シミルボン・2016年12月6日初投稿

 

以前コラムりぼんとなかよしの違い2・アニメ化の場合で、『りぼん』は『なかよし』よりもアニメ化するのが、うまくないと書きました。
アニメ化作品を見れば、アニメとして見ても良く出来ていたり、意外にも嵌って見た作品もあるのですが、りぼんっ子としては、「何で、『なかよし』の作品と比べて社会的に盛り上がらないのだろう?社会現象にまでいかないのかな」って思ってしまうのです。

 

 

 


『ちびまる子ちゃん』(1986年『りぼん』8月号より連載。1990年1月テレビアニメ化)がアニメになったのは、私が中学生の時です。
この時には連載第1回から『りぼん』本誌で読んできて嬉しさよりも、この作品がちゃんとアニメになるのかなっていう不安でした。
けれど蓋をあけてみれば、ナレーションにキートン山田さんを使い、あの飄々とした『ちびまる子ちゃん』の世界が再現されていて、クラスの男子さえも『ちびまる子ちゃん』のアニメの話をしていたので、わぁ、すごい、りぼんっ子以外にもまる子が受け入れられている!という喜びとアニメの影響の強さを実感しました。

特に私が、すごいなあって思ったのが、私のイメージした通りのまる子の声が聞けたことです。
アニメ誌などでは、まる子の声がもっと可愛いほうが良かったなんていう投書も見た覚えがあるのですが、私は、いや、まる子は可愛いっていうキャラじゃないから、あの声でいいだってばって思いました。
これを更に後押ししたのが、『さくらももこのANN(オールナイトニッポン)』でさくらももこ先生の声を聴いて、さくらももこ先生の声がアニメでまる子を演じているTARAKOさんと同じ声だったことでした。
確か、歌手のイルカさんもゲストで来て、三人が似た声で楽しく混乱しました。

『ちびまる子ちゃん』のアニメは成功し、後に実写ドラマ(2006年3月初テレビドラマ化)にもなって、このドラマも好評でした。
『ちびまる子ちゃん』はアニメも実写ドラマも成功した珍しいケースだと思います。
そもそも、映像化されるとイメージが壊れてしまうということになりかねないのが漫画作品の映像化だと思いますが、そうではなかったのは嬉しかったことです。
ただ、『ちびまる子ちゃん』の場合、アニメ化、実写ドラマ化されたことで、漫画のほうでは、私にはあまり好ましくない影響が出てきました。

それが、作風の変化です。
まる子は、少しこっすからい、ひねくれた性格を持つ女の子で、それでも憎めない程度に嫌な子ではなくて、だらしないところもあって、ああ、あるある、分かる、分かるって共感が出来て、それでいて連載開始時には小学生だった私には、微かに残る1970年代の日本の風景に少し懐かしさを感じる、身近で懐かしいところがとても好きだったんです。
だけど、アニメ化されてから数年経ってくると、何かしら心温まる、可愛らしく優しい話が大きくなってきたんです。

これが、たまになら「いい話」もいいんですが、そちらの方が主流になってくると、私の中で何かが違うなって思うようになって、ああ、私が好きだった『ちびまる子ちゃん』はアニメ化されて、国民的な作品になったゆえに私が求める作品とは違う作品になっていったんだなって思うようになりました。
大勢の人がその変化した作風を支持されて、映像化された作品も含めて『ちびまる子ちゃん』を支持されたということは、私が『ちびまる子ちゃん』に感じた面白さというのは、ひょっとしたら、見当違いなものだったのかもしれません。
ただ、私個人としては、ずっと『りぼん』で読み続けてきた作品が、外に出て多くの人に知られたことで自分が好きだった作品が違うものへと変貌していったのは、少しばかり寂しかったです。

 

 

 


『りぼん』でアニメ化された作品で見て楽しかったのは、彩花みん先生の『赤ずきんチャチャ』でした。
(1992年『りぼん』11月号より連載、1994年1月テレビアニメ化)私はこのアニメでしいねちゃんを演じた日高のり子さんが好きになりました。
日高さんは、『タッチ』の南役で、既に知っていた声優の一人でしたが、ファンになるきっかけになったのはしいねちゃんでした。
あのような優等生タイプの男の子の声にこんなにも日高さんの綺麗な声があうなんて意外でした。
また、最近、引退されましたが、マリン役を演じた櫻井智さんを好きになるきっかけをくれた作品でした。

 

 

 

 

 


『ママレード・ボーイ』は、(1992年『りぼん』5月号より連載。1994年3月テレビアニメ化)吉住渉先生の絵はアニメ向きだと思っていたのですが、実際に1994年に朝8時半のテレビアニメになってみると何かこう微妙に自分がイメージしたのと違うという印象が拭えなかったのがあります。
『ママレード・ボーイ』の後番組は矢沢あい先生の『ご近所物語』(1995年『りぼん』2月号より連載、1995年9月テレビアニメ化)でしたが、この作品も矢沢あい先生の絵に対してのイメージがアニメでは出てないと感じました。
これは『ママレード・ボーイ』『ご近所物語』後番組放送された神尾葉子先生の『花より男子』(1992年より『マーガレット』で連載、1996年9月テレビアニメ化、2001年台湾でテレビドラマ化、2005年日本でテレビドラマ化)にも言えたことで、丁寧にアニメにされているけれど、何か違うという思いがありました。

