このところのタリセ島は外海からうねりが入ってくるものの概ね凪ぎの日が続いています。おかげで核入れ作業も順調です。採苗も今年一発目が出ました。

採苗をやる前に貝の幼生の餌となるプランクトンを準備しないといけないのですがプランクトンは生き物なのでこれの培養もなかなか難しい面があります。

貝の餌となる植物プランクトンは自然界では海水の栄養分と太陽光があれば分裂して増えていきます。よって室内培養でも海水と日光の代わりとなる蛍光灯があれば増えていくわけですがより高密度に速く増殖させるために栄養分を濃くして蛍光灯も十分な光量で24時間照らしてやります。栄養分の最適な濃度は研究者の方が研究を重ねて作り出したものがあるのでその割合で数種類の成分を足していけばいいのですが、最近ではKW21という商品名の濃縮培養液を使うようになり、その手間を大幅にはぶくことができるようになりました。ありがたいことです。

培養液を作ったら次はプランクトンを添加して栓をして蛍光灯に当てエアレーションをするだけですが、元になるプランクトンの選定は各社様々なようですね。貝の幼生が食べることができるプランクトンの中から培養が比較的容易な種類が何種類か公的機関で培養、保存されているので最初はそちらで分けてもらうことが多いようです。

僕が以前在籍していたK社では当時担当をしていたO氏が現地の海水から分離培養した名もない(あるかもしれないけど分からない、、、)キートセラスを使用していました。今の会社でもその種を分けてもらい使用しています。

最初にこの名もないキートセラスを分離したO氏はすごいと思いますが実はその方法はとてもシンプルなものです。培養液に、海水をろ過してプランクトンの密度を濃くしたものを添加しておくといくつかのプランクトンが増殖し、その中で最も増殖速度の速いものが最後に残ります。その増えたプランクトンを何度か植え継いでいくと、1種類のプランクトンだけが残るようになります。

僕も実際に数種類の植物プランクトンをこの方法で分離してみたことがありますが使いやすさの面でO氏が作ったものが今のところ一番使いやすいです。前述の方法で培養するとこの種が残る確立が一番高いようです。ここの海水で生育している種類なので培養室を低温に保つ必要がないのも有利な点だと思います。

実は先日関連会社のKさんがこのプランクトンの種を取りにタリセ島へ来ていました。ここ数日プランクトンの話をずっとしていたので、その流れでプランクトン培養をブログネタにしてみました。