「舟の前の方に乗っていた私は舳先から直接岸に飛び降りた。岸部は小石まじりの砂地であった。水際の5,6mほど先に、高さ3mほどの断崖が立ちふさがっていた。 (中略)ふと足元を見てはっとした。10名ほどの戦死者の遺体が、頭を断崖の方にあおむけにして並べてあるのだ。渡河中か、上陸後か。いずれにしても遺骨(指または手首)をとっただけで、遺体を埋める暇もなく進撃していったのであろう。私はともあれ「サセコ」(左翼隊上陸成功の略)の発信と「緑吊星」の打上をしなければならなかった」(第18師団 荒井三男 「シンガポール戦記」より)