川しまいさおテキストブック『400文字で何とかしよう』
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【物語詩】朝

パパ。
お父さん。

世界はまだ続いているよ。

次は宇宙のおはなしです。

四角が空に浮かび、それを観察している僕らと先生。


でも僕が見ている四角は、僕のもの。

あの四角は立体となり、四角自体がバラバラになって、バラバラになった線はさらに空に線をひきはじめる。


そしたら怪獣が現れて線の上を歩き始めた。


線の端と端の面積が拡がり線は面になり、空は元の空の通りになった。

ただし前より少しだけ低い空。

怪獣たちが歩ける高さは残しておいた。
あの空はきっと大変なことになる。

ロケットが飛んでいったら大騒ぎだ。



学校の授業はきっと今もむかしも同じだったんじゃないかと思う。つまり退屈。
退屈しのぎに色んな空想をしたり、昔の子だって空に向かってこんな落書きなんかしたんじゃないかと思う。

落書きは見つからないようにするには、頭のなかで書けばいい。
頭のなかで書けば誰にもわからない。


先生からちょうだいしたみんなへのもんだい。

みんな次々と答えていった。
補習だらけの僕にはおおよそ解けやしない。

もんだい。
『僕らは宇宙にいることになったということがわかってどれくらいたったのか』


いつからかわかった人から帰ることが出来る。

もはや帰れない覚悟。

だから先生は最後の手段で僕を含めた何人かは次の補習授業も受けわたす。しんどい。




僕は居残り。
まだまだおうちには帰れない。

だからもうちょっと頭のなかでたくさん落書きをしよう。


宇宙の授業なんてまっぴら。あたりまえのことばかり。


まっぴらゴメンです。お腹空いたな~。

【物語】旅立ち

息子が野球部を辞めたのは3ヶ月前だった。
部活で何かしらのトラブルがあったのだろうが、追及はしなかった。
息子は野球をしたかった。それは見ていればわかることだ。
野球が嫌いな人間が毎晩血豆が潰れるほど素振りをするものか。
私は息子の素振りの音を聞きながら、彼が野球をしたいんだ、と言ってアメリカに行く妄想をした。きっと私の夢かも知れないのだが。

ある日素振りをしない日があった。
私は言葉を選びながら、ただ息をした。
息子に背中を見せながらビール缶のプルトップを開け、諭したような目を息子に向けた。


行ってくる、とでも言いたそうな息子。

私は息子の遺影に俯いた。
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