「力を抜きましょう。」
よく耳にする言葉です。
でも、僕は長い間、この言葉の意味を勘違いしていました。
力を抜くとは、何もしないことでも、怠けることでもありません。
僕が思う本当の意味は、「流れを通すこと」です。
人は時間という大きな流れの中で生きています。
季節が巡り、歳を重ね、出会いがあり、別れがある。
これは僕たちの意思とは関係なく流れ続けています。
だから、生きるということも、必ずしも「〜しなければならない」の連続ではないと僕は思っています。
むしろ、「〜しなければならない」という思い込みが、流れを止めてしまうことがあります。
流れに逆らえば苦しくなる。
でも、流れを通すことができれば、不思議と心にも体にも余裕が生まれます。
ここでいう「流れを通す」とは、流されることではありません。
余計な力みや執着を手放し、その時その場に必要な力だけを使える状態になることです。
武術でも、仕事でも、人間関係でも、人生でも、本当に力を発揮できる人ほど、必要以上に力んでいません。
僕は、それが「力を抜く」の本当の意味なのではないかと思っています。
そして、そのために大切なのは、自分だけを見続けることではなく、一歩引いて、今どんな流れが起きているのかを客観的に見ること。
流れが見えれば、無理に押し進めなくてもいい場面が分かる。
逆に、力を出すべき瞬間も自然と分かる。
力を抜くとは、力をなくすことではない。
本来の力が自然と発揮できるように、自分の中に流れを通していくことなのだと、僕は考えています。