シミルボン・2016年12月31日初投稿

 

『りぼん』に連載されていた作品で、ストーリー漫画の合間にあって可愛らしい絵柄とほのぼのとした雰囲気に和んだ作品でした。
この『空くんの手紙』も短くてもストーリー漫画ではあったのですが、こうギスギスした人間関係とか主人公が誤解されたり、好きな人と気持ちがすれ違って落ち込んだりする話が多い中で、気持ちがハラハラドキドキする連載漫画にあって、この『空くんの手紙』がそうした連載漫画の間に掲載されていると、なんというかオアシス的な要素がありました。

可愛らしい絵柄、ほのぼのとする話。
短いけれど、しっかりと楽しめる物語。
雑誌には、こういう一息つけるオアシス要素のある作品が必要なんだなって、『りぼん』における『空くんの手紙』での恩恵を受けていた1980年代のりぼんっ子の一人として思うわけです。

ページ数の少ない息抜きのギャグ要素の多い漫画は『りぼん』では、他に赤座ひではる先生の『ブギウギようち園』があってそちらも面白くて好きでしたが、『空くんの手紙』はそれよりも、もう少しソフトで優しいところがあって、ふと心の隙間が開いた時に読みたくなる作品でした。

楽しくて大笑いしたい時ではなくて、こうトゲトゲにささくれだった気持ちを穏やかにしたい時に読みたい作品。
それが、小田空先生の『空くんの手紙』でした。
この作品自体も連載作品ではありましたが、連載作品の合間を埋めて、昂ぶった気持ちを穏やかにする作用のある作品だったなって思います。
他誌でも、このような小休憩を持つ作品を読んだりもしましたが、一番染み込んで心に残っているのは、『空くんの手紙』だったなって思い出すのです。