シミルボン・2016年9月26日初投稿

 

ネット上で仲良くなった人の勧めで、『ゴールデンライラック』に収録されている萩尾望都先生の『マリーン』を読んだ。
この本に収録されている作品の中では、唯一、萩尾望都先生のオリジナル作品ではなく、今里孝子先生こと城章子先生の原作付き作品であるが、他の萩尾望都先生の作品と違和感がなく萩尾望都先生の世界観に溶け込んでいる、と思う。

少なくとも、私が知る限りの萩尾望都作品世界との違いはなかった。(『11人いる!』『イグアナの娘』『トーマの心臓』『ポーの一族』『訪問者』『半神』等)
これは、後に萩尾望都先生のマネージャーになる今里孝子先生こと城章子先生も、石ノ森章太郎先生のファンであり、また大泉サロンの一員で、大枠で考えて24年組の作家であることも原因の一つだと思う。

もしくは、今里孝子先生こと城章子先生の世界を、萩尾望都先生が巧く自分の作品世界に取り入れて、自分の作品世界の物に仕上げあげた結果かもしれない。
いずれにせよ、原作があるオリジナル作品ではない『マリーン』も萩尾望都作品として、名を挙げてもおかしくない作品だと私は思う。

作品としての『マリーン』は、小道具(銀のイヤリング)の使い方が効果的な作品だった。 
マリーンにとっての恋の始まりは彼女にとっての全ての終りから始まる訳だから悲しい。
彼女には将来の夢も希望もなにもかもないけれど、それと引き換えにしてたった一つの夢を手に入れたのかと思うと幸せなのか、可哀相なのか分からなくなる。
 私は可哀相だと思ってしまった。 
 

「そんなに年をとらないわ あなたが大きくなるまでまってるわ」

 

……って切ない言葉だなぁ。

※この記事は6年前に自分のブログで書いた記事に加筆、修正をして転載した記事になります。