はじめに

この1ヶ月間、私のすぐ近くでマルチ商法に巻き込まれた先輩がいたことについてぼやくような書き込みをしたが、昨日先輩がついに洗いざらい話してくれた。

 

これまで話してもらえなかったいいにくいことまで聞かせていただいた。

 

よく抜け出してくれた。

勇気を持って話してくれた。

 

このことに触れて本気で泣いてしまった。

そしてマルチ商法は本気で社会から糾弾しないとならない感じた。

そのためには、マルチ商法について客観的に事実を広める必要があると思った。

 

これまで、マルチ商法に誘ってきた先輩について、ネズミ先輩などと悪意をこめた呼び方をしていたが、本来そっちの道に染まる前はいい先輩であったわけで、突き落とすのではなく救ってやらなければならない対象なのだ。

 

しかしながら洗脳に染まってしまった人を元に戻すのはプロであっても難しいようだ。

私がいくら泣いたところで取り戻せるようなものではないのだろう。

せめて、私の知り合いが染まってしまう前に正確に事実を伝えたい。

 

そのために今日は一連の騒動について悪意なく綴っていこうと思う。

 

 

目次

・マルチ商法とネズミ講の違い

・マルチ商法で失うもの

・マルチ商法への黄色信号

・マルチ商法とセミナー

・マルチ商法の現状

・西先輩の衝撃の告白

 

マルチ商法とネズミ講の違い

いまさらここで書かなくてもいいことではあるが、マルチ商法のことをネズミ講だと指摘すると怒り出す。話しにならなくなるので「ネズミ講」という言葉は禁句だ。

 

マルチ商法は合法、ネズミ講は違法

 

この事実が先行して本質を見ようとしないのが彼らマルチ商法集団なのだと思う。

 

さらに言うと、彼らはマルチ商法という言葉もあまり使わない気がする。

ネットワークビジネスという誇るべきビジネスをやっているという認識だ。

しかし私はネットワークビジネスという言葉を知らなかったし、一般的にはマルチ商法という言葉のほうがよく認知されていると思う。

 

まずは相手を知ることが必要だ。

集団によってもやり方は多少違うが一般的に言われていることをまとめると以下のとおりである。

私自身調べるまで知らなかったことも何点かあった。

 

上のモデルのように原価3000円、アマゾン価格5000円、会員価格4000円の化粧品を売ることを考えよう。

マルチ商法の商品は会員にならないと買えないと思っていたが、アマゾンで購入可能であるようだ。

 

ネットワークビジネスにはMLMとSLMがあるようであり、マルチ商法と呼ばれるものは左上の体系である。

 

 

マルチ商法では、Aという大元の販売者が4000円でB、Cに売ることから始まる。

この時点でAには2000円の利益があり、極普通の販売体系といえよう。

 

次にB,Cは下の世代D,E,F,Gに売っていくわけであるが、このモデルにおいては、B,Cに3500円、Aに500円が分配される。

Aにとっては何もしなくても収入が増える。

B,Cは元が取れるわけではないがいくらかリターンが帰ってくる。

早くビジネスを始めたほうが得なシステムだ。

 

そしてD,E,F,Gであるが誰にも物が売れなかったとして、アマゾンでは5000円のものを4000円で買えるのだからいい買い物をしたといえるだろう。

 

 

SLMにおいても同様に商品が売れなかったとして、損することのない仕組みができているが、B,Cが商品を売ってもAの収入にはならない。従って、ビジネスを始めるタイミングで差が出るわけではないのが特徴である。

 

 

そしてネズミ講であるが、商品の流れの無いことがマルチ商法との違いだ。

一番下の世代が4000円を支払うのみで損をしている点から、昔から法律的にも規制されているようだ。

 

 

なるべく、マルチ商法のことを悪く書かないように努めた。

ただし、商品価格のバランスが保たれており、物の売れることが大前提となるため、あまりに商品価値が薄く、高額なものを売りつけるとネズミ講としてみなされる場合があるので注意が必要だ。

 

また、マルチ商法の現状を知るとなお悪いことが見えてくるのだが、それはこれからのべていこう。

 

 

マルチ商法で失うもの

根拠は後々書くことにはなるが、ここでマルチ商法で失うものをあげていこう。

 

・金

・時間

・信頼

・友人

・自我

 

これらすべてを失う。麻薬と共通する点が多い。

うまくやれば金だけは返ってくる人がいるのは事実のようだ。

そして、金が切れれば縁の切れる友人ができる。

 

