映画 「カラオケ行こ!」 2024(令和6)年1月12日公開 ★★★☆☆

 

 

合唱コンクールの全国大会、大阪予選会。

岡サトミ(斎藤潤)が部長を務める森丘中学合唱部は常勝校だったのに

今年は3位で、全国大会には行けませんでした。

自分自身も変声期でうまく声がだせず落ち込んでいたサトミの前に

いきなりヤクザの成田キョウジ(綾野剛)が声をかけます。

 

「カラオケ、行こ!」

 

実はキョウジの組ではカラオケ大会で最下位になると

組長から直々に刺青を彫られるというルールがあるのです。

 

「えっ、ヤクザって刺青怖いんですか?」

「組長はプロの彫り師じゃないし、だいたい絵心がうんこ」

 

恥ずかしい刺青をされるのが絶対にイヤで、

キョウジは歌を教えてくれる先生を探していたのでした。

 

キョウジはサトミを強引にカラオケに連れて行くと

持ち歌のX JAPANの「紅」を歌い始めます。

 

 

激しくシャウトするキョウジに

「終始、裏声が気持ち悪いです」

「手は上げないほうがいいと思います」とダメ出し。

それ以上のアドバイスはなく、さっさと帰ってしまいます。

 



次の日、キョウジはサトミがカラオケに忘れた

カメの絵柄の傘をさして、校門の前にいました。

中学生でこんな傘をさしている人はサトミだけだから、ほかの生徒がすぐに気づき、

めんどうなので、合唱部の「合唱の基本」みたいな冊子を渡して帰ってもらおうとしますが

それに記名がしてあって、名前まで知られてしまいます。

 

 


「サトミくんを見つける才能あるのかもしれん」
なし崩し的にキョウジのカラオケにつきあうようになったサトミですが、

だんだん、優しくて礼儀正しくて、自分のことを思ってくれるキョウジのことが

好きになっていきます。

「声は振動で、440ヘルツが『ラ』です」

「キョウジさんにあった音域の歌を選ぶのがいいと思います」

 

 

一方、部活の方は、思ったように高い声がでなくなり

後輩の和田からは、「部長はやる気がない」と

ぶつぶつ文句をいわれるのがイヤで、熱がはいりません。

ある日、カラオケにいくと、部屋のなかには怖そうなヤクザが何人もいて

全員がサトミに歌を聴いて欲しいと待っていたのです。

「声が汚いです」

「よくリズムを聞いてください」

「体力つけて息が続くようにしてください」

「うるさいです」

「カスです」


あまりに忖度のないサトミの言葉に気色ばむヤクザもいましたが、

キョウジがとりなし、

「みなさん、一度声を録音して自分で聞いてみれば

ぼくなんかに頼らなくても、上達すると思います」

といって、サトミはようやく解放されました。(あらすじ とりあえずここまで)

 

 

 

 

2020年夏のTBSの金曜ドラマ「MIU404」は

この10年で唯一、私が全話視聴した、お気に入りのドラマでした。

 

その野木亜紀子 脚本で、伊吹役の綾野剛 、

さらに、陣馬さんの橋本じゅんが音痴のハイエナの兄貴ときたら

見ないわけにはいきません。

 

 

意外でしたが、ストーリーはそこまで作りこんではおらず、

わりと緩いつくりですが、あとからジワジワ来る感じ。

 

ふつうのドラマにありがちな説明的なシーンがほとんどなくて

いきなりへんな雰囲気になったりして・・その辺が面白~い。

役者さんの力や味わいをうまく生かしていますね。

 

「絵心がうんこな組長が彫る刺青」って・・(笑)

ちなみにこれが前回最下位のキティの兄貴の刺青です

 

 

サトミは「内気で真面目な合唱部部長」として登場するんだけど、

ヤクザ相手に、忖度なしにズバズバ言い放題なのにもびっくり。

そして、キョウジのおごりで、全く遠慮なしにカラオケメニューを食べ放題(笑)

 

キョウジが「狂児」というありえない名前の由来を話すところで

彼の両親が映るんですが、加藤雅也とヒコロヒーという自由なキャスティング。

 

 

一瞬しか映らないのに、部屋のセットもよくできていますね。

 

 

 

サトミの家も、いい感じにごちゃごちゃしています。

 

