ご存じの方も多いかもしれませんが、裏の部首は「衣(ころも)」なんですね。
 
衣の部首を持つ漢字といえば、まず思い浮かべるのは衤(ころもへん)の漢字。あとは装とか袋とか下にそのまま衣があるもの。
 
裏が衣類にまつわる漢字とは思っていなかったので、ずっと部首は「亠(なべぶた)」だと思っていました。
 
調べてみたら、裏と同様に衣が上下に分かれたかたちの漢字がいくつかあったので、覚え帳というブログ名らしく、ここに記録します。また、これまでの文字テーマの記事と同様に、一般的な筆順(書き順)と整った字形に見えるポイントも。
 

  そもそも衣の成り立ちは?

 

衣は上半身に着るもののこと。ちなみに、下半身をおおうものは裳(しょう)。

 
着物の後ろの襟を立て、前の襟を合わせて肌を隠した襟の部分の象形文字から生まれました。
 
篆文(書いてみました)
 
古代中国の服装がイメージできそうですね!えっ?
 

 

  裏は衣+里

裏は、衣と里を組み合わせた会意兼形声文字です。

 
会意[かいい]
六書(りくしょ)の一つ。いくつかの漢字を結合し、それらの意味を合わせて全体の字義を導き出す方法。「人」と「言」とを合わせて「信」とする類。
 
形声[けいせい]
六書(りくしょ)の一つ。いくつかの漢字を結合し、一方を発音の記号(声符・諧声譜)、他方を意味範疇の記号(義符・意符)として、全体の字義を導き出す方法。例えば、「可」と「氵」(「水」の略体)とを合わせて「河」とする類。諧声かいせい。象声。
 
『広辞苑』
 
里(リ)は「筋目をつけて区画された田畑や居住地」という意味を持ちます。
 
裏は衣と里(リ)を合わせ、すじ模様のついた裏地を表します。すじ模様(しま模様)の布地は、衣服の裏地として用いられたそう。
 
篆文(書いてみました②)

 

  衣が上下に分かれている漢字

裏のように衣が上下に分かれている常用漢字には【表】【衰】【衷】【褒】があります。どれも衣部の漢字とは思っていなかったので、びっくりしました。

 

ちなみに【表】は、毛皮の衣を表(おもて)に出して着ることを示すそう。

 
篆文(書いてみました③)
 
なお、常用漢字の【哀】も衣で口をはさんでいますが、部首は口(くち)です。
 
常用外漢字では、【袞/衮(コン)】【袤(ボウ)】【裹(カ)】【褻(セツ)】【襄/㐮(ジョウ)】【襃(ホウ)※褒の異字体】などなど。
 

 

  裏の書き順

衣の画数は6画、里は7画。

 

 

裏は衣で里をはさみ、省略された線などはないため、画数は13画。

見にくくてごめんなさい。
 

 

  字形が整うポイント ※ペン字

まずは、衣のポイントから。

注意私個人の思う整った字形についてです

 

 
1画目は中心から。
2つの○の大きさで空き具合を表しているのですが、6画目の右の払いは3画目の左払いよりも低く。3画目(左払い)と6画目(右払い)が同じくらいの高さだと、子どもっぽい印象。
 
【裏】のほか、【表】【衰】【衷】【褒】も同様です。部首は異なりますが【哀】も。
右払いが右下へ向かっているのが気になる。右へ真横に払えるよう練習します。
 
お次は里。
1画目と4画目の縦画は、内側へ向けて。田は均等になるように。私は上の二つが広くなりがちです。
5画目の縦画は中心に。
一番長い7画目は、覆勢(ふくせい)といって伏せるように反らせると、安定感がありますね。ただ、ペン字で反り過ぎているのは汚文字感があるので、ほどほどに……。
 
上述した、衣と里のポイントを踏まえて書くと、こんな感じです。
一番長い線は、気持ち、反らせてるかなーくらい。
 
普段から「どうすればキレイな文字に見えるか」ばかり考えて文字を書いているのですが、楷書体についてはひとまず「筆順指導の手びき」に掲載されている書き順で書くのが良いと思います。字形が整うような書き順になっているから。
もちろん、異なる書き順でも整った字が書ける人はそのままでいいと思います。