マルチ商法で成功している人も金以外のすべてを犠牲にしていることを知るべきだ。

そのことに気づいた人だけが成功できる。

善意でマルチ商法をやっている限りは絶対に成功しない。

 

マルチ商法への黄色信号

実際に私がマルチ商法に誘われたわけではないが、誘われる一歩手前までは行った。
黄色信号を渡ったところである。
マルチ商法勧誘につながる点について太字にしておく。
疑いすぎると誰とも話しができなくなるが警戒点として覚えておいて欲しい
 
実際に誘われたのは私の会社の先輩(南先輩、男)であり、誘ってきたのは大学時代の先輩(東先輩、女)であった。
また、東先輩を誘ったさらに上の先輩(西先輩、男)がいる。面識はなかったが、西先輩は私の大学の先輩でもある。
私のことは文脈上、北と表現することにしよう
 
ことの始まりは私が東先輩に声をかけたことにある。
職場が近い先輩ということで、ちょっと話しでもしてみようか、というかるいのりで声をかけた。
また、本来東先輩は、美人ではないが気がよく姉御肌の頼れる人であり、当時街コンに通い出会いを求めていた南先輩と気が合うのではないかと思い、二人を引き合わせてみればうまくいくのではないかという思惑があった。
 
実際会ってみると極普通の話しをしただけである。
仕事のこととか恋愛のこととか。
ただし、会話の流れで将来の目標について聞かれたが、今思うと品定めされていたのだと思う。
 
そして、別れ際に近いうちにバーベキューをするのだけれどこないかという誘いを受けた。
私はどういうコミュニティーの集まりなのか尋ねたが、東先輩は友達の友達の集まりだから北も人集めていいよとのことであった。
そのときはいろいろな人と出会うのは大事なことと思っていたので、バーベキューに参加する意思を伝え、南先輩も連れて行くことにした。
 
そしてバーベキュー会場には、東先輩のコミュニティーが100人ぐらい集まっていた。
メンバーには消防士やシステムエンジニアや学生、ありとあらゆる人がいた。
どういう経緯で今日のイベントにくることになったのか聞いてみると、昔の友達に誘われた、美術館で声をかけられた、相席屋で声をかけられた、など実に多岐にわたる。
ちなみに西先輩ともこのとき初めて出会った。
 
その日はおいしく肉を頂き、話しをして解散することになったが、
東先輩に南先輩を紹介して私の目的は達成した。
これが悲劇の始まりであった。
もちろん善意での行動であるが、結果的に私の責任は重い。
 
その後、東先輩と南先輩は何度か会って食事をしていたようであり、そのことを逐一報告してくれていた。
うまく関係を深めていったのだなと自分のことのようにうれしく思ったものだった。
 
そして、バーベキューのようなコミュニティーでの会は月1くらいで開催されているらしく南先輩はそれにしばしば参加していたようだ。
 
雲行きが怪しくなってきたのは南先輩と東先輩が出会って2ヶ月くらい経ち、ビジネスの開拓者のような人に行くという話しが出てきた頃からである。
会いに行ってどんな話しをしたのか、南先輩ははじめのうちは教えてくれたが、具体的にどんなビジネスをしているのかは語らなかったという。
 
それから2ヶ月間くらい南先輩は東先輩関係のことを話してこなくなった
 
そして南先輩が東先輩と縁を切ったことを私に明かし、ことの顛末が明らかになったところである。
 

マルチ商法とセミナー

 
南先輩が何も語ることのなかった空白の2ヶ月間何をしていたのか、聞くごとに身の毛のよだつ思いである。
私のすぐ側まで危険が迫っていた。それに気づくことができなかったのは本当に恐ろしい限りだ。
 
南先輩と東先輩が出会った頃は本当に普通の話をしていたようだ。
それが危ない。
警戒を解く効果がある。
 
そして何回か会ったタイミングで将来の目標について聞かれたようだ。
実際目標なんてあんまり考えることは無いけど、なんとか意識の高い言葉を出すように誘導してくるようだ。
 
「今のままでいいのか、もっと上を目指さなくて良いのか」
 
こんな言葉をつかって。
当然、人として生きているからには上の生活をしたいというのは当たり前の感情である。
上に行きたいかと聞かれたら、まあそうだよねぐらいは私も答えていただろう。
 
南先輩の同意に取れる言葉を聞いてからビジネスの話しを切り出す
お勧めの本なんかも勧めてくる。
 
金持ち父さん
私はこのタイトルの本を読んだわけではないので、本自体の批判はしないがこれを進めてくる人は要警戒である。
 
ビジネスで成功している人に会いに行くんだけど一緒に行かないか?
そのころにはある程度信頼関係が築けているだろうから、話しぐらいききに行ってもいいだろうと思うのが普通だ。
 
