大相撲初場所の「藪にらみ」見どころ

 大好きな大相撲の初場所が東京・両国国技館でこの14日から始まります。大相撲観戦歴70年に免じてお許しをいただき例によって今場所の見どころを「藪にらみ」します。

 最初に能登半島地震で亡くなられた多くの人に心よりお悔やみを申し上げます。被災避難された皆様が一日も早く平常の生活に戻れますよう切に願っております。また、昨年12月に60歳の若さで急逝された錣山親方(元関脇・寺尾)に哀悼の意を捧げます。回転のある突っ張りときっぷのいい取り口に多くのファンが喝采を送りました。安らかにお眠りください。

 今場所の最大の見どころは大関・霧島が連続優勝して横綱昇進を果すかどうかでしょう。完治は難しいとされる膝の故障を抱えた独り横綱の照ノ富士が万全ではない現状、協相撲会としても早くもう一人の横綱が欲しいところです。加えて霧島の師匠である陸奥親方が3月には定年を迎えます。大関・霧島として師匠が部屋を離れる前に綱を張って最大の恩返しをしたいという気持ちは強いでしょう。場所前の二所ノ関一門の連合稽古に一門外から連日参加して大関取りに挑む琴ノ若やライバルの大関・豊昇龍などと激しい申し合いで汗を流したことでもその決意が窺えます。

 10日になって師匠の伊勢ケ浜親方が横綱・照ノ富士の出場を言明しました。ただ、3場所連続休場明けの状態に関しては不安が残ります。9日時点での情報では伊勢ケ浜一門の連合稽古や出稽古をしたと報じられてます。伝えられるところではかなり意欲的な稽古だったようです。横綱には大変失礼な言い方になりますが出る以上は優勝もしくは千秋楽まで優勝争いに残っていなければなりません。酷なようですがそれが横綱の使命です。憎らしいほど強いと言われた横綱・北の湖(故人)は「横綱の勝ち越しは12番」が口癖でした。

 次の大関争いも大きな見どころです。ここ数場所続いた3関脇の巴戦から今場所は大栄翔と琴ノ若のガチンコです。先場所11番の星をあげた琴ノ若が半歩リードでしょうが大栄翔の三役在位期間の長さや昨年1年6場所すべて勝ち越し、さらには優勝経験力士という側面を考慮すれば甲乙つけがたいところです。いずれにしても両力士にとって年初場所でのふた桁勝ちが大関昇進の必須条件になるでしょう。

 連続ふた桁勝ちで優勝争いにも絡んだ日の出の勢いにある熱海富士が今場所は上位と総当たりになる前頭筆頭に番付をあげてきました。横綱、大関にどこまで通じるか若武者の真価が問われる場所になります。同様に着実に力をつけてきた豪ノ山、湘南乃海、金峰山、それに規格外相撲の北青鵬を加えた若手の三役先陣争いも見どころです。
 
 元大関の実力者・高安と、蹴返し、足取りなど変幻自在のくせ者・宇良が三役(小結)に座って優勝戦線をひっかき回し暴れまわるのも楽しみです。朝乃山、遠藤など能登半島地震被災地出身力士の頑張りも注目されます。また、先場所11番の白星をあげてひと皮むけた一山本や二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)の秘蔵っ子で大器といわれる新入幕・大の里(前頭16枚目)がどんな相撲を取るのかも見ものです。

 以上、文字通りの藪にらみをしました。被災地の皆さんに少しでも勇気を与えることができるような力士の奮闘を期待して大相撲の15日間を観戦します。

 ※<この投稿は力士や関係者にコロナ感染等による休場者がないことを前提にしています>