私は『りぼん』で小、中学生の時から吉住渉先生や矢沢あい先生の絵に馴染んできて、どうにもアニメ用に起こされた絵が受けつけることが出来なかったのです。
もしも、アニメの絵のハードルを越えて作品をしっかりと見れば、アニメ『ママレード・ボーイ』も『ご近所物語』も数字は悪くない結果があり、この作品を好きで大事にされている方たちが多くいるのですから、私は絵だけの外見で作品を、『花より男子』も含めて自分の好みで切って捨ててしまったのだなって思えてきて、そんな自分が恥ずかしくなりました。
3作品のテレビアニメファンの皆様、ごめんなさい。

 

 

 

『ママレード・ボーイ』を東映がアニメ化したのは、『美少女戦士セーラームーン』(1992年『なかよし』2月号より連載、1992年3月テレビアニメ化、1993年初ミュージカル化、2003年テレビドラマ化)で育った女児の受け皿になるアニメを制作する為と最近耳にしました。
『りぼん』の永遠のライバル誌『なかよし』の看板作品のファンの受け皿に『りぼん』の作品を選んだ、それも私が小学生の時に将来有望な新人で作品がアニメ化される時点で既に『りぼん』のエースになっていた吉住渉先生、矢沢あい先生の作品を使うなんて!という目の付け所は確かにすごくて、さすが東映動画!と思ったのですが、同じ年齢層を相手にしている『りぼん』と『なかよし』で、『りぼん』が『なかよし』の作品を卒業した子の受け皿作品を発表されているって思われているということに少し驚きました。

おそらくは、この頃、1990年代の『なかよし』は以前コラム『なかよし』とCLAMPへの当時の素直な感想で書いたように既に低年齢化されていたのだと思います。
それは、『りぼん』との差別化のためだったのかなって、この『ママレード・ボーイ』をアニメ化する東映動画の意図を知って感じました。
今の『りぼん』は私がりぼんっ子だった1980年代や『ママレード・ボーイ』や『ご近所物語』がアニメ化された1990年代より、低年齢化されているのではないか?と現在発売されている『りぼん』の表紙を見る限りは思うのですが、中身もそうなのでしょうか。

現在は、『りぼん』も『なかよし』も私が読者だった頃よりは売り上げが低迷していて、今は『ちゃお』が一番人気という事実に、2誌の低年齢化への方向性はどうだったのだろうか?とかつての両誌の読者の一人として思います。

 

 

 


『りぼん』の作品は、アニメにするよりは実写ドラマにした方がいいかなって思ったのは、『マーガレット』で連載していた作品ですが『花より男子』の日本版テレビドラマを見てからです。
『花より男子』は日本の前に台湾でドラマ化されていますが、『ママレード・ボーイ』も台湾でテレビドラマ化されたということなので、『ママレード・ボーイ』も日本でもドラマ化したらどうだったかなって思ったのです。
掲載誌は『りぼん』ではなく『Cookie』ですが、矢沢あい先生の『NANA』が実写映画化されて成功したように(1999年『Cookie』に読み切り掲載、2000年7月号より連載、2005年実写映画化、2006年4月テレビアニメ化)吉住渉先生の作品もアニメよりは実写の方が合うような気がするのです。

:book:384212:有閑倶楽部:

:book:447442:砂の城:

実写ドラマ化された『りぼん』の作品に一条ゆかり先生の『有閑倶楽部』(1981年『りぼんオリジナル号』より連載、1986年11月単発テレビドラマ化、1991年、1992年OAV化、2007年10月より連続テレビドラマ化)があります。
2007年のドラマ化では、ジャニーズ御用達のドラマにされたという人もいますが、私は小学生の時に月曜ドラマランドで、壊滅なショックを与えてくれたドラマ『有閑倶楽部』を見ていたので、魅勒を主人公にした赤西仁さん主演の『有閑倶楽部』は意外にも、原作の話を生かしてくれて、また特に女性陣は本当に漫画から出てきたようで、特に可憐役の鈴木えみさんなんて本当にスタイルも含めてまさに可憐で嬉しかったです。
一条ゆかり先生といえば『砂の城』(1977年『りぼん』7月号より連載。1997年6月テレビドラマ化)は昼ドラになりました。

 

 

少女漫画のドラマ化も吉と出るか、凶と出るか分からないことは過去の経験から知っていますが、『りぼん』の作品や『りぼん』の作家の作品は、特にアニメでしか表現が難しいファンタジー要素、魔法などがなければ、アニメよりは実写ドラマの方が合うじゃないかなって、個人的には思います。
 ただ、アニメに向く作品も『りぼん』にあったわけで、岡田あーみん先生の『お父さんは心配症』(1984年『りぼん』11月号より連載、1994年4月テレビドラマ化)は、ファンタジーも魔法もないけれど、ドラマよりはアニメの方が向いていたんじゃないかなって思います。