そしてその成功者に警戒なく会いに行ってしまうと逃げるのが非常に難しくなる。
とても話しがうまいのだそうだ。
実名なのか、どういう漢字なのかも分からないがこの名前が出てきたときは全力で逃げていただきたい。
 
しゅうこ
会う場所も回りにタワーマンションが建ち並び、こんなところに住みたくない?
などと問うて来るようだ。その場所とは
 
田町
 
タワーマンション郡はマルチ商法成功者の巣窟となっているらしい。
ここに呼ばれた人は、しゅうこに限らず警戒すべきである。
 
しゅうこはすぐには具体的な話はしないようだ。
故に南先輩は話を詳しく聞くために、繰り返し田町に通ったそうである。
 
南先輩から話しは聞かなかったものの仕事終わりに週一くらいのペースで出かけていたことは把握している。
 
 
しゅうこによる洗礼をうけてからは今度はセミナーに通うことになる。
 
基本的には無料の自己啓発セミナーのようだが、会場費に1000円、往復の交通費で2000円、これが徐々に頻度が増えていき多いときは毎日のように通っていたと聞く。
バカにならない出費だ。
この時点かなりの金と時間を失っている
 
そしてセミナーにもグレードがあり、何回か通っているうちに一生に一度しか受けられない8万円くらいのセミナーの参加も勧められるのだそうだ。
 
開催日が平日3日間連続の泊り込みだったこともあり、さすがに南先輩は仕事を理由に欠席したようだが日程さえあれば参加していたかもしれない。
 
3日もあればセミナーに洗脳されるのも十分だと思う
自我が失われるわけだ。
いきなりそのセミナーに参加するかといわれても誰もが警戒するだろうが、少しずつ警戒を解かれるがために参加してしまうのだろう。
 
セミナーの内容を完全に把握しているわけではないのでそれ自体の批判はできないが、ビジネスにおいては人に共感するのが大事なのだよ、人をほめましょう、高い目標を持ちましょうというようなことを学ぶらしい。
 
私が特に怖いと感じたことはセミナーに参加する動機を述べさせることだ。
東先輩は仕事して帰ってゲームするだけの人生ではダメだと思いはじめることにしました、などと発言したらしい。
 
また、セミナーに参加した後、東先輩は職場の人がやる気無いように見えると発言したそうだ。
失礼極まりない話しだ。自分に酔っている。
 
マルチ商法の一貫を以って得られるものはこの麻薬的快楽しかないと思う。
結果も出て無いのに幸せになれる
洗脳が解けそうになったときにはまたセミナーという薬物を注射してがんばっている私カッコいいという麻薬的快楽を得るのだ。
金と自我が失われることも共通しているだろう。
 
そして洗脳が完了した頃にマルチ商法を実際に始めることになる。
初期投資30万円必要なのだそうだ。
東先輩にとっては適正な価格らしい。

マルチ商法の現状

 
ところで、ここまでセミナーのことを書いてきたが、ビジネス関係なくない?と思わないだろうか。
上にマルチ商法の仕組みを書いたが、そのビジネスをするだけならセミナーも、初期投資も必要ないのだ。
冷静に考えてみれば分かる話しである。
 
この辺からマルチ商法が世間からずれた存在であるかが見えてくる。
 
上のマルチ商法モデルでは、ビジネス参加者があまり得もしないが、損もしないような仕組みを書いたが、トップの人は年収数億で海外旅行も行き放題・・・など行って仲間を勧誘するのだ。
 
どうやってそのビジネスモデルでそれだけの収入を得るのかをこれから述べていこう。
 
まず、モデルの商品である化粧品であるが、マルチ商法で有名なアムウェイ、モデーアなどの主な商品である。
 
化粧品もピンキリあるが、良いものなら5000円といわず、1万、2万するものがあってもおかしくないと思う。ここまではOKだ。
 
問題としては、そんなに頻繁に買うか?ということだ。
マルチ商法のトップが潤うには下のものに大量消費してもらう必要がある
 
そこで出てくるのがセミナーの重要性だ。
セミナーでは、「ネットワークビジネスでは売るのも仕事だけど、買って商品を試して消費者に伝えることも仕事なんだよ」ということを教えるそうだ。
 
