目頭がじ~んと熱くなりました🐢連続テレビ小説『ブギウギ』第74回の感想です。



 

音符今回の主な登場人物音符

ヒロイン 福来スズ子/花田鈴子(趣里)


スズ子最愛の人 村山愛助(水上恒司)


マネージャー 山下達夫(近藤芳正)


スズ子の元付き人 小林小夜(富田望生)

サム・ブラウン (ジャック・ケネディ)


喜劇役者 棚橋健二(生瀬勝久)

―タナケン劇団―

田中(西村直人)

中村(曽我廼家桃太郎)

第16週「ワテはワテだす」

舞台稽古から始まった第74回。

スズ子の台詞以降の流れがタナケンの何かにハマらないのか、急遽、演出家役を田中から中村に交代。稽古が終わると、田中がスズ子に難癖をつけます。

タナケン自ら演出しており、喜劇王の言うことには逆らえません。役を取られた不満を演技素人のスズ子にぶつけたのでしょうか。「間がズレてやりづらい」というのは分かる気がするけど、調子が狂っていつも通り出来なかったから交代させられたなんて、それをスズ子に言ってどうする。前回の嫌みに続き、田中は器が小さいなあ。


スズ子は「間がズレているか」タナケンに確認するも「どうだろうね」。山下さんがアドバイスを求めるも「言うことは、特にない」とだけ。

USKの稽古では先輩に厳しく指導され、『ラッパと娘』を歌うことになった時には羽鳥さんに追い込まれて。そうやって乗り越えてきたスズ子には、何も言ってもらえない=相手にされないことは、しんどい。

無視はされていないけれど、ただそこにいるだけの存在として扱われるのは精神的にキツイです。田中に「いいよな、人気歌手はそこにいりゃ役が務まるんだから」(第73回)なんて言われて、スズ子はどれほど悔しかったか。アイドルがドラマや舞台に出演するのを快く思わない俳優さんの話は、平成でも聞いたことがあるので、時代を問わずあることなのかもしれませんね。


しかしそんなスズ子に、山下さんが女優業を熱心にすすめる理由を明かします。


福来スズ子より達者に歌う歌手は、ほかにもおる

それでも挙って福来さんの歌を聴きに来まっしゃろ

それは、あんた自身が面白いからや

福来スズ子の歌しか知らん人に、もっとあんたの魅力を知ってもらいたい


山下さんのような素晴らしいマネージャーがいて、スズ子は幸せだ。興味を引く何かがあるからファンになり、応援したくなるもの。

近藤芳正さんの声、表情によって、よりいっそう温かく素敵な言葉に感じました。


さて、スズ子が気にしているのは舞台(というかタナケン)のほかに、もう一つ。小夜ちゃんです。


山下さんの話を愛助が感心していると、小夜ちゃんが泣きながらスズ子を訪ねてきました。「サムに捨てられた」と聞いたスズ子は、家を飛び出します。

「アメリカぁぁぁ」と言って走り、サムの胸ぐらを掴んで捲し立てるスズ子の勢い。正直、ちょっと聞き取れなかった。サムがいい人で良かったと思います、つくづく。


サムは小夜ちゃんと一緒にアメリカへ帰り、結婚するつもりでした。吃驚した小夜ちゃんはフリーズ。スズ子は小夜ちゃんを家へ連れて帰り、愛助は残ってサムと話をします。


スズ子は、アメリカに行かずまた付き人に戻ればいいと言います。自分から離れてしまうのが、とても嫌なようです。ツヤさんを感じずにはいられない。

でも、小夜ちゃんには付き人を辞めた理由がちゃんとありました。――憧れのスズ子のそばにいて、自分も特別になった気がしていた。でも実際には真似ることすらできず、自分は何者でもないことに気付いた。


「小夜ちゃんは小夜ちゃん。どこにいても堂々としてたらいい」(以前も鈴子がタイ子ちゃんのことを同じように言ってた)と言うのですが、それならアメリカでもいいような。

優しくされたらまた……と小夜ちゃんは帰ってしまいます。

甘えてしまいそうな気持ちを抑えて偉い。特別な気になっていたと気付けたのも凄いと思います。いつまでも勘違いしたままの人もいるのに。


愛助はサムの気持ちをスズ子に話しました。帰国したら除隊して、実家の農園を継ぐつもりであること。小夜ちゃんは家族がいないと言っていたがスズ子が現れ、家族がいて良かったとほっとしたこと。

小夜ちゃんを心配するあまり、サムに敵意むき出しのスズ子を、かつての小夜ちゃんのようだと愛助は言います。

視聴者が思っていることを言ってくれて。ありがとう愛助!

スズ子の場合は心配のほかにも、"取られたくない"思いもあり、ますますツヤさんじゃないかと私は思いました。

2人のことをもう一遍考え直してあげたらどうや、と愛助に言われて、スズ子の頑なな気持ちが変わるといいですね。小夜ちゃんに幸せになって欲しい!好きな人と家族を築いて欲しい!


【画像:illustAC】