「協力していこうよ」


がん細胞が見つかったと告げた途端、夫はそんな「綺麗な言葉」を私の元へ届けるようになった。






けれど、私の耳に響くのは、これまで彼が私に投げつけてきた、鋭利なナイフのような言葉の数々だ。

反論するたびに、彼は私を冷たく突き放した。



「そんなことを言われるようなことを、お前がしたんだろ?」

「よくそれで、仕事ができてるよね」



私が仕事でどんなに成果を上げようと、チームを率いていようと、家庭という閉ざされた空間で、彼は私の自尊心を徹底的に削りにきた。



今さら、どの口が協力を語るのか。



体調が悪ければ「俺の方がひどい」とマウントを取り、別の病気のときには「保険金は好きに使っていい」と恩を着せながら、引っ越しの段になれば「あの保険金はどうした?」と私の備えをあてにする。


自分の懐が痛むときだけ、私の経済力を家族という名の下に搾取しようとする男。


その男が、がんかもという告知を受けた私に、「協力したい」と眉を下げてみせる。


それは滑稽を通り越して、もはやホラー真顔


しつこく食い下がる彼に、私はこれまでの不誠実を、すべて時系列に並べて突き返してやった。

感情的な喧嘩じゃない。これは、彼が長年積み上げてきた発言に対する、徹底的な回収作業だ。



「あなたはあの時、こう言いましたよね。私は、一秒たりとも忘れていませんよ」


「関わらないで。迷惑なの」



そう突き放すと、彼は信じられないほど呆然とした顔をして、



「……それがカカの希望なの? 自分は嫌だけど」



と、またしても責任を私に丸投げする問いを投げた。

自分が傷つきたくないだけで、判断の重荷はすべて私に背負わせる。これまでもそう。

その甘えこそが、私への最大の攻撃だと、彼は気づきもしない。






本当に協力したいなら、許可なんて取らずに、勝手に動けばいい。


変に関わってやった風にされてもキツイので、

言い訳ばかりを並べて、汚部屋のまま年を越した夫の部屋を速やかに片付けるように命じた。



「とりあえず、自分の部屋を片付けたら?」




過去の発言を回収する作業は本当にスッキリする。言われっぱなしなことも多かった。

なんでこんなに言われているんだろうと思うこともあった。


吹っ切れた私は最強だ‼️


過去の矛盾をすべて本人の目の前で清算してやった今、私の心は驚くほど凪いでいる。

反論は、驚くほど気持ちがよかった。


私は今日も、自分や子どものために仕事をし、子どもたちの未来を守るために、自分は動き続ける。






自分にご褒美