遺言・相続専門行政書士の掛谷章です。

 

これからしばらくの間は、相続対策について記事を書きたいと思います。

 

今日は、「生前贈与を活用(その7)~子や孫に生活費や教育費を贈与して節税~」についてです。

 

相続税対策として、何らかのやり方で遺産を減らすという方法があります。その一つとして、生前贈与を活用することができます。

 

しかし、贈与税は相続税よりも税負担が重くなっているので、やみくもに生前贈与しても、かえって税負担が増えてしまうこともあるので注意が必要です。

 

 

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1.子や孫に「必要な都度」生活費や教育費を贈与すると贈与税は非課税


父母や祖父母から、必要な都度、子や孫に生活費教育費を贈与する場合には贈与税がかからないという非課税制度があります。

 

皆さんも子供のころは生活費や学費を親に出してもらっていたはずですが、「税務署に『子に対する贈与だ』と言われて贈与税を課税された」なんてことはありませんよね。考えてみれば当たり前です。そして、祖父母に生活費や教育費を出してもらっても贈与税はかからないのです。

 

ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。


なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

 

この非課税制度のポイントは「必要な都度」生活費や教育費を贈与するというところです。しかし、教育費については、将来必要になるであろう教育費を見据えて、一括で多額の贈与をする場合の特別の非課税制度がありますので、下記の2で説明します。

 

 

 

 

2.子や孫に教育資金を一括で贈与する場合は特別の非課税制度がある

 

 

 

(1)教育資金の一括贈与の概要と適用要件

 

父母や祖父母から、30歳未満の子や孫に教育資金を「一括贈与」する場合には、最大1500万円まで(学校等以外に支払う金銭については最大500万円まで)贈与税が非課税になります。

 

例えば、「孫に教育費を贈与したいが、孫が大きくなるまで元気でいられるかどうか自信がない」といったような場合に、将来を見越して多額の一括贈与をする際に利用することができます。

 

この「教育資金の一括贈与の特例」を受けるための要件は次の①から⑥のとおりですが、けっこう面倒くさいです。

 

 

①平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に贈与すること。

 

 

②30歳未満の子や孫に対して教育資金を贈与すること。

 

 

③贈与にあたり、次の(A)から(C)のうちいずれかの手続き(教育資金口座の開設など)をとること。

 

(A)父母や祖父母が贈与する教育資金を信託銀行などの金融機関に信託し、子や孫に信託受益権を与える契約をする。

 

(B)教育資金の贈与を書面で契約し、子や孫が金融機関に口座を開設して贈与を受けた金銭を預金する。

 

(C)教育資金の贈与を書面で契約し、子や孫が贈与を受けた金銭で証券会社などで有価証券を購入する。

 

 

④上記③の教育資金口座の開設などを行ったうえで、信託や預入をするまでに、父母や祖父母が、金融機関などを経由して税務署に教育資金非課税申告書を提出すること。

 

 

⑤子や孫が教育資金の引き出しと支払いを行った際には、金融機関などに領収書を提出すること。

 

 

⑥贈与を受けた子や孫が30歳になったり、残高がゼロになったりして教育資金口座などの契約が終了した場合、申告期限までに贈与税の申告をすること。

⇒使いきれずに口座などに残った金銭には、贈与税がかかります。

 

 

 

(2)非課税を受けるための教育資金の使い道と非課税枠(1500万円または500万円)

 

教育資金の一括贈与の非課税を受けるための資金の使い道は、次の①②のとおりです。

 

 

学校等に直接支払うもの⇒贈与税が1500万円まで非課税

 

(A)入学金、授業料、入園料、保育料、施設整備費、入学試験の検定料など

 

(B)学用品の購入費、修学旅行費、給食費など学校等での教育に必要な費用など

 

(注)「学校等」とは、幼稚園、認定こども園、保育所、小学校、中学校、高校、大学、大学院、専修学校、各種学校、一定の外国の教育施設などをいいます。

 

 

②学校等以外に直接支払うもの⇒贈与税が500万円まで非課税

 

(A)教育(学習塾、自動車学校、そろばんなど)に関する教育料や施設の使用料など

 

(B)スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための指導料など

 

(C)上記(A)や(B)で使用する物品の購入費

 

(D)上記①の(B)に充てる費用のうち、物品の販売店などに支払われるもの

 

(E)通勤定期代、留学のための渡航費などの交通費

 

 

 

(3)教育資金の一括贈与の非課税枠(1500万円または500万円)を利用する際の注意点

 

教育資金を「一括贈与」する際の1500万円(または500万円)の非課税枠の利用には、メリットとデメリットがありますので、上記1で説明した「必要な都度」教育費を贈与する方法とうまく使い分けるようにしましょう。

 

 

①メリット

 

贈与する側が認知症になったり亡くなる恐れがある場合、受け取る側は早めにまとまったお金を非課税で受け取ることで、後に受け取れなくなる可能性がなくなる。

 

 

②デメリット

 

(A)金融機関(銀行、信託銀行、証券会社など)で教育資金用の口座を開設し、また、支払いのたびに領収書を保存しておいて金融機関に提出する必要があるので、面倒くさい

 

(B)教育資金用の口座は途中で解約することができず、また、子や孫が30歳になるまでに使いきれなかった金額には贈与税がかかる

 

(C)贈与を受けた側の子や孫が亡くなった場合は、使いきれなかった金額に贈与税はかからないが、贈与した側の父母や祖父母の相続財産になり、相続税がかかる。

 

(D)孫から見れば祖父母は4人いるが、例えば、父方の祖父母から1500万円の一括贈与を受けた場合は、次に母方の祖父母から一括贈与を受けても非課税枠の利用はできない。ただし、父方の祖父母と母方の祖父母からそれぞれ750万円ずつ一括贈与を受ければ合計1500万円の一括贈与になって、1500万円の非課税枠をフルに使うことは可能。

 

 

 

3.まとめ

 

上記1と2で、教育費の贈与の非課税制度について説明してきましたが、重要なのは次の3つです。

 

(1)教育資金贈与の非課税制度は2つある。(必要な都度の贈与一括贈与の特例)

 

(2)今すぐ必要な教育費は一括贈与の特例を使わなくても非課税になる。

 

(3)教育資金として使っている証拠を残すために、お金の流れを明確にする。

 

 

 

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