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貰い笑い

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夏休みの宿題を俺達はどうしてギリギリまでしなかったんやろうな。

スタッフF氏の家で初めて飯でも食おうって決めて、
ひろむと三人で代々木駅に待ち合わせして、
コンビニで生ハムとポテトチップスと缶ビールを買って、
ピザのMサイズ2枚を携帯で注文して、そんな話を始めた。

この世界に生物が誕生した頃のまま、どうして生物は一種類でとどまらなかったんやろう。
ずっとミクロな微生物のまま、子孫を作るなんてシステムにせずに、何億年もそいつらが生き続ければ良かったのに。

でも、何故か人類の祖先はそこから進化する事を選んだ。
目や鼻や耳や口や心臓を作り出したり、
海から陸に上がったり、
森から地上に降りてきたり、
道具を使ったり、
二足歩行にしたり、
言葉を作ったり、
宗教を作ったり、
制度を作ったり、
社会を作って来た。

終電の時間が迫った頃、
三人は自分達の一年後の夢を語り始めた。

「今週俺達は須田誠さんに出会い世界の素晴らしさの断片を感じた。
ワクワクするような夢を想像する、
って何か矛盾してるような気がしてきた。
だって今、想像出来る事じゃなくて、想像もしてなかった事が起こった時に、人はたまらなく嬉しくなってワクワクと幸福感に包まれるんやし。
叶えられそうな夢が叶うより、予想以上の事が起こった方が数倍ワクワクしてしまうんやから。」


って俺の言葉に、


「そっか、今自分達が想像出来る事に人はあまり興味がないのかもしれへんな。
だから夏休みの宿題もギリギリまでしたくないんやと思うで。
追いつめられた時にこそ、俺達の遺伝子は驚くべきアイデアや力が生まれる事を知っているのかもしれへんわ。
そうやって人類は進化をして来たんやわ。
俺達はずっと小さな生物でいる事に興味が無いわって思った末裔なんやから。」

「そうかもな~んじゃこの最後のピザ俺が貰うな!」

ひろむが話に夢中になっているのをいい事に、
俺はペロリと遠慮のかたまりをたいらげた。

「あぁ~」

ひろむは想像もしていなかった現実に落胆の表情を作った。
でも、数日前までここにいる三人が「カケラバンク」の全ての活動をストップさせようという大きな危機にまで陥っていたのに、今一緒に笑ってピザを食べていられてるそんな関係が、
三人の中に生まれているこの現状が嬉しいって顔でニヤついた。

俺はそれを見て、貰い笑いをした。


 ~桜井モトヤ~


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【カケラバンクの次回のライブ】

9月21日(月)22日(火)
池袋駅東口のHSBC前にて19時から、
24日(木)は20時半から♪

9月27日(日)
HMVインストアライブinららぽーと横浜。
時間は14:00~と16:00~♪