いつも明るいモモちゃん先生や可愛くて性格もいい副部長?の中川さんとか
ヒロイン扱いされるのかと思いきや、わりと雑な扱い。
芳根京子は普通にピアノ伴奏してましたね。すごいな。
 

 

つづきです(ネタバレ

 

サトミが部活をさぼって、(幽霊部員になってる)「映画を見る部」の部室にいると

後輩の和田に見つかって文句を言われます。

その時に和田が壊してしまったビデオデッキをなんとかしようと

サトミは中古店をさがして、ヤクザの根城である「ミナミ銀座」へ。

そこでヤクザに因縁をつけられますが、ここでもキョウジに助けられ

デッキも買ってくれ、「こんなところには来るな」といわれます。

中学の合唱祭とヤクザのカラオケ大会は偶然同じ日。

合唱祭の会場に行く途中、バスの窓から

キョウジの車が大破し、血まみれの男が担架で運び出されるところが見えました。

 

「キョウジのドアホ!」

サトミは合唱祭と欠席し、カラオケ大会の会場「スナック カツ子」へ。

すると、普通にカラオケ大会はやっており、組長が

「さっき病院から連絡があって、あいつは地獄に行った」

と平然というのにキレたサトミは

「なんやねん、お前ら!

のんきに歌ってる場合か!」

「お前らどいつも地獄に落ちてしまえ!」

 

そしてマイクをとると

キョウジの十八番である「紅」を歌い始めます。

 

高音が苦しくてうまく出ないものの、最後まで歌い切ったサトミ。

組長もちょっと感動して泣いています。

 

そこへ

「ええもん見せてもらったわ」

と、キョウジがトイレから出てきました。

キョウジはほとんどケガもしていませんでした。

「サトミくんを置いて死なれへんしな」

キョウジとはその後連絡がとれないまま中学卒業を迎え

ミナミ銀座の取り壊しも決まります。

 

キョウジの存在は幻だった?

でも、ポケットを探ると、キョウジにもらった名刺がでてきました。

「なんだ、いたじゃん」         (あらすじ ここまで)



 

中学生男子の変声期なんて、特別なケースでもなんでもないのに

サトミが自分から打ち明けたのはキョウジにだけでした。

合唱部の顧問とか両親とか、気が付いても本人にはあれこれ言わないんですね。

 

子どもの悩みはまわりが先回りして積極的にケアをすべき・・

というのが最近の風潮のように思いますけど、

サトミのまわりの大人たちは、そういうことをしないかわりに

サトミを大事に思っている気持ちは伝わるんですね。

そういうほうがいいな~と思いながら見ていました。

 

声変わりの時期の「紅」はシンドイと思いますが、サトミはよく頑張りました。

一応、設定としては、サトミがうまくて、キョウジが下手、ということなんですけど、

綾野剛の歌、想像以上にうまくて、笑っちゃいました。

予告編では叫んでるところだけでしたが、

音程もいいし、しっかり声も出てましたよね。

ちゃんと歌わせたらもっと上手なんだと思う。

 

「PLAN75」で倍賞千恵子も わざと下手くそにカラオケで歌ってましたが

上手いの、バレバレでしたよ!

 

関係ないけど、私は14日に合唱の発表会が終わって、

コロナ前から5年くらい行ってなかったカラオケに21日に行く予定。←いらない情報(笑)

楽しみです。

 

 

 

それから、夏に公開予定の映画「ラストマイル」は、

「アンナチュラル」「MIU404」と同じ

監督:塚原あゆ子 × 脚本:野木亜紀子の最強タッグで、

この2作と同一ユニバース上なんですって!

 

MIU404」は見たけれど、「アンナチュラル」は全く見ていないので

DVDレンタルして予習かな~と思っていたら

今、Amazonプライム、U-Next, Disney+で見られるようです。

これは予習必須ですね!

 

(追記)

「紅」の英語の歌詞、

大阪弁の日本語訳が面白くて、伏線回収にもなってるのかな?

 

一部ですが、書き取れたところだけ載せておきます(赤字)

 

I could not look back,you'd gone away from me

アンタが去った時、おれは振り返られんかった
I felt my heart ache

ハートがめっちゃ痛い

All of you in my memory is still shining in my heart

記憶の中のあんたは

おれの心の中で光ってるで

ピカピカや