山の里加子母。今朝は雨。久しぶりに雨になりました。乾ききっていた里には文字通り

『干天に慈雨』です。スマホの予報では既に気温が10度を超えているものの、テレビの

予報では今日一日風が強く「春の嵐」になるとのことです。

 

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中津川市落合地区を流れる木曽川。その木曽川に1926年(大正15年)に建設された

のが落合ダムと発電所。現在は関西電力(株)が管理・運営をしています。

 

ダムの高さは33メートル、長さが215メートル、貯水量が約387万立方メートルです。

二か所の発電所からは最大3万3600キロワットの発電をしています。

 

 

このダムの畔に一基の碑が立っています。戦前に活躍したプロレタリア作家葉山嘉樹

(はやまよしき・1894~1945)の文学碑です。昨日、妻と二人で文学碑の見学に行っ

てきました。

 

 

このダムの建設工事に一労働者として従事したのが葉山嘉樹。葉山が仕事を終えた夜に、

飯場(工事に従事する労働者のための宿舎)で、疲れた体に鞭打って書いたのが「セメント

樽の中の手紙」です。ダムが完成した1926年(大正15年)に発表された短編小説です。

 

そのあらすじは「若い労働者が誤って岩石の破砕機に巻き込まれて絶命。その様子を目の

当たりにした恋人が、その心情を手紙にしたためてセメント樽の中に入れる」というもの。

そのショッキングな内容に加え、当t時の労働の厳しさや貧しさにあえぐ労働者の家族の状

況がリアルに描かれています。

 

短編小説ながら本格的な文学として評価され、高校の国語の教科書にも掲載されています。

文学碑には、次の葉山嘉樹の言葉が刻まれています。

 

『馬鹿にはされるが、真実を語るものがもっと多くなるといい。葉山嘉樹』

 

国の指導者が平気でウソをでつくなど政治に対する信頼が揺らぐ中、社会的格差や貧富

の差が拡大する現代に対して、今何が必要なのか、何をなすべきかを呼びかけている

ような気がしてなりません。

 

 

*撮影日=2021.3.1