バランスよく
プロってなんだろう。
時間が経つのも忘れるぐらいひろむ達と居酒屋で熱く語っていたら、終電に乗り遅れてしまった。
仕方なく新宿からタクシーに乗った。
バックミラー越しに行き先を伝えた後、一日の疲れからかウトウトとしてしまった。
そして気が付くと、家の近くに着いていた。
車内のデジタル時計を見たら8分程で到着した。
一切、大きな揺れや急ブレーキもなく安全運転だった。
けどもっと驚いたのは、料金が先月乗った時よりも200円近くも安かった。
当然です、という表情の運転手に、プロの仕事を見せて貰ったから、生まれて初めて「お釣りはいいです」なんて照れ顔で言ってタクシーを降りた。
ジャケットのチャックを首まで閉めてポケットに両手を入れたその時、ふと自分のアマチュアさに気付かされた。
人は経験を積んだり、本を読んだりして、技術や知識を得る。
そして徐々に左脳の論理的な思考を使って生きて行く。
でも、アーティストとして直感を司る右脳を全面的に使わないとダメだ、と感じ始め、論理的に左脳で右脳に言い聞かせてた。
でも間違ってた。
どっちが大事って事じゃなくて、
どっちもバランスよく使わないとダメだった。
タクシーの運転手で言うならば、
東京中の道を全て知ってても、いつも渋滞に巻き込まれたり、事故ばかり起こすオッチョコチョイ運転手や、
道順は知らないし、カーナビの操作は出来ないけれど、直感だけは良いんですっていうスットコドッコイ運転手が乗るタクシーには、トップアイドルにデートに誘われた夜以外あんまり乗りたくない。
プロってのはお客さんより多くの道順と交通ルールを知り、運転技術を持っていなければならないし、渋滞や赤信号が少ない方を直感で探り当てなくてはならない。
その結果、最短距離で最安値で目的地まで連れて行ける。
歌詞を作るには多くの言葉を知り、
メロディーとなる旋律の組合せを知り、
唄となる発声技術を訓練し、
そしてライブで直感を働かせなくてはならない。
この全てには、右も左も必要だった。
つまり、両方を柔軟に使えるアーティストを多分プロと呼ぶんだろうな。
そして一流と呼ばれる最高のプロって言うのは、自分の技術を見せるよりお客さんの笑顔を見たい人なんだろうな。
幾ら両方使えても、制限速度ギリギリでぶっ飛ばし、急ブレーキや急発進を繰り返し、どう?って顔してバックミラー越しに見せて来るタクシーには、トップアイドルに告白された夜以外は乗りたくない。
午前1時。
そんなこんなで、
両手をポケットに入れた俺は、ようやく目的地の家の前に到着した。
自販機で水でも買おうと、財布を見たら90円しか残ってなかった。
お釣りを貰ってれば・・・。
時間が経つのも忘れるぐらいひろむ達と居酒屋で熱く語っていたら、終電に乗り遅れてしまった。
仕方なく新宿からタクシーに乗った。
バックミラー越しに行き先を伝えた後、一日の疲れからかウトウトとしてしまった。
そして気が付くと、家の近くに着いていた。
車内のデジタル時計を見たら8分程で到着した。
一切、大きな揺れや急ブレーキもなく安全運転だった。
けどもっと驚いたのは、料金が先月乗った時よりも200円近くも安かった。
当然です、という表情の運転手に、プロの仕事を見せて貰ったから、生まれて初めて「お釣りはいいです」なんて照れ顔で言ってタクシーを降りた。
ジャケットのチャックを首まで閉めてポケットに両手を入れたその時、ふと自分のアマチュアさに気付かされた。
人は経験を積んだり、本を読んだりして、技術や知識を得る。
そして徐々に左脳の論理的な思考を使って生きて行く。
でも、アーティストとして直感を司る右脳を全面的に使わないとダメだ、と感じ始め、論理的に左脳で右脳に言い聞かせてた。
でも間違ってた。
どっちが大事って事じゃなくて、
どっちもバランスよく使わないとダメだった。
タクシーの運転手で言うならば、
東京中の道を全て知ってても、いつも渋滞に巻き込まれたり、事故ばかり起こすオッチョコチョイ運転手や、
道順は知らないし、カーナビの操作は出来ないけれど、直感だけは良いんですっていうスットコドッコイ運転手が乗るタクシーには、トップアイドルにデートに誘われた夜以外あんまり乗りたくない。
プロってのはお客さんより多くの道順と交通ルールを知り、運転技術を持っていなければならないし、渋滞や赤信号が少ない方を直感で探り当てなくてはならない。
その結果、最短距離で最安値で目的地まで連れて行ける。
歌詞を作るには多くの言葉を知り、
メロディーとなる旋律の組合せを知り、
唄となる発声技術を訓練し、
そしてライブで直感を働かせなくてはならない。
この全てには、右も左も必要だった。
つまり、両方を柔軟に使えるアーティストを多分プロと呼ぶんだろうな。
そして一流と呼ばれる最高のプロって言うのは、自分の技術を見せるよりお客さんの笑顔を見たい人なんだろうな。
幾ら両方使えても、制限速度ギリギリでぶっ飛ばし、急ブレーキや急発進を繰り返し、どう?って顔してバックミラー越しに見せて来るタクシーには、トップアイドルに告白された夜以外は乗りたくない。
午前1時。
そんなこんなで、
両手をポケットに入れた俺は、ようやく目的地の家の前に到着した。
自販機で水でも買おうと、財布を見たら90円しか残ってなかった。
お釣りを貰ってれば・・・。
~桜井モトヤ~