NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』ヒロインの妹・歌子の幸せを願う記事を書いたのが、昨年の9月1日。同月30日の最終回では、歌子は昏睡状態から回復し、レコード歌手になるという夢を叶えていました。幸せになってよかったね。

 

いやしかし、最終回の内容がよくわからず、結局何を伝えたい作品だったのか考えている間に(まだそれは続いている)、『舞いあがれ!』が終わり、『らんまん』では万太郎と竹雄が上京して東京編がスタートしました。

 

併せて気になっているのが、チーフプロデューサーがインタビューで語っていた以下のこと(上述の記事にリンクあり)。


「一人の女の子の何十年という歳月を濃く描きたい。100年を描くより、50年を描く方が倍くらい細かく、一見どうでもいいことも描ける。そういうことは(脚本担当の)羽原(大介)さんも大事にしてくれているので、その良さを表現していきたい」

 

公式ホームページ(現在は終了)にも、"本土復帰からの歩みを描く笑って泣ける朗らかな、50年の物語"と書かれていました。

 

インタビュー記事は昨年4月17日に公開されたようですが、羽原さんが「3月には脚本を書き終えていた」みたいなことを言ってたような。どこかで読んだような気がするんですよね。

 

沖縄の本土復帰50年記念の作品だから50年なんだろうけど、何十年という歳月を濃く?最終話で何十年ワープしたのも50年に含めるの?125回も放送したのに?100年描いたカムカムのほうが濃かった気がするけど?と思い続けて早8か月。


というわけで、働き方改革により放送が週5日に短縮された2020年度前期の『エール』から、2022年度後期の『舞いあがれ!』まで6作品。それぞれ何年くらいの物語だったのか調べてみました。

 

 

  放送期間と放送回数

はじめに、放送期間と回数をおさらい。簡単な表にしてみました。土曜日の振り返りは含みません。

 

『エール』は緊急事態宣言により放送開始早々に撮影中断、6月末から9月上旬まで第1回からを再放送。また、放送回数も当初は130回の予定でしたが、120回に短縮されました。『おちょやん』もクラクイン直後に収録休止、放送回数は125回から115回へ。

 

『舞いあがれ!』が最も放送回数が多い

 

『舞いあがれ!』から通常サイクルに戻ったのは良いけれど、『エール』『カムカムエヴリバディ』が好きな身としては、回数の開きは複雑です。『おちょやん』『おかえりモネ』が好きな方の中にも同じような想いの方がいるのではないかと。

 

でも役者、スタッフの皆さんのスケジュールや負担等々を考えると、仕方がないかぁ。回数短縮によって、台本はじめ諸々の変更・調整が生じたはず。

 

  物語の舞台となった時代

NHKアーカイブス「朝ドラ100」舞台年表 ※2023年4月現在

 

こちらのサイトでは、『ちむどんどん』で主に描かれた年代が1971年ごろになっています。 

「年代」はサイト内年表の★の年代。※は私が加えたもの。

 

 

同時代を描いた『エール』と『おちょやん』

『エール』は作曲家の古関裕而先生(1909年生まれ)と妻の金子さん、『おちょやん』は女優の浪花千栄子さん(1907年生まれ)をモデルにした物語でした。モデルの二人が明治末期生まれの2歳違いであるため、作中で描かれた主な時代も大正から昭和にかけて。

 

エール

第1回は、紀元前1万年~現代→1964年10月10日の東京オリンピック開会式→1909年主人公誕生という流れ。第2回で生まれたての赤ちゃんから小学生へ(大正時代)。

第118回の終盤~119回(ドラマ本編最終回)は、Wikipediaでは1977年となっていますが、おそらく1979年〜80年はじめ。

<理由>

・別荘が映し出された時のナレーション「池田の死後から5年の時が過ぎ……」

 池田亡き後もほかの作家と仕事をしていた。 

 劇作家・池田のモデルである菊田一夫さんが亡くなったのは1973年4月。

・別荘に訪ねてきた作曲家志望の青年との会話中に裕一が思い出していた、志村けんさんが演じた小山田からの手紙を受け取ったのは13年前のこと。

 小山田のモデルになった山田耕筰さんが亡くなったのは1965年12月29日。

・上述した作曲家志望の青年は、古関先生の自伝『鐘よ鳴り響け』に登場するS氏(40歳前後)がモデルと思われる。S氏が古関先生宅を訪れたのは、1980年1月17日。

・夫婦で見ていたアルバムの中で、音が一番好きと言った写真は1975年4月1日(孫の裕太の高校入学時)。裕一によると「もうすぐ大学を卒業」(本当に卒業間近なのではなく、大学2年終わりくらいのことを言っているのでは?)。

・音のモデルになった金子さんが亡くなられたのは、1980年7月。

 

主人公の赤ちゃん時代は一瞬、小学生になった子役期の始まりが1919年(大正8年)なので、子役時代からドラマ本編の最終回(1979年ごろ)まで、およそ60年

また、主演の窪田正孝さんが本格的に登場した第11回・1926年(大正15年)からとすると、53年くらい

    

 

