ミッシング | Pessimistic Optimist

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徒然の想いと出来事

今年12本目となった劇場鑑賞映画は2週続けての邦画でした。

 

「ミッシング」というタイトルの映画です。

 

吉田恵輔監督、脚本による今作ですが、主演の石原さとみが以前から吉田監督の作品に出演したいとラブコールを送り続け、やっと実現した1作でもある様です。

 

吉田監督に対して、個人的には名前も存在も殆ど意識が無かったのですが、改めて調べてみると「ヒメアノ~ル」「BLUE ブルー」「空白」と3本も無意識の内に、いずれもCS映画チャンネルやアマプラで鑑賞していました(@_@;)

 

3作とも癖の強い、救いの無い人間のエゴや隠れた情念といったものが印象に残る、おどろおどろしい作品という感じでした。

 

その吉田監督最新作となる今作ですが、ある種ドキュメンタリー映画かと思う程に、セリフや演技が自然ですし、だからこそより各登場人物の痛々しい迄の心情が上手く描写されています。

 

話自体は至ってシンプルで、6歳の娘がある日突然姿を消し、必死に自らも捜索する、母親・石原さとみを中心に、父親・青木崇高、弟・森優作、TV局記者・中村倫也といったメインの登場人物それぞれの思惑、感情、人生をリアルに描きながら、果たして姿を消した幼い娘はどうなったのか?見つかるのか?何故失踪したのか?という不安がそのまま継続する作りになっています。

 

失踪してから約2年半という時間経過の中の出来事を描いている今作ですが、その都度、親の立場や人としての立場等々、感情移入出来る箇所が多く、思わず涙する場面も多々ありました。

 

と同時に、実は日本でも報道されていないだけで、毎年何百人という子供達が失踪しているらしく、今や世界の常識とでも言える程に、児童性愛者の権力者への供給や、新鮮な臓器の高額取引、果てはアドレナクロムなる秘薬の原材料として、世界中で多くの子供達が誘拐され密売され犠牲になっている現状の悍ましさ、恐ろしさにも思わず目が向いてしまう作品でもありました。

 

愛する娘を自分達のちょっとした油断で行方不明にさせてしまい警察、マスコミの力を借りても、自分達で必死に探しても、どうしても見つからない・・・時だけどんどん流れていく焦り・・・

 

今作は徹底してリアルで、途中、映画的に結末はどうであれ、やっと娘が見つかるのか・・・と思わせる演出もアリながら、結局は何も解決しないまま、悶々たる思いで日々を過ごしていくだけの主人公達・・・という形で終わり救いはありません。

 

演者も皆素晴らしく、特に青木崇高の男泣きシーンではこちらも涙腺が決壊しましたし、知らなかった森優作という俳優も素晴らしく、気合が入り過ぎてややオーバーアクション気味な石原さとみの演技を男優陣が見事にサポートしている風に感じました。

 

吉田監督らしいと言えばらしいのでしょうが、映画全体としては虚無感だけが残るいつもの作りで、特に今作は題材が重いだけに見る人によっては辛いだけの映画になるかもしれません。

 

ただ、個人的には観る価値のある映画だと思います(*^^)v