『草の竪琴』カポーティ /大澤 薫訳


読了しました。


あるきっかけで樹の上の家で暮らすようになる彼ら。そこにはさまざまな人生や感情があるのです。


現実から少し離れて浮いているようなその場所も、やはり下界と繋がっている、現実世界。


またいつか、読み返したいと思います。



カポーティは『冷血』しか読んだことがなくて

またぜんぜん違う、温かみのある小説でした。


でも繊細な描写は同じ。



下記は本文より☟


…彼女の笑顔は、ランプのほやにかかった蛾のように、向こう見ずで、脆いものに思われた。「チャーリーは、愛とは愛の鎖のことだって言っていたわね。あなたも聞いていてわかったと思うけど、それはこういうことなの。一つのものを愛することができれば」判事が一枚の木の葉を大切に持っていたように、彼女はカケスの青い卵を掌に包んでいた。「次のものを愛せるようになるの。愛は自分自身で持つべきものであり、共に生きてゆくものなのよ。それがあれば、何でも赦すことができるわ。さあ」彼女は溜息をついた。「まだその衣装に絵の具を塗ってないわ。…