笑って思い出せる日まで

2011年初めて関西に帰った。

震災の影響で、
キャンセルが相次ぐのを覚悟してたけど、
4日間共ライブをさせて貰った。

3日目の｢カナート洛北｣では、
震災で未だ行方不明のご家族がいらっしゃる方が、
涙を流しながらCDを買って下さった。

4日目の｢和音堂｣では、
沢山の方に、

｢ライブに来るのを躊躇してたけど、
音楽の力を改めて知った。
来て本当に良かった。｣

と声を震わせて言って貰った。

手作りの義援金ボックスには、
沢山の千円札に混じって一万円札も入れて貰った。

日本はもう、
生まれ変わる為に動き出していると強く実感した。


最終日、
そんな優しくも勇ましくもある気持ちを胸に、
新幹線に乗る為京都駅に向かうバスに乗っていたら、
女の子2人が整理券を持ち合って友達に聞いていた。

｢これってなんの意味あるん？｣

その友達はただ首をかしげてた。

思わず教えてあげたくなった。

｢乗る停留所によって運賃が変わるから、
何処から乗ったかを知る為にあるんやで。｣

その必要性をまだ彼女達は知らないから、
整理券を一人はポケットに、
もう一人は床に捨てた。

必要なんてないって思ってた、
｢思い出｣も｢経験｣もきっといつか、
掛け替えのない大切なモノだったんだって、
気付く日が来る。

一人で作った思い出じゃないなら、
いつの日か又誰かと笑って思い出せる日が来る。

そんな風に思えたから、
昨夜4時間も演奏した影響で、
少し腫れていた指で、
落ちていた整理券を拾って、

｢降りる時必要やで｣

そう小声でささやいて、
不思議そうな顔をした彼女に渡してあげた。

～櫻井幹也～

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【いろはVol.10】

～次の関西ワンマンは母の日～
　
[日時]5月8日(日･母の日)
[時間]OPEN 13:00 /START 13:30
[場所]ソープオペラクラシックス(大阪)
[料金]前売￥3,000 /当日￥3,500(ワンドリンク代別)
※親子で来られた方は500円割引
[ゲスト]QU-E
[予約]kakerabank@doublewing.co.jp
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