買うのも仕事
洗脳されきってる東先輩は真に受けて、無駄に消費するのだろう。
 
また、そのマルチ商法集団では在庫を抱えることも禁止しているらしい。
必要以上に買わされた上に在庫を抱えてはいけない
 
西先輩は消費するために1日1本飲めばいいような栄養ドリンクを毎日3本くらい飲むらしい。
 
また、ネズミ講とみなされないためにも商品が値段に見合うもので無いと、東先輩らは困るわけで、これについてもセミナーで散々商品は物がいいことを植えつけられるようだ。
 
この穴だらけのシステムに矛盾を感じてもいいようなものだが、初期投資30万支払ってしまっている。
やめると30万が水の泡と化す。
また、東先輩は30万円分の買い物をしたと信じている。
がんばれば取り返せると信じてしまうのだ。
 
また、困難に直面したとき相談相手がマルチ商法集団になる。
もうこんなビジネスやめたいと思ってもマルチ商法集団にこのビジネスをがんばろうと勇気付けられるのだ。
 
本来東先輩は真面目な人であり、まさかマルチ商法に引っかかってしまうとは思わなかったが、真面目な人のための洗脳の処方があるのだと感じた。
 
マルチ商法の勧誘にありがちな楽して儲けられる、という言葉にはたぶん乗っからなかったと思う。
苦しいけどがんばれば成長できる。
東先輩の洗脳にはこういう言葉のほうが適切なのだ。
金銭としてリターンは無いけど人として成長できればよいという考えにもいたっていると思う。
実際は洗脳により自我が失われているだけで成長なんてしていない
あくまで本人は自らの意志で動いており、誰に強要もしないし、強要もされていないつもりのようだ。
 
セミナーはマルチ商法集団を維持するために必須の手法なのである。
 

西先輩の告白

冒頭で、南先輩が言いにくいことまで話してくれて思わず泣いてしまったと買いたが、そのことについて言及しよう。
 
上の項目で書いたことはこの1ヶ月ほどで少しずつ話してくれたことであるが、
昨日初めて話してくれたことはこの2点である。
 
・職場での会議をサボって泊り込みのセミナーに参加していた。
・上司に管理職になること勧められたが、マルチ商法の件で忙しくなりそうだから断ってしまった。
 
これらのことは、社会人としては失格だと思う。
マルチ商法で信頼を失うと書いたが、打ち明けることで南先輩は信頼を取り替えしたのだ。
これらの事実に真摯に向き合えば今後は選択を誤ることは無いと思う。
まだ若いし、いくらでも取り返せることだ。
 
そして何より私たちを裏切っておきながらもちゃんと戻ってきてくれたその心の強さに心打たれて泣いてしまった。
私が同様の立場であればもう引き返せなかったと思う。
うそをうそで塗り固めるしかなくなると思う。
 
考えてみれば、マルチ商法に染まりかけていた頃は何も相談してくれなかった
後ろめたいことをしている自覚があるからに違いない。
 
東先輩だって私が指摘するまでマルチ商法の話しをしてくれなかった。
後ろめたい自覚があるのならやめればいいのに
相談してくれればいいのに
 
しかしながら、マルチ商法集団の中にもルールがあり守秘義務などもあるそうだ。
これも外部に相談できない要因となっているのだろう。
本当に勇気を持って相談して欲しいと思う。

 

まとめ

結局私の主観が主になってしまったが、
時間、金、信頼、友人、自我
これらをすべて失うのがマルチ商法である。
 
マルチ商法に誘われてしまったときは、勇気を持って信頼できる人に相談して欲しい
自分にとって本当に大事なものが見えてくるはずである。
時間や金は取り返せなくても諦めるしかない。
 
しかし人間関係だけは失ってはならないものだと思う。
知らぬうちに第3者の人間関係まで壊しているのがマルチ商法だ。
私は一連の騒動で東先輩を失い、南先輩まで失うところであった。
 
南先輩はマルチ商法を断ち切ってからこのように述べていた
「ネットワークビジネスをはじめるのは誰かに言いくるめられた結果であるが、
やめるのは自分の意思である。やめることは本当に勇気がいるし、やめることで得るものが多くあった。セミナーを受けるよりも、やめたときのほうがよっぽど成長できた
 
私も、東先輩のことは見捨てたが、いつかやめたいと相談してきたときは本気で助けるつもりだ
もし、マルチ商法その他カルト宗教にはまってしまったがために友人を失ってしまったと気づくことができたのなら救われる可能性はある。
今すぐ迷惑をかけた人に謝り、すべてを洗いざらい話してしまうことを勧める