紅葉、といえば 誰もがモミジを真っ先に思い浮かべるだろう。

桜の葉っぱも美しい。

 

でも私は柿の葉の「赤」が好きだ。朱色が混じったような、濃い赤。

桜の葉っぱよりぶ厚いので つるんとして 光の当たってる所はぴかっとしている。

 

かれこれ二十年前のもなるが 早朝のアスファルトに落ちていた柿の葉が

あまりに 鮮やかで綺麗だったので 拾って帰り、新聞紙に挟んでおいた。

 

数日後、新聞紙を開いてみると 見るも無惨に まっ茶色になった葉っぱがあった。

 

どうしてだろう、モミジやさくらは綺麗な赤が残るのに。

それから 来る日も来る日も 三十枚位 柿の葉を 押し葉にしてみたが

ダメだった。

 

その日も いつもの様に 期待せず 新聞紙を広げると

そこには 朱色のままの 柿の葉があって 歓喜した。

 

茶色になったものと この葉が どう違うのか わからない。

想像するに 同じ 落ち葉に見えてても アスファルトに落ちた時間が違えば

アスファルトの上で 陽に当たっていた時間が 違っていたのかもしれない。

 

そのあとも 何度か試みたが 二度と朱色の柿の葉の押し葉は作れなかった。

 

私は この朱色の柿の葉を 額にいれて 毎日眺めた。

柿の葉の「赤」に すごく元気を貰えた。

 

さすがに 数年たつと 色あせてしまい いろんな落葉の額とともに

断捨離してしまった。