空と殻 | カケラバンクオフィシャルブログ「先の見えないこの時代で」Powered by Ameba

空と殻

20180430a


弘に薦められたので、

昨年のアカデミー賞7部門に、

ノミネートされた映画、

「メッセージ」を借りて見た。


内容は一切聞いてなかったので、

冒頭で宇宙人が地球に襲来した時、


「え?ベタベタのパニック映画?」


ってとまどったけど、


一向に予想したような、

ドンパチするシーンは一切なく、

主人公の女性言語学者が、

宇宙船の中に入り異星人と、

コミュニケーションを図る為の、

試行錯誤を描いた哲学的な作品だった。


過去と現在と未来のシーンが、

次々と入れ替わるので見てると、

「時間」という概念がなくなっていった。


そしてラストにかけて、

時間も空間も人類も、

それぞれが溶けていき、

まるで仏教の「空」のような物語だった。


ちょうど先週に、

2001年の芥川賞作家でもあり、

臨済宗の副住職でもある、

「玄侑宗久(げんゆう そうきゅう)」さんの、

「現代語訳 般若心経」を読み終えてたので、

この本の中にあるキーワード「縁起」を感じ、

そのシンクロニシティにゾクっとした。


この玄侑さんは「苦の根源は”私”」にあると説く。


「私たちの体や精神作用は全て自性を持たず、

これはいわば縁起における無常なる現象なのだ・・・


だから、生じたり滅したりもしないし、

汚れたり綺麗になったりもしない。

また減ることも増やすこともない。

(私たちがそう感じるのは、

ただ縁起によって出逢う無常の現象を、

概念によってそのように解釈しているだけなのだ。)」


という般若心経の現代語訳を読んだ時も、


「櫻井幹也」という、

誰かが名付け誰かに呼ばれ、

誰かに認知されてる肩書、

誰かに思わせたい自分という、

「殻」が薄くなった。


そう言えば、


「空」も同じく「から」って読む。


どれだけ生きても最後は「から」になる。


いや元々からっぽだったのに人は、

言葉や数式や筋肉という「殻」をつけて、

それで何か強くなったと錯覚していく。


そう今は気付いたから、


ニュースに連日流れる、

「権力」や「財力」や「人気」を、

持っている人達が、

「自分」という「アイドル(偶像)」を、

かたくなに守ろうとした結果、

不祥事を起こしてるのを見て、


生きている中でもっと、

「自分」を消す時間を、

増やしたいってつくづく思った。


20代の僕にとっては音楽は、

セルフカウンセリングの役割と同時に、

自分の「名声」や「お金」を増やす為でもあった。


だから自分の唄を、


「伝えたい!」


「伝えなきゃいけない!」


って常に欲求不満でいらだってた。


けど今の僕にとっては、

音楽は「自分」を消す為にほぼ存在してる。


「無我夢中」って言葉の真意に気付いたから、


社会的地位が上がっても夢は叶わない。


夢の中に入るには自分を無くす事しかない。


って今なら思う。


よくシンクロクロニシティが起きると、

幸せの前兆って言われてるけど、

やっと意味が分かった。


シンクロニシティなんて、

目の前で一瞬一瞬起こってるのに、

自分自分ってなって余裕がない時は、

それに気づこうともしてないし、

全然気づけない状態になる。


自分から離れる癖をつけないと、

色んな物の共通点にはやっぱ気付けない。


だから自分をなくせばなくすほど、

世界との繋がりを感じられ幸せになる。


そんな事を「メッセージ」のエンドロールを見ながら思ってた。


伝えたいって思う気持ちを、

なくせばなくすほど伝わって行く。


7月29日少しでも自我が消えますように。

※上記写真:櫻井幹也(京都・伏見区)

夕暮れ時に月と星が同時に見れました。


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【暗闇トリップvol.9】


会場の四隅に四組のアーティストが陣取る。
灯りは各アーティストの前に設置された4本のキャンドル計16本のみ。


その中で一曲ずつ生音をバトンタッチして行く。
その都度キャンドルライトが一本ずつ消える。
四週し終えた時そこは真っ暗闇。
 

その中で歌を聴いた時、
あなたは何処にトリップしますか。

kurayami

[日時]7月29日(日)OPEN:12:00 / START:12:30

[場所]東京・代官山「晴れたら空に豆まいて」

[料金]3000円  

[出演]玉城ちはる / カケラバンク

[予約]https://www.kakerabank.com/live/

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