今回の主な登場人物
ヒロイン 福来スズ子/花田鈴子(趣里)
作曲家 羽鳥善一(草彅剛)
羽鳥の妻 羽鳥麻里(市川実和子)
スズ子最愛の人 村山愛助(水上恒司)
マネージャー 山下達夫(近藤芳正)
スズ子の元付き人 小林小夜(富田望生)
サム・ブラウン (ジャック・ケネディ)
喜劇役者 棚橋健二(生瀬勝久)
―タナケン劇団―
田中(西村直人)
中村(曽我廼家桃太郎)
第16週「ワテはワテだす」
愛助が小夜ちゃんとサムを連れて帰宅します。スズ子はアメリカへ行きを猛反対しますが、小夜ちゃんはサムと結婚してアメリカへ行くことを決めていました。
「どこで何してたかて、小夜ちゃんは小夜ちゃん」
先日、この言葉をスズ子に言ってもらい、背中を押された気がして嬉しかったと話します。そして「これからは、おれの人生だ。ワクワクしてます」と。
小夜ちゃんとサムの思いを知り、スズ子は端から反対してもしゃあないと小夜ちゃんの決意を受け入れます。
いつもスズ子を支えてきた小夜ちゃん。スズ子にとって妹のような娘のような、家族であったと思います。サムに「小夜ちゃんを宜しくお願いいたします」と頭を下げた姿は、母親のようでした。
さて、今回の舞台でスズ子は『コペカチータ』を歌うことになっていますが、まだ劇中で一度も歌っていません。羽鳥さんのお宅を訪れていたので歌の練習かと思いきや、お芝居の相談?でした。
羽鳥さんは歌の練習をしたいようですが、田中に「間がズレている」と言われたことを気にしているスズ子は歌どころではないようで、羽鳥さんも残念そう。
ただ、間が違うということは、そこからまた違うノリが生まれるかもしれないと羽鳥さんは言います。間(ま)はリズムやテンポなので、羽鳥さんは面白いと思ったのかも。
『コペカチータ』も「不思議なリズムだ」の歌詞で始まります。この歌詞から、スズ子の芝居の間という話になっているのか?と思ったり。
―追記―
笠置シヅ子さんはエノケン(榎本健一)さんに「君は芝居のツボが外れている」と言われたらしく(悪い意味ではない)、それが基になっているようです。
稽古場に着いたスズ子は、これからは好きにやると山下さんに明言します。
歌ててもお芝居してても、ワテはワテや
クビを覚悟で臨んだ稽古で、スズ子は東京弁の台詞を大阪弁に変更。田中がまた出てきて、大阪弁で遠慮のない新人(の役)なんておかしいと難癖をつけます。しかし、タナケンが「面白い」と判断し、大阪弁でお芝居が出来ることになりました。
稽古後、台本を勝手に変えて棚橋先生に無礼だと田中は怒りますが……。タナケンは「面白けりゃいいんです」と一蹴。
お客さんは現実を忘れに舞台を観に来る。だから、当たり前のものを見せてもつまらない。
USK時代、大和礼子さんも同じようなことを言っていましたね。
僕を誰だと思っているんだい
喜劇王・タナケンだよ
(省略)
何をやっても僕が全部受けてあげるよ
すっかりタナケンを尊敬し、"棚橋先生"と呼ぶスズ子。お芝居が楽しくなったと嬉々として話す彼女を、愛助もまた嬉しく思います。
「ワテらしくやらな」とスズ子が言ったことは、実は演技において深いことらしく、もっと掘ってもいいそうです(私の好きな演劇ライターさんが呟いておられました)。時間的に厳しいのでしょうね。
昭和21年4月22日。いよいよ『舞台よ!踊れ!』の幕開けです。
【画像:illustAC】