人の笑顔を見て僕は初めて泣いた | カケラバンクオフィシャルブログ「先の見えないこの時代で」Powered by Ameba

人の笑顔を見て僕は初めて泣いた

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今日はめまいがきついなぁ。

そう思った矢先の事だった。

目の前の西武百貨店が揺れ始めた。

池袋の教会への取材を終えたばかりの弘と共に、
危険を察知し車道へ飛び出した。

大勢の人達が、
建物から地下からあふれ出して来る。

隣の見ず知らずのおじさんと話をする。

ワンセグを見ている女性にニュースを見せて貰う。

余震が来る。

悲鳴が上がる。

電車が全線ストップした為、
身動きが取れなくなる。

タクシー乗り場に長蛇の列が出来る。

10分前までがら空きだった電話ボックスに人が殺到する。

空いたタクシーを奪い合う人達。

止まっているのを承知でバス停に並ぶ人達。

僕等は、
とりあえずマッサージ店や、
カラオケボックスやネットカフェを手当り次第訪れるが、

何処も営業停止。

諦めて自宅まで2時間程かかるかもしれないが、
歩こうと決意する。

途中で暖を取らせて貰える御店を発見し、
ラジオを聞きながら体を暖める。

余震が来る。

お礼を伝え又、
夜道を歩き出す。

同じように沢山の人が歩いている。

途中で「都営大江戸線が復旧しました!」
との声を聞く。

予定より少し早く、
帰宅する。

余震が来る。

テレビをつける。

都心で帰宅出来ない人が溢れている。

新宿で身動きの取れない友人を泊めてあげる。

めまいがする。

余震かもしれない。

きっとどっちも来てる。

一夜明け、
二夜明け、
死者の数はドンドン増える。

阪神淡路大震災を否応なしに思い出す。

携帯が繋がり始める。

不安が消えない人達から、
続々とメールが来る。

14日に予定されていたライブは行うとの連絡も来る。

少しずつ余震も小さくなって、
建物の安全も確認されたという。

次の日、
こんな時にライブをする事はどうなのか弘とスタジオで話し合う。

一人一人が部屋で怯えていても、
何も始まらない。

音楽を通して少しでも不安を和らげる一夜を共に作りたい。

そう決意した。

帰宅してテレビをつけた。

取り残された三人家族が、
自衛隊員に救助された映像が流れてた。

ボロボロの服を着た、
おじいさんとおばあさんは寄り添って、
笑って言った。

「チリ地震も経験してるし大丈夫!大丈夫!
もう1回再建しよう!」

人の笑顔を見て僕は、
初めて泣いた。

~櫻井幹也~