今回の主な登場人物
ヒロイン 福来スズ子/花田鈴子(趣里)
スズ子最愛の人 村山愛助(水上恒司)
作曲家 羽鳥善一(草彅剛)
歌手 茨田りつ子(菊地凛子)
マネージャー 山下達夫(近藤芳正)
―村西医院―
院長 村西(中川浩三)
看護師長 東(友近)
プロデューサー 小島(田村裕〔麒麟〕)
芸能記者 鮫島鳥夫(みのすけ)
第18週「あんたと一緒に生きるで」
スズ子主演の『ジャズカルメン』は好評を博し、公演を重ねていました。
スズ子の公演を観るため、愛助は医師に東京行きを直談判しますが、病状が悪化しており許可は下りません。
療養所にいるのに「咳がひどくなってる」「辛抱のしどころです」って、お医者さんよー。特効薬が無いにしても、東京の病院にいた時よりも悪化するなんて。
愛助は、風邪をひいたようで東京行きは断念するとの手紙をスズ子に送ります。
風邪をひいただけではなく、"『ジャズカルメン』を見たくて興奮して風邪をひいた" "拗らせてはいけないから"と書いたのは、スズ子を心配させないため。「死ぬほど残念」は本音ですよね。ただ、そうは言ってもスズ子の落胆はどれほどか。気丈に振る舞っていても、愛助がそばにいない心細さがあると思う。返事に「会いたかった、会いたかった」と一心に書くくらい、会えるのを心待ちにしていたのに。妊娠が判明してから一度も会えていないから、なおさら。ここで胎動を感じるのが涙を誘う……。
愛助に会えないまま迎えた千秋楽。スズ子の楽屋に茨田さんが訪ねてきます。
相変わらず憎まれ口を叩き合って、でも2人の距離が近くなっていることが分かる会話のやり取りです。
茨田さんが会いに来たのは、妊娠したまま舞台に立つスズ子を気遣ってのこと。茨田さんは10歳の子どもがいることを打ち明けます。歌いたいから実家に子どもを預けているけど、それが茨田さんの人生で唯一の後ろめたさ。だから、歌に命を懸けていると言います。
戦時中も信念を通し、スズ子にも「歌いなさい」と発破を掛けた茨田さん。「歌うことは生きること」とは、わが子よりも歌を選んだ自分を奮い立たせる言葉だったのかも。
そこへ、「人に歴史ありだねえ」と羽鳥さんが現れます。スズ子を迎えに来たものの、2人の会話を立ち聞きしていました。
『ジャズカルメン』は無事に閉幕。スタンディングオベーションの観客の中、柔らかな笑みの茨田さんが素敵でした。スピンオフで茨田さんの物語を観てみたい。
舞台が終わり、今後の予定を確認するために山下さんがスズ子の家を訪れます。出産まではしばらく休み、出産後は〜と山下さんが尋ねるも、スズ子は心ここに有らず。愛助から届いた返事が葉書だったため、手紙が書けないほど具合が悪くなっているのではないかと、スズ子は不安でした。
心配させまいとしても、直感的に気づいてしまうこともあるんですよね。精神的な苦痛によってどんどん悪化してしまって、大阪に帰らなければ……なんて考えてしまいます。
【画像:illustAC】