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「音楽」ってのは「音学」なんかもしれんわ

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「音楽をやめようと思った事ないんですか?」

ある方からライブ後の帰りの車中で聞かれた。

「毎日思ってるよ…」

「じゃあ、なんで続けてるんですか?」

「なんやろ~・・・。

 まぁ例えるなら、なんで死にたいと思う日があるのに毎日生き続けてるのかって質問に近いかもしれん。
やめたい理由なんか幾らでも挙げられるけど、やり続けたい理由なんて数個しか挙げられへん。
いや、的を得ている理由なんて一個も挙げられへんかもしれん。

ってこんな事ばっか毎日考えてる俺ん中で、

「音楽」ってのは「音学」なんかもしれんわ。

心理学や経済学と一緒で音楽を通して生きていれば、人生をひもとく鍵になるかもしれんという、究極の研究テーマなんかもしれん。」

音楽と宗教の関連性に今興味があって…」

と、本題に入ろうとした時、車は事務所に着いた。

あぁだこうだ言ってみたものの、

「なんで音楽をしてるのか。」

俺がベテランと言われるぐらい歳を取って、その答えの一つにでも辿り着いて、つまらなくなって、飽きてしまって、音楽をやめたとしても

「なんで音楽をやめたんですか?」

っていうたった一つの質問を、聞くような若者が現れたら、
又俺は、音楽、いや音学の新たな研究テーマに遭遇し、埃のかぶったギターをポロンとつまびいているのかもしれないな。

「音楽をやめようと、何故思ったのかに興味が出た人間がこの世に存在している事に、俺は興味がわいてきたよ。」

歳を取った俺の口からそんな言葉が出て来る日を想像してみたら楽しみになった。

「なんで音楽をしているか。」

明日のシークレットライブで意外とすんなりと、理由の一つでも見つかったりしてね。

    
  ~桜井モトヤ~


※上記画像は「Asian Beat Grand Final」のパンフレットから抜粋した物です。ギターって「木結他」って言うんですよ。

最終回!「つながりと選択」香港と浦島/その8

その8
「つながりと選択」

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玉手箱の中身は何だったんだろう?

考えてみる。

それは「鏡」じゃないだろうか?

中国でさんざん遊んだ浦島太郎は、時間の流れも忘れ、豪遊する。
帰ってきて、
まだまだ若い、と思っていた浦島太郎は
玉手箱を開け、
鏡を見ることで、
自分の老いに気付いた。

そう考えると納得がいく。

煙なんて、なかったんだ。
長い時間閉まっておいたために出たホコリかなにかだろう。

でも待てよ?
じゃあ300年も中国にいたってのはどう説明する?
う~ん、謎は深まる一方だ。。。


帰りの飛行機に乗ってすぐ、そんなことを考えてました。


飛行機の中では、今話題の「おくりびと」を見て、号泣しました。

僕のおじいちゃんは
「戦争行って、敵の弾避けてたんやで。」
と、よく言ってました。
思い出の出演者が、もうここにはいない人だと気付くのは辛いことです。
死を考えるのは、いつだって生きてる側。
生きてるあいだは、人とのつながりひとつひとつをもっと大切にしたいですね。

僕もいつか死ぬ人間。死ぬ側に立って考えてみたら、死ぬ時にはひとつの後悔もないように、一瞬を大切にせなあかんな。とエンドロールを見ながら誓いに似た決意を固めました。


それにしてもものすごい号泣です。
キャビンアテンダントさん、すいません。
でもいい映画やったんです。。。



で、気付くとうっつらうっつら・・・。
夢を見ました。

僕は見たこともない家にいました。木とわらでできた質素な家。

「今、帰ったぞ。」
朽ちた木でできたキレイとは言えない家の戸が開く。
家には妻らしき人が忙しそうに夕食の準備をしている。老婆がひとり、ふすまを見つめたまま座っている。背中を丸めて。
帰ってきたおとこは言った。
「ばあさんがずっと言ってた浦島の家の話をしてる老人がいたぞ。浦島の家の跡地で。300年も前の話だ、ってばあさんは言ってたのに、バカな奴だよなぁ?」
その言葉を聞いても老婆は、動かない。
「この町一番の齢になって耳でも悪くなったか。もう100歳だもんな。」

