- 万能鑑定士Qの事件簿III (角川文庫)
- /角川書店(角川グループパブリッシング)
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人気ファッションショップを襲う突然の売上低下は、かつてミリオンセラーを連発した音楽プロデューサー西園寺が、起こした事件の一つだった。
西園寺は、音楽プロデューサーとしての才能を利用した複数の詐欺事件を起こすとともに、信奉者を利用した犯罪を企てていた。前半は、そこそこの緊張感が維持され楽しめるが、中盤で容疑者が西園寺であることと、動機が借金地獄からの起死回生のためのものであることが特定されてしまうと、物語りを繋ぎとめるのは、莉子が事件の真相をどのように暴くのか?という一点に集中せざるを得ない展開となる。
後半、西園寺は、真相を隠すために様々な手を尽くして周囲を騙し続けようとするが、その方法は、何か一つ崩れると成り立たなくなってしまうような綱渡りであって、リアリティが乏しいのが残念。一方、彼を追いつめてゆく莉子の方には憎い程の余裕が感じられ、大きなピンチがないのが物語りをつまらなくしている感じがした。
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