シミルボン・2016年11月29日初投稿

 

再放送でみて好きになった『おれは男だ!』が少女漫画原作と知ってから、原作漫画を読みました。
1970年に連載された作品で、今の目から見れば絵柄は昔の少女漫画だという印象はありますが、まず、絵が綺麗で丁寧です。
画面の流れもストレスなく読むことが出来て、話のリズムもとても心地よい作品でした。

また、読んでみて思ったことは、記憶に残っているテレビドラマ『おれは男だ!』は、思っていたよりも津雲むつみ先生の漫画『おれは男だ!』の内容をしっかりと出来るだけ再現しているということです。
下手な原作の改変をしていないのに、漫画だけ読めば純然たる少女漫画であるのに、テレビドラマでは森田健作さん演じる小林君が主人公になった男子高校生の青春ドラマになっていたことに驚きます。

漫画で描かれた少年が生身の人間の男性が演じることで、漫画の中でも生き生きとした人物に更なる血肉を与えている、と感じました。
そのドラマも素晴らしく面白く楽しい作品でしたが、津雲むつみ先生が描く漫画『おれは男だ!』もまた、1コマ、1コマが丁寧で、人物の表情や仕草もしっかりと描かれていて、その1カット、1カットがとても魅力的に話を生み出しています。

掲載誌が『週刊セブンティーン』週刊連載でも絵は線が流れることなく丁寧で、話も丹念に描かれていることに素晴らしさを感じます。
そこから、作品に対して大事に大切に描かれていたという気持ちが伝わってきます。
また、不思議なことにこの漫画が描かれていた時代の空気を感じるのです。
私が生まれる前の作品ですが、私が幼少時代に微かに記憶に残っている1970年代の空気を感じるのです。

漫画の作品の中にその時代の空気を感じさせるということは、(私のは錯覚かもしれませんが)連載されていた時代では、今を取り込み、今を切り取った、当時の人の心を掴んだ作品だと思うのです。
ドラマの影響だけではない、漫画作品の持つ力が、今、読んでも充分読み応えのある作品として残っているのだと思います。