老婆は、少し上を向いた気がした。
そして

「釣れますか?」

と言った。
少なくとも僕にはそう聞こえた。

誰にも聞こえてないようだ。
妻らしき人はあいかわらず忙しそうにしている。

その後まもなく、老婆の目から、涙がこぼれた。
目の下のほくろを伝いながら。

キレイな涙だった。

「ばあさん…」

おとこがその涙に気づいた瞬間に
目覚めた。
僕は飛行機にいた。

何の夢?と思ってたら、
「本機は、着陸態勢に入ります。」とアナウンスが聞こえた。

4時間はかかると聞いたのに、早すぎる気がした。


飛行機を降りる。

「香港でライブをしたんだな。」
夢じゃない。

思い返してみると
ここに来るまでは
大きな出会いがあった。
そして
無数の選択があった。

路上で唄おうぜと誘われた時。

初めて路上で唄う日、緊張のあまり唄い出すまでに30分も経ってしまった時。

カホンを買おうか悩んだ時。

一緒にやろうと
言われた時。

悩んだ挙げ句
会社を辞めた時。

東京に来た時。

ステージ横で震えた時。

そして
Asian Beatに出ることが決まった時。

最初と最後だけを見たら
何のつながりも感じないようなことが
実現していく。

つながった人と、選択した結果、
見たこともない景色が広がっていく。
夢の中ではなく、こうして現実に。

「明日から、いや今日から、がんばらなな。」
モトヤ君はそうつぶやいた。
「そうやな。」

時間の感覚なんて、曖昧だ。

だからこそ、

何百年を
一瞬に思うくらいに、
生きてやる。


外へ出たら
白い息がこぼれる。

バスがやってきた。

スタートの合図のように
大きな音で。


~伊藤ひろむ~

香港と浦島/その7(全8話)

その7
「昔」
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あの場所から帰ってきてから、300年も...。

浦島太郎はあぜんとしました。

町はすっかり変わってしまっています。
変わらないのは、波の音と空の色くらい。

もしかしたら、これは全部夢なんじゃないか?

「意味のわからない景色は、ほとんど夢。
起きたら、いつもの朝の光に包まれる。」

浦島太郎は、箱を開けました。

箱の中身を見た浦島太郎は、そのまま倒れ込みました。


そういうことか。


本当はもう引き返せないところまで来ていたんだ。
充実した時間は、足早に過ぎていくということを身を持って知る。

あの娘には逢えなかったが、不思議と後悔はありませんでした。
全てを振り返った時「すぐだったな」と思えたことに清々しさすら覚えました。

きっと、いい人生だったんだろう。
だから、そろそろ、去ることにしよう。

浦島太郎は、目を瞑りました。


薄れ行く意識の中で浦島太郎は夢を見ました。否、誰かの夢にいました。

帽子をかぶったおとこが、不安そうな顔をしています。
「どうした?」浦島太郎が聞くと
「自分は20年後、50歳くらいで何をしているか知りたい」と言いました。
そのおとこは、もう50歳くらいには見えました。

もしかして
お前も
時間の早さに
気付いていないのか?

玉手箱を見せようとしたら、
「いや、やっぱりいいよ。」とそのおとこは言いました。


浦島太郎は
それでいい、と思いました。


見えた道を一生懸命に生きていれば、
きっと後悔はないだろう。


じゃあ。と手を振ってその夢を去りました。

夢から出ると若いおとこが寝ていました。

さっき話していたのは、お前の20年後の姿だったのかもな。

帰り際、浦島太郎は何かにつまづきました。
わけのわからない赤い文字のようなものが書かれていました。
何だ?これは?

「20年後、お前を又見に来るよ。」

ぶつけた足を気にしながら
浦島太郎は、そうつぶやいていました。