちょいの間とも呼ばれていますね。



お店は入り口がガラス張りになっていて、そこで女性を選ぶことができました。


女性はお店に一日いくらかの部屋代を自分の稼ぎの中から支払っているシステムなんだそうです。



料金は1回(30分程度)で1万円くらいだそうですが、交渉次第で安くもしてくれるようです。



働いている女性は外国人や年配の女性が多いというのが昔のちょんの間でしたが、ここ数年はびっくりするくらい若くて可愛い子もいました。


そういった若い子はソープのサービスを嫌って、殆ど何もしなくてよいちょんの間で働いていたようです。




そんなちょんの間が規制によって一斉に店を閉じたんです。



もちろん川崎だけではなく、次には横浜のちょんの間も消え、そこで働いていた女性や通っていたお客さんがソープに流れてくることになりました。




ソープ嬢はちょんの間を嫌っている子も多かったんです、私もその一人でした。


理由はお風呂もシャワーもない不衛生さ、考えてみれば即即をするソープも同じようなものなんですけどね。




私の指名のお客さんでもちょんの間から流れてきた人がいました。



年配の金子さん、もともとはソープに通っていた人ですが、ある女性と仲良くなりちょんの間に通い始めたんだそうです。




初めて金子さんにフリーでついたときはビックリしました。


金子さんのお腹には、まだ赤みの残る大きな大きな手術痕があったんです。







ユキ「これ手術してまだ日が浅いんですか?大きな傷ですねぇ…」




普段は手術痕などには触れないことが多い私ですが、さすがに黙っていられる傷ではありませんでした。




金子「そうなんだよ、まだ退院して2ヶ月くらいなんだ。今日も病院帰りでね。」



ユキ「そうですか、大変でしたね。こんなに切ったら痛いでしょうねぇ。」



金子「ここにマークがあるだろ?」



ユキ「はい、バッテンになってますよね?なんですかこれ?」



金子「放射線治療をしてきたんだよ。手術だけじゃもうダメみたいでね。」




金子さんは余命宣告を受けたガン患者さんだったんです。




金子「やっと川崎に遊びに来れると思って喜んで来たんだけど、いつもの店は閉まってて馴染みの子とも連絡が取れないんだよ。みんなどこへ行ったのかねぇ?」



ユキ「一斉に取締りがあったとかで…働いていた人達はソープや横浜のちょんの間に流れたんじゃないですかねぇ…。」



金子「そうかぁ…もう探せないなぁ……病院にお見舞いに来てくれていたんだけど、急に来なくなって心配していたんだよ。」




金子さんの話をよく聞くと、彼女は日本語は達者なものの中国人だったようです。


きっともう中国へ強制送還されてしまっているだろうと思いましたが、それは彼女の身を案じる金子さんには言えませんでした。



金子さんはしばらく病院帰りに私を指名してくれていましたが、それも数ヶ月のことでした。




最後に彼女に逢いたかったことでしょうね…。


きっと彼女のほうも中国で金子さんを心配しているんじゃないでしょうか?




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