光媒の花 | 本との出会いは、師との出会い。

本との出会いは、師との出会い。

智慧は、先生から指導されて身につけるものではなく、自ら学ぶものです。ですから、先生が本であっても、生徒の意欲が高ければ、学習の成果が期待できます。書店には、素晴らしい先生方が、時代を超えて、いつでも待っています。

 第三章までが、ちょっと重い感じだったが、第四章 春の蝶、第五章 風媒花に少し救われた感じが…風媒花はとても良い。 第六章を待たず、この本を手に入れた 価値があると思った。第六章 遠い光はどうかな?

 第一章から三章までは、重石を引きずるような感じで気持ちが沈んだが、第四章からは、まるで少しずつ夜が明けて行くように光が差してきて、人は辛い境遇からも立ち直り、罪を償い、光を目指すことができると、励ましてくれる物語であることが分かる。

 風媒花の中の亮の独白が印象に残る…「あの頃から、自分は何も変わっていないのかもしれない。本当のことを直視するのが厭で、怖くて、こうしてまた何年間も自分を誤魔化しつづけているのだから。」「どうして人は、思い出したくないことばかりはっきりと憶えているくせに、大切なことはみんな忘れてしまうのか。」

 道尾秀介さんの物語に登場する子供たちは、感受性が鋭く、それ故に先を読み、時として大人のように振舞おうとして深く傷つく。子供たちは成長した後も自分自身を欺き続けているが、他の誰かに力を添えることで自らの心を解き放つ切っ掛けを掴む。『月と蟹』も良い物語だが『光媒の花』も素晴らしい。


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