俺がワッツで、ワッツが俺で① | 脚本家・柿本流(かきのもとりゅう)の「打倒!ナオミ・ワッツ!!」

俺がワッツで、ワッツが俺で①

さぁさぁ、いきなり間が空いたぜ!


夏だからぜ!

夏なのに外出せず「ロスト」三昧

だったからだぜ!

兄貴に二人目の子供が生まれたりも

したからだぜ!

俺の本名の一文字取って命名され、

恐縮したからでもあるんだぜ!

って、全部言い訳だぜ!


さて。


いい加減、僕とナオミの話を

しなければいけません。



ナオミ4

「ナオミよーん」



いい加減にしなければいけません。

今更TBCのCMとか、誰も覚えてないのかも

しれませんし。



「直美やーん。藤山のほうやけどな」



これはちょっとありなのかもしれません。

この顔力にはどんなボケをもってでしても

太刀打ちできませんし。



じゃあーーなくて。



ナオミ2

「ナオミです。苗字はワッツっていいます」


そうそう、この人です。

ナオミ・ワッツ。現在、38歳のハリウッド女優。

彼女との出会いはデビット・リンチ監督の

『マルホランド・ドライブ』でした。

リンチの作品は相変わらず&案の定

よーわからんお話でしたが、それを

マスコミュニケーションでは「リンチの悪夢的迷宮」とか

書き連ねてましたが、そんな迷宮に当時32歳の

ワッツは果敢にも挑んで見事ブレイク。

レズビアンシーンに持ち前の美乳で挑み、

32歳にしてウルトラブレイクするきっかけを掴んだのでした。


2006年1月、関西限定の某大手カルチャー誌で

『イカと銀杏』という「名作映画に隠された文脈エロスの糸を手繰る」

というようなミニコラムを連載していて、僕はそんな

ワッツのサクセス物語をやはり「リンチの悪夢的迷宮に!」とか

使いながら書き連ねていたのですが。


当時上映中だった「キングコング」もチェックして

劇中のワッツにさらに心打たれたのです。



だって、物凄く変なダンスしてたでしょ?


デカイゴリラの前で、物凄く変なダンスしてましたでしょ?


獰猛なゴリは、ちょっと嬉しそうにしてたでしょ?


ゴリ

「ナオミ、その踊りはアリかもね」



そんなナオミに心打たれ、そして私は断言する。

美女ほど物凄く変なダンスが似合う生き物はいないと。


学生時代にクラス1の美女を日曜日に見かけ、

その私服が物凄くダサかったことにドキッとしたり。


起き抜けの彼女がおもむろにメガネをかけて

歯磨きをしている姿にドキッとしたり。


そのメガネが3000円くらいのメガネ屋のカゴで

叩き売られている安物だということが判明して

ガクッときたり。


男の子なら、一度はこういう思いを抱いたことが

あるはずです。


美女がブサイクになる瞬間ーー。

その振り幅に、僕たちは女神を見るのです。


「『スクールデイズ』がサンタバーバラ映画祭に招待されたけど。

 柿本君、行っとく?」


僕がナオミにウツツを抜かし始めたある日のこと。

『スクールデイズ』の守屋監督からそんなお誘いを

受けまして。


ちなみに、世界には意外とたくさんの映画祭が

あり、夜な夜なセレブパーティーが開かれている

そうな。しかし、そこに参加できるのは役者や

監督というのが一般的。もしくはプロデューサーとか。

柿本流という若輩脚本家が参加できるなど、

僕ですら予想だにしてなかったことなのですが。

皆さんのスケジュールが調整つかず、監督が一人で

行くというのもアレなのでということで、僕に

お鉢が回ってきたのです。

しかし、当時の僕は連載モノやら脚本仕事やらで

結構ぱっつんぱっつんの生活を余儀なくされて

おり……。


柿本「行きたいのはやまやまなんですが、ちょっと

   仕事が立て込んでまして……」


監督「ゲストはジョージ・クルーニーだよ」


柿本「ああ、あの顔の濃いオッサンですね。いや、ですから

   ちょっと締め切りが重なってまして……」


監督「アカデミー賞の前哨戦だから、スピルバーグも

   来るみたいだよ」  


柿本「いや、ですから締め切りが……。売れてない作家という

   のは逆に忙しかったりするじゃないですかぁ」


監督「ああ、あとナオミ・ワッツも来るみたいだよ」


柿本「行ぐ!! 監督、ボグ行ぐ!!! 行がぜでぐだざい、おねがいじまず!!!」


監督の「ああ、あとナオミ・ワッツの……」の「ああ、あとナオ」ぐらいで、

んもう、監督のセリフに食い気味で「行ぐ!!」と叫んだ僕。

後半は「セカチュー」みたいな感じになっていた僕。


そのとき、僕のナオミに対する思いは

まだ愛情100%だった。


(つづく)