おおとり駆の城日記

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子供の頃からお城好き 今までに巡ったお城の感想 その他どうでもいい趣味のことなどあれこれ綴っていきます

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10月になりました。今月のカレンダーは松本城です。



松本市に行かれたことがある方ならよくご存じと思いますが、松本は周囲の山々の伏流水が地下に貯えられ、街の中にはいたるところに井戸や水路があって、きれいな水が豊富に湧き出しています。

松本城のお堀の水も全て湧水で、とても美しい水堀をもつ城として知られています。


ただ、あまりに透明度が高いので、底底にある堆積物が見えてしまうことから、昨年、お城マニアの芸能人として知られるロンドンブーツの田村淳さんが「テレビ番組の企画で松本城のお堀の水を全部抜いてみたい!」とラジオ番組で発言したところ、城郭考古学者の千田嘉博先生がSNSで反論し、一時お城ファンの間でざわつきました。


結果的にはお二人とも大人の対応をとられたので、バトルに発展することにはならなかったのですが、私も含め多くの人がお城や文化財のお堀について間違った認識をもっていたことが明らかになりました。


松本城に関していえば、前述のとおり、水が汚いのではなく、逆に綺麗すぎるので、堀底の堆積物(田村さんはヘドロと呼んでいました)が見えてしまっていることが問題です。

浅いところでは20cmくらいのところもあり、堀の中の魚が背中を出して泳いでいることもあります。

実際、夏場など水量が減ったときには悪臭が発生することもあるそうです。

では、単純に田村さんが言うように、お堀の水を抜き、ヘドロを除去すればよいかといえばそうではありません。


まず、水堀の中に沈んでいる石垣の基礎には胴木と呼ばれる松の木が用いられていますが、堀の水を抜いて空気にさらすと一気に腐食が進んでしまいます。

酸素のない水中に漬かっているために、杭等の木材は長期間強度を保ったまま保存されるのです。


また、松本城はお堀も含めて国指定史跡なので、勝手にヘドロの除去作業、いわゆる浚渫(しゅんせつ)をすることができません。

お堀の堆積物には戦国時代の陶磁器や鉄砲玉など遺物が発見されることが多くあります。

また生物学的、植物学的にも貴重な情報が得られることがあるのです。

こういったことから、文化庁が定める適切な手続きと事前の調査などの手順を踏んではじめて堀の浚渫作業が可能になるのです。


たまたまこのタイミングでもないでしょうが、以前から調査と検討を進めていた松本市は松本城のお堀で水を抜かない工法による浚渫作業を今後7年がかりかけて行うと発表し、先日報道されました。

貴重な史跡が守られ、同時に美しい松本城の姿が楽しめることを期待したいですね。


松本城訪城レポートはこちら



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