数年前の夏、東北旅行に行った。

岩手では「南部鉄器」が有名な事を、その時知った。

 

私は、一番小さな南部鉄の風鈴をお土産に買って帰った。

 

家に帰り、ベランダに吊るすと、少しの風にでも、

「チリン」と澄んだ音を奏でてくれた。

 

夜に風鈴の音が鳴ると、近所迷惑と思い、夕方には取り込んで、

部屋の中に吊るした。

その夜、夜中にチリ~ンチリ~ンと言う不気味な音で

私は飛び起きた。

部屋に吊るした風鈴が、クーラーの風で、鳴っていたのだ。

 

以来、風鈴は仕舞われたままになった。

来年は、どうにか工夫して、あの音色を響かせたい。

 

「夏の終わり」 森山直太朗 お借りしました。