おちょやん

第1回のオープニングは、登場人物らによる舞台上での口上。ここで子役期間がはじめの2週間であることが明言されました。口上、主題歌の後、物語の舞台は1916年に。ヒロインの千代は9歳。

主演・杉咲花さんが本格的に登場した第11回は、子役時代から8年後の1924年でした。最終週(第111回~115回)は、1952年。

 

したがって、子役時代を含めると、1916年(大正5年)〜1952年(昭和27年)まで36年ほど。主演登場からは28年くらい

 

最終回が放送時点よりも未来だった4作品

『おかえりモネ』『カムカムエヴリバディ』『ちむどんどん』『舞いあがれ!』の共通点は、放送している時期よりも未来で最終回を迎えたこと。『ちむどんどん』に関しては、そうかもしれない、といったところですが。

 

おかえりモネ[最終回2021年10月29日]

第1回冒頭は、1995年9月17日。ヒロイン・百音(ももね/モネ)の誕生から一気に時が経ち、2014年5月、18歳のモネが登場。この作品は初回から主演の清原果耶さんが出演し、子役時代はありません(幼少期は回想のみ)。

最終週は2020年。最終回は2020年2月から数年後の2022年7月(開始10分37秒頃から映るラジオブースのカレンダーより)に移り、浜辺でモネと菅波先生が再会して幕を閉じました。

2014年(平成26年)〜2022年(令和4年)までの8年の物語。

 

U‐NEXTで配信されていますが、Pickできませんでした。

 

カムカムエヴリバディ[最終回2022年4月8日]

祖母・母・娘、3世代の100年に渡る物語であると銘打たれた作品。

第1回は1925年(大正14年)3月22日、初代ヒロイン・安子の誕生から。各週のタイトルが西暦になっているのが、この作品のミソで(使い方合ってる?)、最終週にその理由が分かります。

最終週は「2003-2025」。最終回は2025年(令和7年)3月のシーンで完結。

 

ちむどんどん[2022年9月30日]

 第1回冒頭は1971年。ヒロイン・暢子がシークワーサーの木から実を1つもぎり、皮をむいてかじる。再度、木に伸ばした手は、実をもぎ取ろうとしている小学生のヒロイン。子役期は1964年。

第10回のラストに高校3年生になったヒロイン、主演の黒島結菜さんが登場。1971年、沖縄返還の前年です。

最終回は3度時代が移ります。始まりは前日に引き続き、1985年。歌子が目覚めたのかハッキリとはわからないまま、「202X年(令和X年)」のテロップ(開始04分56秒)が表示され、平成をまるっとすっ飛ばして、現代に。比嘉家が大集合。そして、1971年へと戻り(開始12分19秒)、母と4兄妹の食事シーンから、第1回の冒頭(暢子とシークワーサーの木)へ。

 

1971年から始まって、1971年で終わりました。

 

さて、何年くらいの物語だったのか。

最終回の未来の年代については、当初、2022年5月(本土復帰からちょうど50年)の予定だったそう。しかし、黒島さんの「みんなマスクして集まれないしね」という指摘により、202X年となったようです。これは公式Twitterで見かけました。Wikipediaにも書いてあります。チーフプロデューサーが「2023年であることを祈りつつ、202X年にしようかとなった」とお話しされているので、本記事では2023年とします。

そうすると、子役時代を含めると1964年(昭和39年)~2023年(令和5年)まで、59年くらい。1971年(昭和46年)からとすると、52年

 

1985年(昭和60年)までとしたい、本音は。最終回に限らず、作中で数年から10年くらい飛ぶ(特に主人公の幼少期から10代後半)のは気にならないけど、40年近くっていうのはなぁ。しかも1971年に戻ったし。

でも、『おかえりモネ』のラストである2022年7月が4分程度だったのに比べて、202X年は7分強と3分以上長いんですよね。

 

舞いあがれ![最終回2023年3月31日]

第1回から第15回まで3週間は子役期間。1994年、ヒロインは小学3年生でした。2004年春になり、主演の福原遥さんが登場。

最終回前日の第125回に、2020年から2027年1月へ時が移り、最終回を迎えました。

 

子役時代を含めると、1994年(平成6年)〜2027年(令和9年)まで約33年。主演登場の2004年(平成16年)からは、23年

 

 

  まとめ

『カムカムエヴリバディ』に関しては、100年の物語と銘打たれていること、3人のヒロインが登場するので「物語開始(主演登場)」を【-】としています。

 

『エール』と『ちむどんどん』が同じくらいの年数……なのか。暢子と和彦の恋愛・結婚のくだりがかなり分厚く、1か月くらい1978年の夏頃を観ていたような気がします。202X年が7分強だったので、私としては10年くらいのお話の感覚。まさか平成をすっ飛ばすとは!

 

朝ドラや大河ドラマは放送期間が長いため、終わりが近づくと色々と思い出して感慨深くなることが多々あります。今回調べた6作品の中では『おかえりモネ』がもっとも物語の年数が短かったものの、やはり最終回はグッときました。特に、りょーちん(永瀬廉くん)の船のお披露目と船出のシーンは泣けますね。

 

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本ページの情報は2023年5月時点のものです。最新の配信状況は

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