かくしごと | Pessimistic Optimist

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徒然の想いと出来事

昨日、今年14本目となる新作映画を劇場鑑賞してきました!!

 

「かくしごと」というタイトルの邦画でした。

 

個人的には全くノーマークの映画で、作られていた事も知らず、予告編も観た事がなく当然監督や出演陣も知らない作品でした。

 

何か良さげな映画はないかな~と何となく物色している時、目に入った作品で、しかし主演のに興味もないし、監督も知らない人だし、唯一奥田瑛二が出演している事に反応したのと、宣伝写真とタイトルから何か感じるものがあり劇場へ足を運びました。

 

ストーリーや設定の予備知識殆どナシで鑑賞するのは、いつもの通りでしたが、実際に観てみると今年に入って鑑賞した14本の作品の中では、個人的にベスト1になる秀作で大変感動しました。

 

オープニングは、深い山中にある一軒家へボロい車が狭い道を走り向かうシーンだったのですが、こんな場所がまだまだ日本にはあるのだろうな~と牧歌的気分にさせられ、今後この映画が、どの様な展開をしていくのか全く想像出来ない作りでした。

 

まずは長年会ってもいなかった、父・娘が再会するものの、父・奥田瑛二は認知症が進行しており、ナルホド、認知症の父と過去何かいざこざがあり、スッカリその関係性が冷え切ってしまった娘・との介護を通じてのヒューマンドラマが始まるのかな?という感じがファーストコンタクトでした(^-^;

 

その後も、の幼馴染の親友が登場したり、奥田瑛二を昔から知る医師が登場したりしますが、山村での空気感、時間感そのままに、ゆっくりと抑揚なく話が進んでいきます。

 

ひょっとして、抑揚なくこのままのテンポで淡々と進むだけ??とやや不安になった頃に、突然行き倒れに近い9歳位の少年が登場し、そこから話は思いもかけない展開となり、認知症問題と児童虐待問題という、昨今の日本では避けて通れない重いテーマが基軸となり、非常に見応えのある作風に変化していきます。

 

重い社会問題をテーマにしながらも、自然に接しながらの生活や登場人物それぞれの想いを描く画面が美しく、情緒性豊かにじわじわと観客の心に沁みてくる演出や脚本も素晴らしいです。

 

ネタばれになるのでストーリーの詳細は割愛しますが、多分鑑賞する人それぞれの立場で感情移入出来る作風にもなっており、何度も思わず涙するシーンがあります。

 

そして最後の最後、想像し得なかった結末でのセリフとの表情で、一気に涙腺が決壊します(;^ω^)

 

少年役を演じた、中須翔真という子役が素晴らしいですし、主演のこれだけの芝居が出来る女優なんだと改めて認識し、奥田瑛二はサスガの凄みで見事でしたし、他の地味な出演陣も皆自然な良い演技をしていました。

 

監督、脚本を務めた関根光才という人は全く知らず、過去作を調べても1作も観た事がありませんでしたが、情緒性豊かな素晴らしい作品を作る人だと感心し、要チェック監督になりそうです。

 

地味な淡々とした作りですが、こういう作品こそが低予算ながら邦画が誇れる秀作ではないかと心底思え、超お薦めしたいです。