かかしロングインタビュー『かかしの歴史vol.2(前編)』
昨年11月22日、“いい夫婦の日”にスタートした、
バカボン鬼塚によるバカボン鬼塚へのロングインタビュー
『かかしのれきし』
かかしが結成された92年、
そして93年の村上正式加入~2回目のバンド大会優勝までを
語っているvol.1から約2ヵ月半。
待ちに待った『かかしのれきし』vol.2。
vol.1をまだ読んでいない方は、
ぜひそちらを読んでから読むべし。
-さて、93年に村上さんがメンバーに加入して、
最初のライブが?—
バンド大会。僕ら的には2回目の。大会的には3回目の。
—その後は?なにか、ライブはあったんですか?—
その年だと思うんだけどね、、
もう一回、バンド大会があって。
それ用に曲を書く訳です。
その頃よく、菊池が言ってたんですけど、
かかしは鬼ちゃんのバンドなんだと。
鬼ちゃんが目立てばそれでいいんだと。
僕は逆に、かかしでいろいろ出来ればいいなと
思っていて、、、。
だから、『私は風なの』なんかは
菊池が70年代の女性アイドルで歌うという
イメージだったんだよね。
今は全然大丈夫だけど、この曲を作った時は
菊池はあまりこの曲に乗ってなかった感じだったな。
で、そのもう一回のバンド大会のために、
『パリジェンヌ』や『こんにちはフランシーヌさん』や
『フサチコフ』を書いたと思うんだけど。
—また,優勝したんですか?—
いや、もうその頃、
かかしはある程度まわりで定着し始めていたので、
優勝はもういいだろうということで
特別賞をもらいました。
—なるほど。それでは、そのライブ用の曲について
聞かせてください。—
えーとね。まず、『パリジェンヌ』はねえ、
最初に演歌をやろうということになって。
歌い出しを僕が歌ってみたんだよ。
♪かには、ほっかい、ながれくも~♪ってね、
そしたら菊池が、
「タイトルはパリジェンヌっていうのはどう?」と。
じゃあ、居酒屋の名前をパリジェンヌにしてと。
あとは、フォークのフレーズ?ライラライとかの。
あれシリーズでヒュールリーを入れることにして。
この曲はだから、最初のうちは、
必ず曲紹介という前振りが必要だったんだよね。
「じゃあ聞いてください。パリジェンヌ。」
って言って、歌い出しが演歌で♪かには~でしょ。
もう完璧、出落ちソング。
—そして、馬刺のサスペンスもありで。—
そうそう。バンド大会の打ち上げで、
見ていたラジオのディレクターのひとりに
言われたんです。
『あの、馬刺がなくなっていくところがどきどきした』って。
—『こんにちはフランシーヌさん』は?—
あれは単に、「お盆の歌ってあまりないよね~」
から始まって。
唄も、シャンソン風に語りと唄の中間みたいにしてね。
面白いな~と思って。
でも最後はホラーチックになっちゃう。
ほんと、ホラー落ちがすきなんだな~俺たち。
—『フサチコフ』については?—
フランスばかりなので、なんか別の国をと思ってね。
そいでロシアだと。
この曲のタイトルはたしか僕がつけたと思います。
今でも、『歯医者2000キロ先。残りの歯は2本。』
のくだりは大好きだなあ~。
そうゆう追いつめ系もかかしは多いよね。
—あはは。で、1994年に入っていきます。—
うん。多分、93年か94年。
中目黒のべったこっていう居酒屋さんで菊池と村上、
そしてあとひとり、ディレクター仲間の女の子と
飲んでてね。
—めずらしいですね。かかしの3人が飲むって。—
そうだね。あまりないですよ。
今もほとんどないもんね。
菊池とも全然飲んでないなあ~。
それでね、その席で、例によって
また誰かの結婚式の二次会で歌ってくれってことに
なっているという話を聞いていて。
新曲作んなきゃねってことになり。
どうしようと。
なんかそのとき、女の子もいたってことで、
下ネタで盛り上がっていて。
そんで、僕、トイレに立ったんですよ。
で、トイレで用を足しながら、
“セックスかあ~、、、
あっ、セックスって言葉を使わないで、
『せ』がつく言葉から始まる、思わせぶりの曲はどうかな”
と思ってね。
トイレから出てすぐその話をみんなにしたらこれが大受け!
で作ることになるんです。
—すぐにできたんですか?—
その場ではそのアイデアのみで。
でもね、そのころ、僕と菊池と村上のスケジュールが
もう合わなくなり始めていて。
結局、パーティーの当日、
放送局のディレクターズルームで辞書で
『せ』で始まる言葉を探しながら作りまして、
一発的な感じだったんだけど。
普通、こういう風に作った曲って、記憶から消えちゃって、
幻の曲になっちゃうんだけど、この曲はなぜか覚えていて。
というか完成度が違ったんだね。
とにかく、この頃は、3人ともばらばらで新曲を書くのが
困難になってきた時期でしたね。
曲が書けない。
スケジュールが合わない。
恋人同士だったら決定的な事態である。
このあと、かかしはこの冬の時代をどうサバイヴしていくのか。